友人関係に性行為が加わるものの恋人としての約束や排他性は持たない「セックスフレンド」の関係は、恋人関係や一夜限りの性行為とは異なる特徴を持ちます。テネシー大学などの研究チームが過去の38件の研究をまとめて分析し、セックスフレンドの関係で見られるメリットとデメリットを報告しました。

A Meta-Analysis of Friends with Benefits Relationships: Examining Sexual Features, Sexual and Mental Health, Violence/Aggression, and Gender | Archives of Sexual Behavior | Springer Nature Link

https://link.springer.com/article/10.1007/s10508-026-03426-0

Large new study reveals the hidden trade-offs of friends with benefits

https://www.psypost.org/a-large-new-study-reveals-the-hidden-trade-offs-of-friends-with-benefits/



セックスフレンドについては1990年代に男女間の友情を調べる研究から派生し、心理学やコミュニケーション学、公衆衛生などの分野で研究されてきました。しかし、分野によって定義や測定方法が大きく異なり、心の健康への悪影響を指摘する研究がある一方、人間関係上の利点を報告する研究もあるなど、結果がまとまっていませんでした。そこでテネシー大学のスペンサー・B・オルムステッド氏らの研究チームは、複数の研究結果を統合して全体的な傾向を調べる「メタ分析」を行いました。分析対象は論文や学位論文、学会発表などから条件を満たした38件です。

研究チームはセックスフレンド関係にある人を「婚約中の人」「継続的な恋人関係にある人」「一夜限りの性行為をする人」「性行為を目的に連絡を取り合う相手がいる人」「交際相手がいない人」と比較しました。調査項目は「性に関する経験」「性の健康リスク」「暴力・攻撃」「臨床上の心の健康」「日常的な心の健康」の計5分野です。

その結果、研究チームは以下のようにセックスフレンドによるメリットとデメリットを挙げています。

◆メリット1:性に関する経験の幅が広い

性的満足度・経験した性行為・性的空想・性行為をする動機などをまとめて比較すると、セックスフレンド関係にある人はすべての比較対象よりも性に関する経験の幅が広い傾向がありました。恋人関係と直接比べると、恋人関係ではディープキスや愛情を示す性的な触れ合いが多かった一方、セックスフレンド関係ではオーラルセックスやアナルセックスが多く報告されました。また、異性愛者のセックスフレンド関係では、男性の方が女性よりも性に関する経験の指標が高かったとのことです。

◆メリット2:恋人関係よりも暴力や支配が少ない

お互いの関係の中で見られる身体的暴力・精神的虐待・心理的な支配・欺きなどをまとめると、セックスフレンド関係では継続的な恋人関係よりも暴力や攻撃が少ない傾向がありました。研究チームは、セックスフレンドは恋人同士のような正式な約束を伴わず、相手との関係を終わらせやすいため、加害者が相手に権力を振るったり支配を続けたりしにくい可能性があると説明しています。



◆デメリット1:性の健康リスクが高い

コンドームを使う頻度・性行為をする相手の数・性感染症の有無・性行為時の薬物やアルコールの使用についてまとめて比較すると、セックスフレンド関係にある人の性の健康リスクは、恋人関係にある人や交際相手がいない人よりも高く、一夜限りの性行為をする人とほぼ同程度でした。研究チームは、カジュアルな関係では性行為をする相手の総数が多くなりやすく、同時に複数のセックスフレンド関係を持つ場合があることを理由として挙げています。

◆デメリット2:心の健康上の問題がわずかに多い

不安・うつ・自殺念慮などの症状と、幸福感・自分の体への満足度・孤独感・嫉妬・日常的なストレスなどを調べると、セックスフレンド関係にある人は、恋人関係にある人や交際相手がいない人よりも心の健康上の問題をわずかに多く報告していました。一夜限りの性行為をする人と比べた場合、孤独感や嫉妬、日常的なストレスなどでは問題が多かった一方、不安やうつ、自殺念慮などでは違いを確認できなかったとのこと。



分析対象となった研究の多くは参加者を一時点で調べたものであり、セックスフレンド関係が心の健康を悪化させたとは断定できません。もともと不安やうつ、自尊心の低さを抱えている人がセックスフレンド関係を選びやすい可能性もあります。また、分析対象の多くは若い白人の異性愛者でシスジェンダーの大学生だったため、年齢や文化的背景、性的指向、性自認が異なる人にも同じ傾向が当てはまるとは限りません。

研究チームは今後の課題として、研究ごとに異なる測定方法を標準化するとともに、セックスフレンド関係にある一方だけでなく双方から情報を集め、友情と性的な親密さ、心身の健康がどのように関係しているのかを詳しく調べる必要があると述べています。