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 「聖闘士星矢」「リングにかけろ」で知られる漫画家の車田正美さん(72)が2日、代表を務める「車田プロダクション」など3社が計約46億8000万円の横領被害に遭ったとして、元マネジャー男性らに計約28億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。都内で代理人弁護士と記者会見した車田さんは「アニメや漫画の世界で悪い人間は見たことがない。本当に信じられなかった。一時、人間不信になりかけた」と険しい表情で話した。

 元マネジャーは車田さんの元担当編集者。約25年前、集英社の漫画誌で「リングにかけろ2」を連載していた時の担当で同社の契約社員だった。雑誌が休刊となった後にマネジャーになり「お金の出入りは全てこの男に任せていた」という。

 訴状によると、3社の取締役だった元マネジャーは、経理や対外交渉など事務作業全般を統括。巨額横領の手口は主に3つで、(1)名前が酷似した会社を設立しライセンス料を振り込ませる(2)会社の口座から自分の会社の口座に送金(3)国内で支払った保険料を再保険として海外に移転し自分の会社に入金。2018~24年に計46億8000万円の被害に遭ったとしている。元マネジャーは横領した金を仮想通貨に投資するなどしており、約18億円は既に回収済み。

 元マネジャーは車田さんについて「人間嫌い。先生は自分としかやりとりしない」などと周囲にうそを言い、車田さんに情報が伝わらないようにしていた。弁護士によると、スタッフを仲間に引き入れるためキャバクラに誘い、合計1000万円ほど使ったという。

 横領は24年2月ごろ、東京国税局からの指摘で発覚した。当初、元マネジャーは国税局からの質問状に、車田さんの筆跡をまねて返信。サイン色紙に押すはんこを印鑑として使用したという。「会社の口座には(お金が)わずかしかなく、多額の納税はできない状態。車田プロダクションは倒産、私も漫画家としてつぶれていたかもしれなかった」と振り返った。24年6月には開催予定だった「車田正美原画展」を急きょ中止。事情を知らないファンは当時、車田さんの体調を心配していたが、原画展は来春に開催する意向を示した。

 「聖闘士星矢」は単行本やアニメが世界で大ヒット。パチンコ台やパチスロ台にも使用され、多額のライセンス料を生み出している。