ロシア軍の戦死者は「最大53万人」で泥沼から抜け出せない「プーチン大統領」の悪夢…ウクライナ「最強ドローン攻撃」に北朝鮮兵まで駆り出す“人海戦術”はいつまで続くか
イギリスの公共放送・BBCとロシア独立系メディア「メディアゾーナ」は、インターネットなどで名前を確認できたロシア軍戦死者を計上する調査を行っている。最新の結果が8月21日に発表され、少なくとも24万1088人に達したことが明らかになった。戦死者の56%は志願兵や受刑者など精鋭の軍人ではなく、平均年齢は38歳と“高齢化”が目立った。さらに、実際の戦死者は最大で53万人を超える可能性もあるという。(前後編の前編)
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デイリー新潮は7月23日、「ロシア軍の“戦死者50万人”は『ベトナム戦争』以来の異常事態…敗戦に学ばない『プーチン大統領』が犯した最大のミス」との記事を配信した。

この記事でも紹介したが、BBCとメディアゾーナの調査で名前の確認できたロシア軍の戦死者は7月の段階で20万人を超えていた。イギリス政府の専門機関は戦死者が50万人に達したと分析していた。
そもそも50万人という戦死者が異常な数だ。例えば1990年の湾岸戦争では、アメリカ軍の戦死者は294人、イラク軍は約2万人から3・5万人と推定されている。第二次世界大戦後、50万人を超える戦死者を出した軍隊は、ほとんどない。
確定的な数字ではないものの、わずか1カ月で戦死者数の推計が50万人から53万人に増えた。プーチン大統領が正規兵の損失は防ぎながら、志願兵、傭兵、受刑兵を最前線で突撃させるという人命無視の作戦を繰り返していることも浮き彫りになる。
一方、ウクライナ軍は戦果が大きく報じられている。ロイター(日本語電子版)は6月8日、「ウクライナ軍、今年600平方キロ超の領土奪還=総司令官」との記事を配信した。
600平方キロメートルといえば、東京都23区が約628平方キロメートルだ。記事によると、ウクライナ軍が領土を奪還しても、ロシア軍は依然としてウクライナ東部と南部で前進を試みているという。
世界最強のドローン部隊
最前線は両軍が入り乱れて流動化が著しいとはいえ、全体を見るとロシア軍の勢いが鈍化、もしくは後退していることが確認されているようだ。
さらにウクライナ軍の“ドローン部隊”が戦果を挙げていることも注目を集めている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(日本語電子版)は8月13日、「ウクライナのドローンが米軍に勝利、演習で直接対決 米軍がドローン攻撃に対してぜい弱であることが浮き彫りに」の記事を配信した。
記事によると春にドイツで演習が行われ、ウクライナのドローン部隊がアメリカ軍の部隊や装甲車両を発見、撃破したという。
軍事ジャーナリストは「今、ウクライナ軍のドローン部隊が世界最強であることは事実だと思います」と言う。
「ただしアメリカ軍との演習結果は、少し“戦果”を割り引く必要があるかもしれません。なぜならアメリカ軍がドローン関連の予算を獲得したいため、わざと敗北した可能性もあるからです。その点を除けば、ウクライナ軍のドローン部隊は世界一の精鋭と言って過言ではないでしょう。何しろ実戦経験が豊富ですし、注目すべきはメーカーのバックアップです。ウクライナのドローン生産を支えているのは戦争中に誕生した複数のスタートアップ企業。企業のエンジニアは軍の上層部を通さずに直接、最前線の指揮官や兵士と連絡を取り、要望を聞き取って様々な弱点を急いで改善しているのです」
ロシア軍の対抗策は「網」
例えば最前線から「ロシア軍の妨害電波でドローンが操縦できない」という報告が届いたとしよう。すぐにエンジニアはドローンを操作する電波の周波数帯を変えたり、無線ではなく有線(光ファイバー)で操縦するドローンを開発したりする。
こうした“メンテナンス”や“バックアップ”を受けながら、ウクライナ軍の偵察用ドローンが最前線を縦横無尽に飛び回る。そしてロシア兵や戦車などを発見すると、すぐさまAIが作戦を立案し、無数の攻撃用ドローンが飛来して撃滅する。
「ロシア軍は有効な反撃ができていないようです。対ドローン兵器として、妨害電波を出す兵器や、レーザーで撃ち落とす兵器は実用化されています。もちろんロシア軍も所有していますが、兵站が不得手という致命的な欠陥があります。最前線に対ドローン兵器が充分に届いていない可能性があり、現地ではドローンを網で捕らえようとしたり、鎖をモーターで振り回して“はえたたき”のようにしたりと、色々と創意工夫はしているようです」(同・軍事ジャーナリスト)
結局のところロシア軍は、伝統的な人海戦術に頼っているようだ。ニューズウィーク(日本語電子版)は8月18日、「【ウクライナ戦争】ロシア軍『50万増派』も戦況に影響なし? 統計に表れた『ロシアの真の弱点』」との記事を配信した。
プーチン大統領の判断能力
記事によると、ウクライナ政府は「プーチン大統領は9月18日から20日の下院選の投票期間が過ぎたところで、10月初めにも30万から50万人を招集する可能性がある」と分析しているという。
「この『30万人から50万人』の中には、北朝鮮の兵士も数万人が含まれていると見られています。しかし動員される新兵は“質より量”の典型例で、傭兵、受刑兵、カネ目当ての志願兵が中心のようです。これでは戦死者を増やすだけでしょう。常識的に考えれば、これまで50万人を超える戦死者が出ている可能性があるのですから、もはや停戦を検討すべき段階です。そもそも大局的に見ると、ロシアがウクライナに侵攻したことでフィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟してしまいました。外交・安全保障上の大敗北であり、バルト海は完全に抑え込まれてしまいました。さらにウクライナの最前線で夥しい戦死者を出しているにもかかわらず、ウクライナの全土を占領できていません。ウクライナにとっては戦線が膠着しているだけで実質的には勝利です。果たしてプーチン大統領の判断能力は正常なのか、疑われても不思議ではないレベルだと思います」
後編【ウクライナ「ドローン猛爆」がロシアの「石油精製施設」「物流倉庫」に集中攻撃をしかける理由…下院選を前に「プーチン大統領」を悩ます“国民の厭戦気分”という深刻なリスク】では、同じドローンでも「中長距離ドローン」がロシア国内の重要インフラを爆撃し、ロシア人の日常生活に支障が出ていることをお伝えする──。
デイリー新潮編集部
