腎機能改善のためにやっていない?「極端な糖質制限」と「たんぱく質控え」食習慣の2つの勘違い

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「腎機能値が下がっている」と健康診断で言われると、不安になるだろう。そこで腎臓に良いことをしようとネットなどで情報を探ってみても、さまざまな情報があふれていて何が正しいのかわからない。

腎臓専門医の郄取優二さんの著書『100歳まで元気!腎臓を強くする食のトリセツ』(扶桑社)から、糖質やたんぱく質を控えることのリスクについて一部抜粋・再編集して紹介する。

極端な糖質制限はNG…?

糖質は少なめの方がいいと考えて、ごはんやパンの摂取量をゼロにしてしまうような「極端な糖質制限」はすすめられません。

私たちの主食である糖質は、体にとって欠かせないエネルギー源です。

それを極端に減らしてしまうことは、体に大きなダメージを与えかねません。

極端な糖質制限によって、たとえば、次のような問題が生じる可能性があります。

・脳のエネルギー不足
糖質は脳の主要なエネルギー源です。糖質が足りないと、脳がエネルギー不足に陥り、頭がぼうっとしてしまったり、集中力や思考力が低下してしまうケースがあります。

・筋肉の分解とリバウンドのリスク
糖質が減ることで、体はエネルギー不足に陥ります。体はエネルギーをつくるために、筋肉のアミノ酸を分解して糖に変える「糖新生(とうしんせい)」という仕組みを働かせます。

つまり、糖質を極端にカットすれば、自分の筋肉が削られてしまうおそれがあります。しかも、これにより筋肉量が減少すると基礎代謝も低下。リバウンドのリスクが高まり、やせにくい体質になってしまうのです。

便秘のリスク
糖質を多く含むごはんやパンなどの食品は水分も多く含まれているため、これらを制限すると体の水分が不足しやすくなります。また、便のかさを増やす材料となる食物繊維の摂取量も不足し、便秘になりやすくなります。

このように、極端な糖質制限はさまざまな問題が生じるわけですから、過度な食事制限は行わずに、まずは日々の食生活を見直すことから始めましょう。

とくに高齢者の場合、極端な糖質制限を行って栄養不足・エネルギー不足に陥るのはとても危険です。糖質を減らすにしても、あくまで「いつもよりちょっと控えめにする」程度にとどめておくのがいいでしょう。

予防でたんぱく質を控えるのは?

慢性腎臓病を発症し、腎機能が低下していくと、確かにたんぱく質制限が必要となるケースがあります。たんぱく質のとり過ぎが腎臓の負担となるためです。

しかし、それは、ある程度病気が進行してからのことです。たんぱく質制限が検討されるのは、腎機能のステージでG3以降。

病気を発症する前から、もしくは、病気発症後まだそれほど悪化していない段階(G1〜2のステージ)から、自己判断でたんぱく質を大きく制限することはおすすめできません。

ましてや医師の指示がないのに、たんぱく質を減らし過ぎてしまうことは、非常に危険です。主なリスクを挙げてみましょう。

・筋肉量低下のリスク
たんぱく質は筋肉の材料です。摂取されるたんぱく質が不足すれば、筋肉量、筋力が落ちていきます。高齢者の場合、これによってサルコペニア(身体機能が全般的に低下した状態)やフレイル(心身の虚弱状態)につながり、将来的には寝たきりや認知症になるリスクが高まります。

・腎機能への悪影響
たんぱく質を減らす際、全体の摂取エネルギーも低下すれば、体はその不足したエネルギーを補おうとして、自身の筋肉を分解してエネルギーをつくります。これによって筋肉が減るだけでなく、結果として老廃物(尿素窒素)が増えてしまい、腎臓の負担となるのです。

・疲れやすくなる
体力がなくなり、少し動くだけでも疲れやすくなってしまいます。筋肉の疲労回復も遅くなります。

ほかにも、免疫力が低下するなど、多くのリスクが想定されるため、たんぱく質を自己判断で減らし過ぎることはやってはいけない、そうご理解ください。

郄取優二
鳥取大学医学部卒業後、岡山大学病院腎・免疫・内分泌代謝内科などを経て、現在は埼友八潮クリニック院長。