楽天ドラ2・伊藤樹 プロ初先発初勝利 5球で先制許すも逆転呼ぶ5回1失点
◇パ・リーグ 楽天5―1オリックス(2026年8月25日 京セラD)
楽天のドラフト2位・伊藤樹投手(23)が25日、オリックス戦でプロ初先発初勝利を挙げた。中継ぎでは1登板していたが、2度目の登板で5回4安打1失点。仙台育英、早大を経て入団した右腕にとっては2人の監督に贈る感謝の白星となった。
タイプの異なる2人の名将によって、投手として生き抜くすべを叩き込まれた。プロ初先発で、伊藤樹は並のルーキーのマウンドさばきではなかった。
「初先発は一度しかないので勝ちたいと思っていた。結構勝ち運があるタイプ。今日も運が良かった」
恩師の一人が、22年夏に母校仙台育英を甲子園初優勝に導いた須江航監督だ。秀光中でも指導を受け、計5年間徹底的に考え方を叩き込まれた。
プレーや行動の一つ一つに「なぜ?どうして?」と問いかけられ、「自分の言葉で返せないといけない。考えないとしゃべれないので考えました」と言う。試合の状況、打者との駆け引き、配球、全てに根拠を持ち、瞬間的な対応力を自然と身に付けた。
それが初回に生きた。先頭の宗、来田に連続三塁打を浴び、わずか5球で先制を許した。バタバタして一気にのみ込まれそうなところで、理論的な思考を巡らせて踏ん張った。最速152キロの直球にスライダー、スプリットなどを交えて手玉に取る。終わってみれば5回を1失点。「初回は本当にどうなるかと思った」と言ったが、自らの粘りでプロ初白星を手繰り寄せた。
早大ではロッテなどで活躍した小宮山悟監督の下、徹底的に心を鍛えられた。それも生きた。須江監督とは全く異なる、根性論的な指導。「なぜ、こんなに走る?なぜ、こんなに投げる?」と初めは大いに戸惑ったが「この試合は俺が投げきる。それを学びました。エースと心中、実はそういうのに憧れていた」とエースとしての心構えを身に付けた。
4年春の明大戦。登板予定2日前に39度以上の高熱を発症し、2日間動けなかったが「いけます」と宣言。満を持して先発し、東京六大学史上25人目となるノーヒットノーランを達成した。「今までそういうことはなかった。全く違う監督に学び、最高だった」。須江、小宮山両監督への感謝の思いを白球に乗せたプロ初勝利だ。
次回先発は9月1日、地元秋田でのオリックス戦に決まった。「(4四球は)反省して、もっといい形で入れるようにしたい」。この日観戦に来られなかった両親に2つの記念球を送るつもりだ。(花里 雄太)
◇伊藤 樹(いとう・たつき)2003年(平15)8月24日生まれ、秋田県美郷町出身の23歳。仙台育英では1年春からベンチ入りし、同年夏、3年春に甲子園出場。早大では1年春から六大学リーグに登板し、通算63試合で22勝5敗、防御率2.19。4年春にノーヒットノーランを達成した。1メートル77、85キロ。右投げ右打ち。

