月収39万円の50歳会社員父、上京した娘から「ごめんなさい…」と緊急LINEで激震。妻となんとか解決させるも、半年後に二度目の「ごめんなさい…」と嗚咽で呆然
実家を出て一人暮らしを始めるタイミングとして多いのが、大学進学や就職。新しい生活を満喫する子どもを遠くから見守るのが親心ですが、現代の若者の周囲には、多くの落とし穴が潜んでいるようです。事例を見ていきましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。
大学進学を機に、愛娘を東京へ
子どもの独立と上京は、親にとって喜びであると同時に、常にどこか気がかりなものです。
地方のメーカーで働く会社員のテツヤさん(50歳)は、月収39万円ほど。決して贅沢ができるわけではありませんが、都内の大学に進学したひとり娘・アカリさん(20歳)のために、共働きの妻と毎月9万円を工面して仕送りを続けながら応援していました。しかしある日の夜、スマホに届いた一通のLINEメッセージが、穏やかな日常を一変させます。
『お父さん、お母さん、本当にごめんなさい……』
突然届いた暗い通知に、テツヤさんと妻は嫌な予感を抱き、すぐにアカリさんへ電話をかけました。電話口で泣きじゃくるアカリさんが打ち明けたのは、お金のトラブルでした。
上京して大学で意気投合する気の合う友達ができたアカリさん。一緒にアニメやゲームの話題で盛り上がるうちに、大好きな作品の推し活や、スマホゲームのイベント・ガチャでの課金にどっぷりと没頭するようになったのです。限定グッズの購入やイベント遠征、ゲーム内での課金が膨らみ、毎月の仕送りやアルバイト代だけではあっという間に足りなくなっていきました。
毎月の仕送りやアルバイト代だけでは足りなくなったアカリさん。軽い気持ちでクレジットカードの「リボ払い」を使いはじめ、気づけば枠がいっぱいになり、毎月の最低返済額すら払えない状態に陥っていたのです。残高は利息も含めて約50万円に膨らんでいました。
「督促の郵便が部屋に届いて、怖くて……」
震える娘の声を聞き、テツヤさん夫婦は激怒しつつも落胆しました。しかし、「初めての一人暮らしだし、お金の管理に失敗することもある。ここで放置して信用情報に傷がついたら可哀想だ」と考えたテツヤさんと妻は、教育資金として貯めていた口座から50万円を出し、一括で完済させました。
アカリさんには厳しく説教をし、「二度とリボ払いは使わないこと」「カードは解約すること」を硬く約束させ、事態は解決したかに思えました。
またやらかした娘、今度は金額が…
「これからはアルバイトの範囲内でやりくりする」といっていたアカリさん。その後は定期的に「元気にやってるよ」とLINEが届き、娘は反省してくれたとテツヤさんも安心していました。
しかし、最初のトラブルからわずか半年後の週末。再びアカリさんからメッセージが届きます。
『本当にごめんなさい……もうどうしたらいいかわからない……』
直後にスマートフォンが鳴り響き、電話を取ると、声にならないほどの号泣が一瞬で耳に飛び込んできました。理由を聞いて、テツヤさんは言葉を失い、呆然と立ち尽くしました。
前のカードは解約させたものの、一度覚えてしまった「推し活やゲーム課金を止められない感覚」から抜け出せなかったアカリさんは、別のクレジットカードを新規で作成。さらに審査が通りやすい「後払いアプリ(BNPL)」や、学生ローンにまで手を出していたのです。
前回の借金を親に払ってもらったことで「いざとなれば親がなんとかしてくれる」という甘えがどこかにあったのかもしれません。半年間での再発、しかも今回の借金総額は120万円を超えていました。共働きで家計を回すテツヤさん夫婦から、半年で二度目となる100万円超の補填をする余裕はありません。「なぜあのとき、もっと根本的な解決をしなかったのか」という後悔と、娘への深い失望が押し寄せました。
若者のマネートラブル
現在、若年層の不適切なカード利用や借金トラブルは深刻化しています。
独立行政法人国民生活センターが発表した『消費生活年報2025』によると、2024年度の1年間に全国の消費生活センターへ寄せられた20代(20~29歳)からの相談件数は9万8,124件に達しています。このうち、クレジットカードや消費者金融、後払い決済(BNPL)などを含む「金融・保険サービス」に関する相談は2万8,941件(全体の約29.5%)を占めており、若い世代がスマホ経由の手軽な決済や小口融資によって短期間で多額の債務を抱え込んでしまう実態が数値からも浮き彫りとなっています。
若者が多額の借金を抱えてしまった際、親世代が押さえておくべきリスクと適切な対応策を整理します。
1.安易な「親の全額立て替え」が招くモラトリアム
我が子がカードトラブルを起こした際、親心から「いますぐ助けてあげたい」と全額を立て替えてしまうケースは少なくありません。しかし、本人に「自力で痛みを伴って返済した経験」がないと、金銭感覚が麻痺したままとなり、別の手段で再発するリスクが高くなります。
2.「立替」ではなく自力返済の計画化
親が立て替える場合でも、全額を無償で渡すのではなく、「毎月アルバイト代から親へ返済させる誓約書を交わす」「利用明細を毎月確認する」といったルール作りが必要です。また、買い物依存や金銭感覚の欠如が疑われる場合は、専門のカウンセリングなどの利用を検討すべきです。
3.自力返済が不可能な場合は「公的相談機関・専門家」へ
すでに複数社からの借り入れがあり、アルバイト収入等で返済不能なレベルに陥っている場合は、親が身腹を切る前に弁護士や司法書士、あるいは「日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)」などに相談しましょう。任意整理や債務整理手続きを行うことで、利息のカットや将来的な再生を図ることができます。
子どもを本当の意味で守るためには、お金を出して事態を揉み消すことではなく、自分自身の行動に対する責任を学ばせ、根本的な金銭管理能力を身につけさせることが重要です。

