「みいちゃんと山田さん」アニメ化、別団体も意見書 精神障害者団体が「偏見や誤解を助長」懸念する声明
漫画「みいちゃんと山田さん」(みい山)のアニメ化を巡り、精神障害者の権利擁護などに取り組む全国「精神病」者集団が意見書を公表した。作品について「障害者に対する既存の偏見や誤解を助長するものであると考えます」と評価し、問題点が解消されないままアニメ化することへの反対の姿勢を示した。同作のアニメ化を巡っては、今月19日にも「全国手をつなぐ育成会連合会」が意見書を公表。知的障害への偏見が広がるリスクに懸念を示している。
同団体は1974年に結成された精神障害者個人・団体による全国組織。今回、アニメ化の発表後に多くの問い合わせが寄せられたとして、原作の最終話まで確認した上で「作品に対する評価、アニメ化に関する見解およびアニメ製作委員会に対する要請」をまとめた。
作品中には「みいちゃんから賃金を搾取する雇用主、暴力を振るう交際相手、金銭によって女性の身体を買う人々」などが描かれていると評価する一方、「これらの問題が十分に掘り下げられないまま」と指摘。物語全体として「みいちゃん自身の認知的な特性や言動が、彼女を不幸へと導いた原因であるかのような印象を強く残す構成」とした。
その上で「本来問われるべきなのは、搾取や暴力、貧困、排除、必要な支援や合理的配慮、意思決定支援の不足といった社会的要因のほう」と主張。「個人の特性ではなく、搾取や暴力を生み、被害を受けた人を孤立させる社会の側にこそ、より明確に焦点を当てる必要がありました」とした。
また、最終話で山田さんも心身を消耗させた末に死亡する結末についても言及。「障害者本人だけでなく、その周囲で関わる人も不幸に巻き込まれるという既存のステレオタイプを補強する物語として受け取られかねません」と懸念を示した。
さらに「知的障害や発達障害などの特性を、悲劇的な結末や周囲の不幸と結びつけて消費させる危険を有しています」とし、「以上から本作品は、障害者に対する既存の偏見や誤解を助長するものであると考えます」と結論づけた。
アニメ化に対し同団体は、単に専門家から助言を受けるだけでは「原作がもつ構造的な問題を解消できるとは限りません」と指摘。知的障害、発達障害、精神障害のある当事者や当事者団体について「完成間近の作品に意見を述べるだけの形式的な監修ではなく、企画、脚本、演出、宣伝方法などの意思決定に実質的に参画できることが必要」と求めた。
同作を巡っては19日にも、知的・発達障害のある人や子どもの権利擁護に取り組む「全国手をつなぐ育成会連合会」が意見書を公表している。
同連合会は「一律に映像化に反対する立場ではありません」としつつ、主人公のみいちゃんについて「軽度知的障害もしくは境界知能とされる状態であることが強く示唆されています」と指摘。作品タイトルに含まれる「みいちゃん」についても、知的障害や発達特性のある女性を排斥・侮辱する言葉として使われている事例が複数報告されているとした。一方で、制作側が意図的にその言葉を拡散させている事実は確認されていないとしながらも、「懸念すべき事項」と位置付けた。
「みいちゃんと山田さん」アニメ制作側は7月27日、公式SNSで「本作は、特定の障がいや立場の方々を差別・蔑視する意図をもって制作されたものではございません」と説明。アニメ制作についても「原作の持つテーマ性を大切にしながら、関連する専門家やしかるべき機関の監修・ご指導のもと、適切なレーティングや注意喚起を記載するなど、より慎重かつ丁寧な表現に努めて制作を進めてまいります」としている。

