民泊が全国最多の新宿区、住宅地や学校周辺の営業禁止へ…既存施設も・半数以上営業できなくなる可能性
民泊施設を巡るトラブルの増加を受け、全国で最も民泊の多い東京都新宿区は、住宅地や学校周辺での民泊営業を原則禁止する方針を固めた。
関連条例を改正し、来年夏以降の施行を目指す。新規開業だけでなく既存の施設にも適用する。現状の半数以上の約2000件の民泊が営業できなくなる可能性がある。
区関係者によると、営業禁止の対象となるのは都市計画上の住居専用地域や文教地区など。既存施設については一定の猶予期間を設ける。家主が同居して適切な運営ができるなどの要件を満たせば、例外的に営業を認める考えだ。商業地域でも営業日数の上限を現行の180日から120日に制限するという。
区はこうした方針について意見を公募し、来年2月の区議会定例会に関連条例改正案を提出する見通し。
観光庁によると、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく新宿区内の民泊届け出住宅数は市区町村別で全国最多の3775件(7月15日時点)に上る。区には昨年度、ごみ出しのルール違反や騒音、私有地の立ち入りなど、民泊を巡る苦情・相談が1334件(前年度比542件増)寄せられた。
区はこれまで法令違反を繰り返した29事業者に業務停止を命じ、5事業者に廃止命令を出したが、苦情は減っていない。そのため、悪質業者を個別に排除する手法では住民の生活環境の悪化を防げないと判断した。区幹部は「悪質な民泊に個別対応するマンパワーも不足している。一律で規制する必要がある」と話す。
民泊営業は2018年6月の同法施行により全国で始まった。訪日外国人客の受け皿にする狙いがあったが、トラブルや苦情が各地で相次ぎ、観光庁は7月、全国の自治体に、住民の生活や教育環境などが損なわれる場合、条例で営業を禁止できるとの通知を出した。既存施設についても、「他に適切な対応策がない場合、一定の猶予期間を設けた上で禁止することも考えられる」などとした。
民泊を巡っては、京都市も住宅地と工業用地での事実上の営業禁止を検討している。ただ、対象は新規施設のみだ。民泊に詳しいJTB総合研究所の山下真輝フェローは「既存施設まで一律に禁止する規制は極めて異例だ。区は苦情や指導の記録を示して規制の必要性を事業者に丁寧に説明しなければならない。悪質な事業者が他の自治体に移ったり、旅館業に変更したりする可能性もあり、宿泊事業全体をどう管理するか国として検討していくべきだ」と指摘する。
