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サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会は、スペイン代表の優勝で幕を閉じた。ちょうど1カ月前のことだ。その熱狂の余韻が残る中、Xで大きな注目を集めた投稿がある。

添えられたひと言は「日本がW杯優勝できない理由」。

一緒に投稿されていたのは、団地の遊び場に掲げられた注意書きの画像だった。

「お年寄りや体の弱っている方々は、金あみに野球やサッカーボールのあたる音が大変苦痛に感じます。これらの球技は絶対にやめてください。人の痛みの分かる人になりましょう」

「球技は絶対にやめてください」──。子どもがのびのびとサッカーをできる場所がない。そんな日本の環境と、日本サッカーの現状を重ね合わせた投稿だった。

ところが、この画像には続きがある。

実は同じ画像は、2019年にもネット上で話題になっていた。あれから約7年。W杯を機に再び脚光を浴びた看板は、いまどうなっているのか。

団地を管理するUR都市機構に聞くと、こんな回答が返ってきた。

「(画像は)過去のポストであり、当該の垂れ幕(看板)は現在では撤去されています」

看板はなくなっていた。では、いまはボール遊びができるようになったのか。そういうわけでもなかった。

●再燃した「日本がW杯優勝できない理由」

W杯決勝は7月20日、スペイン代表の優勝で幕を閉じた。

日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジルに1-2で敗退。世界の頂点には届かなかった。

そんな大会の余韻が残る中、SNSで拡散したのが、冒頭の「日本がW杯優勝できない理由」という投稿だった。

投稿に添えられていたのは、都内の団地の金網フェンスに掲げられた注意書きの写真だ。

「お年寄りや体の弱っている方々は、金あみに野球やサッカーボールのあたる音が大変苦痛に感じます。これらの球技は絶対にやめてください。人の痛みの分かる人になりましょう」

スポーツのできる場所が子どもから奪われているのではないか──。画像はそんな受け止めとともに広がり、日本サッカーが世界の頂点に届かない「理由」になぞらえられて拡散していった。

●実は7年前にも話題になっていた

もっとも、この画像が世に出たのは今回が初めてではない。同じ注意書きは、2019年11月にもネット上で拡散し、議論を呼んでいた。

当時のJタウンネットの取材(同月20日配信)に対し、この団地を管理するUR都市機構は、注意書きが設置されたのは2003年ごろだとして、「お住まいの方からのご意見を踏まえて、取り付けられたもののようです」と説明していた。

遊び場(プレイロット)は住棟に囲まれており、金網にボールが当たると音が周囲に響いてしまう。そのため、住民への配慮を求めて掲示したものだという。

さらにURは当時、「表現などを検討するかどうかは未定だが、お住まいのみなさまと相談させていただきたい」とも回答していた。

それから約7年。W杯をきっかけに、画像が再び注目された。では、あの注意書きは今も残っているのか。URにあらためて問い合わせた。

●「球技は絶対にやめて」は撤去されたが…

URからまず返ってきたのは、拡散している画像が過去のものだという説明だった。

「拝見しましたが、こちらは過去のポスト(画像)であり、当該垂れ幕(看板)は現在では撤去されています」

少なくとも「球技は絶対にやめてください」「人の痛みの分かる人になりましょう」と書かれた看板はもうない。

では、現在は自由にサッカーや野球ができるのだろうか。

URによると、プレイロット(遊び場)は共用部分であり、「皆さまで譲り合いながら、自由に使っていただくもの」だという。ただ、さまざまな年代の住民が利用するため、周囲への配慮も必要になるとして、現在の対応をこう説明した。

「現在は『ボール遊びは止めましょう』『大声をださないで』との掲示をしています」

つまり、強い言葉の看板は姿を消したものの、ボール遊びを控えるよう求める呼びかけそのものがなくなったわけではなかった。

「日本がW杯優勝できない理由」として再び拡散した1枚の画像。看板の言葉は変わっても、団地の遊び場をめぐる「譲り合い」の難しさは、7年前からそれほど変わっていないのかもしれない。