伊藤園がなぜ香水を?「クレイジージャスミン」「冷しカップヌードル」…2026年夏の売り切れ商品ヒットの裏側【THE TIME,】
「気になっているうちに売り切れてしまった」。2026年の夏、街ではそんな声が相次ぎました。
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“売り切れ商品”の背景には、意外な仕掛け人や時流を捉えた開発秘話、そして消費者の心を掴む巧みな戦略がありました。
冷水で5分、災害時にも役立つ「冷しカップヌードル」
「どこにも売っていない」。そんな声が多く聞かれたのが、7月に発売された「冷しカップヌードル」です。冷たい水を入れてわずか5分で完成する、夏にぴったりのカップ麺。味はさっぱりとした「鶏塩レモン」と食欲をそそる「ピリ辛キムチ」の2種類です。
都内のスーパーでは、それぞれ100個ずつ入荷した商品が、すぐさま完売したといいます。店舗の従業員が「新商品の中ではぶっちぎりでよく売れていた」とその人気ぶりを語ります。
この人気を支えたのは、意外な需要でした。日経TRENDYの澤原昇総編集長は、「水で戻して食べられるカップヌードルということもあり、災害時のための備蓄用に買われていたという側面もある」と指摘します。実際、発売から約1週間後に発生した熊本地震では、被災地にこの商品を含む3万食が届けられ、話題になりました。
立役者は“VIVANT俳優”? SNSが火付け役「オールドスパイス」
SNSで「買えなかった報告」が相次いだのは、アメリカ生まれの男性向け匂いケア用品「オールドスパイス」です。塗るだけで香りを身にまとえるこの商品は、2026年4月に日本人向け商品が発売されると、6月には売り切れが続出。現在は出荷停止にまでなっています。
この“バカ売れ”の立役者だと主張するのが、ラグビー芸人であり、人気ドラマ『VIVANT』にも出演する俳優のしんやさんです。10年以上前から輸入版を愛用し、YouTubeでその魅力を発信し続けてきました。「動画を見たという連絡がたくさん届いて、その影響で売り切れた」と語ります。
SNSでの盛り上がりを見ていた販売元のP&Gは、「我々からの一方的な声ではなく、皆さんの力を借りていい反応をもらえるのではないかと思い発売にこぎつけた」と話します。品薄状態は続いていますが、9月中旬から再び店頭に並ぶ予定です。
お茶の伊藤園がなぜ?“ジャスミン狂”を唸らせた香水「クレイジージャスミン」
この夏、POPUPストアに多くの人が殺到しました。みなさんのお目当ては「クレイジージャスミン」という香水です。購入した人からは「お花そのものみたい」「在庫がなくてやっと買えた」といった声が上がっています。
驚くべきことに、この香水を作っているのは『おーいお茶』でおなじみの伊藤園。開発者であるCrazy Jasmine Tokyoの向田陽子社長は、元々伊藤園でジャスミン茶のパッケージデザインを担当していました。
ジャスミン茶の魅力を伝えるため、「咲きたての香りをもっと多くの人に知ってもらうことで、さらにジャスミン茶が売れるようになるのではないか」と考え、香水開発に至ったといいます。一般的な香水が複数の香料を組み合わせるのに対し、この商品は“ジャスミンそのものの香り”を追求。そのこだわりが本物の香りを求める“ジャスミン狂”たちの心に刺さり、人気に火がつきました。
「隠れ角栓まで自己崩壊」 100万本突破のビオレ洗顔料
「今、入手困難」「どこに売ってる?」。SNSで探し求める声が上がったのは、ビオレの「おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」です。
ビオレの洗顔料としては初となる1000円超えの価格設定にもかかわらず、8月には売上が100万本を突破。実に26年ぶりに、ビオレ洗顔料シリーズのシェアが過去最高を記録しました。※ビオレ おうちdeエステ ディープクレイ洗顔 発売月(26年4月)単月シェア
話題となったのは、「隠れ角栓まで自己崩壊」というキャッチコピーです。花王株式会社スキンケア事業部の谷将輝氏によると、「毛穴の奥に潜んでいる角栓までアプローチできる技術」が採用されており、見た目の毛穴の黒ずみをすっきりさせる効果が期待できるとのことです。今後は生産量を増やし、順次出荷していくとのことです。
青学駅伝選手がブーム後押し!「ブロッコリースーパースプラウト」
都内のスーパーで、客が次々と手に取っていたのは「ブロッコリースーパースプラウト」。ブロッコリーの新芽であるこの健康野菜は、体内の抗酸化力を高めるスルフォラファンを多く含み、20年以上前から販売されている商品です。しかし、今年6月と7月は昨年の倍近く売れるという異例の事態に。
きっかけは、6月に放送されたテレビ番組の検証企画でした。食事と一緒に摂取して痩せるかどうかを調査した内容が大きな反響を呼び、放送翌日から各地で完売が相次ぎました。
さらに、青山学院大学陸上競技部の駅伝選手たちが食べていることも人気を後押し。寮専属のスポーツ栄養士と共同で開発したレシピが話題になりました。
このブームを受け、生産工場は6月からフル稼働状態。水と光のみで育てる水耕栽培で、栽培から収穫まですべてコンピューターで管理し、わずか3日で収穫できるといいます。1日の生産能力は10万パック分にのぼり、7月の全社売上は15億円を記録しました。
最近では、アンチエイジングへの期待が注目される新成分「超硫黄分子」が豊富に含まれていることも分かり、ブームをさらに後押ししています。
2026年の夏を彩った売り切れ商品。その背景には、これまでにない斬新な発想、SNSによる口コミの力、そして健康志向の高まりなど、現代の消費トレンドを映し出すさまざまな要因がありました。一つのきっかけが大きなうねりを生み出す現象は、今後も様々な分野で注目を集めそうです。
