「殺すつもりはなかった」のになぜ…19歳の娘の殺害容疑で父親が逮捕された事件の“見えない動機”

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刃物で複数回刺し、殺害

「子供と夫が血だらけで倒れている」

夕方に帰宅した妻の通報で事件が明らかになった。

9月3日、神奈川県警神奈川署は横浜市神奈川区の無職・嶋崎正明容疑者(70)を同居する娘を殺害した容疑で逮捕した。

「事件は8月22日の朝7時55分ごろから夕方6時10分ごろの間に起きたとみられています。嶋崎容疑者は自宅の室内で、次女の専門学校生・瑞姫さん(19)の上半身を刃物のようなもので複数回刺し、殺害した疑いです。

通報で駆け付けた救急隊員が別々の部屋で倒れていた2人を発見。瑞姫さんの死因は失血死でした。嶋崎容疑者の腹部にも刺し傷があり、退院を待って逮捕したものです。調べに対して嶋崎容疑者は『刺したことは間違いないが、殺すつもりはなかった』と容疑を一部否認しています」(全国紙社会部記者)

9月4日の午前10時30分ごろ、嶋崎容疑者が神奈川署から送検された。ガッチリとした体格でゴマ塩頭の嶋崎被告は、息も絶え絶えに背中を曲げながら歩き、車に乗り込んだ。終始浮かべていた苦悶の表情は、傷の痛みだけではないように思えた──。

現場となった嶋崎容疑者宅の近くに住む住人は、事件発覚時の様子を次のように話す。

「事件の日は、土砂降りの雨でした。嶋崎さんのお宅には、洗濯モノが干してあって、あらー、取り込まないとびしょ濡れになっちゃう、と思いながら見ていたんです。

すると、一瞬だけ部屋の中で電気がついたんです。でも、その後も洗濯モノはそのままで、誰も取り込む様子がありませんでした。そうしたら、救急車とパトカーが、何台もやってきたんです。一体何があったのか? 強盗にでも入られたのかとも考えましたが、まさか殺人なんて……」

別の住人によれば嶋崎容疑者は優しそうな雰囲気の人で、事件を聞いて驚いたという。

「トラブルは確認されていない」

父娘の間に何があったのか。過去の事件では、一家無理心中事件を除くと父親が娘に手をかけた事件は少ないが、その動機はさまざまだ。

’20年北海道千歳市の自宅マンションで、当時59歳の父親が同居していた娘(当時17)の背中を日本刀で刺す事件が発生。父親は自ら警察に通報し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。刺し傷は肺にまで達しており、娘は重傷だったという。父親は「口論になり、かっとなってやった」と供述したが、殺意はなかったと容疑を否認した。犯行当時、現場には娘の婚約者がおり、警察家族トラブルが原因とみていた。

’18年には茨城県水戸市内の那珂川の河川敷で、父親(当時48)が高校3年生の次女(当時18)の首を絞めて殺害したとして逮捕。父親は娘の遺体から数十m離れた場所で首から血を流して倒れており、警察は殺害後に自殺を図った可能性もあるとみていた。その後、父親は精神鑑定の結果、犯行時に心神喪失状態だったとして不起訴となっている。

’06年には、東京・豊島区内の自営業者の父親(当時59)が自宅で次女の首を絞めて殺害。事件は男性が新宿区内の公衆電話から「娘を殺した。今から死にに行く」と110番したことで発覚した。警察の調べによると、父親は次女の介護で悩んでいたという。4日後に父親は神奈川県根市内の雑木林で遺体で発見された。近くには「自殺する」とのメモが残されていた。

警察によれば、今回の事件では家庭でのトラブルは確認されていないという。「殺すつもりはなかった」のになぜ悲劇は起きたのか。動機の解明が待たれる。

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