「お義母さん、もう無理です…」お盆帰省の翌週、48歳嫁から届いた「衝撃のLINE」に、〈年金月16万円〉73歳母、涙のワケ
「最期まで自宅で暮らしたい」と願う高齢親の思いを汲みつつも、一人暮らしの限界や事故のリスクに頭を悩ませる家族は多いものです。ある家族の事例から、お互いが納得できる解決策を考えます。
「最期まで自宅で」が口癖
「できることなら、最期までこの家で暮らしたいんです」
斎藤陽子さん(73歳・仮名)は、以前からそう話していました。
3年前に夫を亡くし、現在は築50年の戸建てで一人暮らし。年金は月16万円、1,000万円ほどの預貯金があります。
現在、要介護2の認定を受け、週3回の訪問介護と週2回のデイサービスを利用しています。介護サービスの自己負担や食費、光熱費など、毎月の支出は約15万円。住宅ローンはありません。
「年金で何とか暮らせています。亡くなった夫は長く病院で過ごしました。その姿を見ていたので、私は最期まで自宅で過ごしたいと考えていました」
日本財団『人生の最期の迎え方に関する全国調査』によると、「人生の最期を自宅で過ごしたい」という回答が58.8%。「医療施設」(33.9%)や「介護施設」(4.1%)を大きく上回っています。陽子さんの希望は、ごく当たり前といえるでしょう。
長男の直人さん(51歳・仮名)は、母の希望を尊重していました。
「おふくろが家にいたいなら、できるだけそうさせてあげたい」
直人さんの妻、由美さん(48歳・仮名)も、それを否定したことはありません。しかし、今年のお盆の帰省で、由美さんの考えが変わります。
お盆休みの4日間、長男一家が陽子さん宅に泊まりました。
由美さんが食事の準備や洗濯を手伝います。入浴やトイレの際には、転倒しないよう見守ることもありました。
「お義母さん、普段これを一人でやっているんですか?」
「ええ。時間はかかるけど、なんとかね」
陽子さんはそう答えました。
ただ、由美さんには「なんとか」で済ませているようには見えませんでした。立ち上がる際にはテーブルにつかまる。夜中にトイレへ行くときは、壁に手を添えて歩く。食事中に箸を落とすこともありました。
一緒に暮らした4日間で、由美さんは、義母が一人で暮らすことの危うさを実感したのです。
帰宅後、由美さんは夫に切り出しました。
「もう一人暮らしは難しいんじゃないかな」
「でも、おふくろは自宅がいいって言ってる」
「分かってる。でも、何かあってからじゃ遅いよ」
そして帰省から1週間後。陽子さんのスマートフォンに、由美さんからLINEが届きました。
嫁「もう無理です」の意味
最初の一文を見て、陽子さんは凍りつきました。
「お義母さん、もう無理です……」
嫁に嫌われた。迷惑をかけてしまった。そう思い、頭が真っ白になったそうです。ところが、続く文章は意外なものでした。
「もう一人暮らしは難しいのではないかと思っています。直人さんは、お義母さんの意見を尊重して、自宅で介護をと言っているけれど、私は限界だと思っています」
そして、最後にこう書かれていました。
「一度、施設に見学に行ってみませんか?」
陽子さんは何度も読み返し、涙したといいます。
「施設に入ってください、ではなかったんです。『一緒に見に行きませんか』だった。それが嬉しくて」
由美さんは、お盆のとき見た陽子さんの様子を振り返ります。
「いつ事故があってもおかしくない。お義母さんの気持ちを尊重するのは大切だけど、手遅れになってからでは遅い。お義母さんには、これからも元気でいてほしいですし」
その言葉を聞き、陽子さんは初めて、自分の「自宅で暮らしたい」という希望が、家族にどのような負担をかけるのかを考えました。そして陽子さんから由美さんに電話をかけ、施設への入居を検討したいと伝えたそうです。
「由美さんが色々調べてくれて、仕事で忙しいのに、見学にもついていってくれた。いいお嫁さんをもらったと実感しました」
陽子さんは、3軒ほど見学した施設のなかから、予算的にも合致した介護付き有料老人ホームへの入居を決めたと話します。
「最期まで自宅で」と願う親の気持ちを尊重したい一方で、在宅介護が家族に与える負担は決して軽くないのが現状です。
厚生労働省『2025(令和7)年 国民生活基礎調査』によると、同居する主な介護者の約6割が悩みやストレスを抱えており、その最大原因は「家族の病気や介護」です。また、事例の陽子さんと同じ「要介護2」の段階でも、すでに同居介護者の約2割が仕事や家事、外出などの日常生活に影響が生じていると回答しています。
限界を迎える前に「施設入居」という選択肢を「一緒に検討する」ことは、お互いの暮らしと心身の健康、そして良好な親子関係を守るための前向きな決断といえるでしょう。

