【松原 好秀】「韓国ではマクドナルド超え…!」日本で本格攻勢に出る「マムズタッチ」の知られざる正体
韓国では「マクドナルド」を超える店舗数
ある日、「マムズタッチって、どんな店ですか?」と知人に聞かれた。その知人曰く、店の前を何度か通ったが、入ったことは一度もないという。ネットで調べてみたところ、昨年2025年6月に「日本で年内10店舗オープンを目指す」という記事を見つけた。
マムズタッチと言えば、まさに"鳴り物入り"の華々しい日本デビューを飾った店なので、もうちょっと知名度があると思っていたのだが、「マムズタッチって何の店?」と思う人もいまだ多いのかも知れない。
そんな質問を受けた、まさにそのタイミングで、マムズタッチに大きな動きがあった。ちょうどよい機会なので、マムズタッチとはどんな店なのか、どんなブランドなのか、あらためて、おさらいしたい。
マムズタッチは韓国内で約1,500店舗(2026年7月時点)を展開するバーガー・チキンブランドである(マクドナルドは約400店舗)。韓国と日本の人口規模の違いを考えれば、日本に置き換えると3000店を超える規模感で、ほぼ日本のマクドナルドに相当する。
そんな韓国No.1バーガー&チキンブランドが初めて日本にやって来たのは2023年10月。東京・渋谷の「SHIBUYA 109」向かいにポップアップストア(期間限定店舗)を構え、そのデータをもとに2024年4月16日、満を持して日本1号店オープン。
渋谷駅前のスクランブル交差点から約1分で、かつては「マクドナルド 渋谷店」が入っていた一等地だ。次いで2025年9月に原宿の竹下通り沿いに2号店オープン。その後の動きは以下の通りだ。
2023年10月 マムズタッチ TOKYOポップアップストア オープン
2023年12月 株式会社MOM'S TOUCH TOKYO (現 MOM’S TOUCH JAPAN)設立
2024年 4月 渋谷店オープン ※日本1号店
2025年 9月 原宿店オープン
2025年10月 下北沢店オープン
2025年11月 茅ヶ崎店オープン ※国内初のFC店
2025年12月 秋津駅前店オープン
本年8月1日現在、国内に5店舗を展開する。2年4ヶ月で5店。これは多いか少ないか。マムズタッチは果たして流行っているのか、いないのか。
そんなマムズに大きな動きがあった。ひとつは2026年後半の出店攻勢だ。7月の末にフランチャイズ加盟説明会が開かれ、板橋FC2号店の11月オープンが後日発表された。
それに前後して「この8月から12月にかけて、新たに11店舗のオープン予定となっております」と話すのは、今年4月、MOM’S TOUCH JAPANの代表取締役社長に就任した中村昭一氏だ。
今年中に新たに11店舗オープン予定
中村氏は、1989年に日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社に入社し、その後、ピザハットを担当。2017年4月から2024年9月まで日本ピザハット株式会社の代表取締役社長を務め、約360店舗だったピザハットを600店舗にまで拡大させた。
ピザハット日本上陸50周年に当たる2023年には日本全国47都道府県への出店を達成した。その実績を買われて招聘された、まさに"敏腕"社長である。
その中村社長に「マムズタッチの現状と今後」「そもそもマムズタッチとは?」を伺った。
まずは現状から。
「既存の5店の業績などを加味して、どういったところを改善し、どういった形で店舗を広げていけるか。この半年ほどかけて模索してきました。フランチャイズ展開していけるであろう戦略・戦術をある程度立てることができたので、FC加盟募集を晴れて大々的に打ち出しました」というのが、7月のFC説明会および新たに11店舗の出店予定へと至る流れだ。
そして9月から本社を新宿副都心へ移すこと。その本社が入る新宿パークタワーに9月7日、テストキッチンと研修センターを併設した新店舗をオープンさせることを中村新社長より伺った。この研修センターの新設により、フランチャイズ企業向けの実地研修や、オペレーションの共有が格段にしやすくなる。
あわせて、長らく待ち望まれていたテストキッチンも設けられた。これまでは韓国本社のメニュー開発・提案に一部依存してきたが、テストキッチンを備えたことで、日本の食文化や消費者嗜好を反映した日本独自の商品開発が可能になった。これはマムズチキンが日本市場により深く根を下ろし、現地の消費者からさらに愛されるブランドへと生まれ変わるための重要な第一歩である。
「現在は午後のスナックタイムが相対的に弱いため、この時間帯をさらにしっかり埋められるメニューを開発していく計画です。例えば焼き菓子やアップルパイのようなデザート類はもちろん、ひんやりと楽しめるフローズン(スムージー/スラッシュ類)ドリンクなども強化していきたいと考えています」と中村社長は語った。
韓国と日本の「融合」
さらに続けて、「私たちの『サイバーガー』(鶏もも肉(Thigh)をパティに使用したチキンバーガー)は、韓国のマムズタッチから伝統的に受け継がれてきた"核となる商品"です。KFCにおいて『オリジナルチキン』がコア商品であるように、私たちもコアはコアでしっかりと守りながら、プラスアルファで、日本でアレンジしたフレーバーであったり、日本の季節感に合わせた商品であったり、そういったものも取り入れ、『融合』させながら、お客様に楽しんでいただき、マムズのファンを増やしていきたい。そんな商品開発を進めていけたらと思っています」
中村社長から出た「融合」という言葉。韓国発というブランドの強みを活かしつつ、日本の文化を「融合させていく」。これが中村社長が示す「これからのマムズタッチ」のスタイルだ。
態勢は整った。マムズは出店を加速させていくだろう。「2027年末までに日本国内100店舗の運営」という新たな目標も発表された。
さらにもうひとつの疑問点、「そもそもマムズタッチとはどういう店なのか?」を中村社長に聞いていきたい。
後編記事『実はライバルはマクドナルドではない…韓国No.1「マムズタッチ」が日本で狙う意外すぎる勝算』に続く。

