佐藤龍之介【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

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【専門家の目|太田宏介】バレンシアの佐藤龍之介がプレシーズンで好調を維持

 バレンシアは8月13日に行われたプレシーズンマッチでエルクレスと対戦した。

 今夏の移籍市場でFC東京から移籍したMF佐藤龍之介はゴールを決め、好調を維持。元日本代表DFの太田宏介氏は破格のポテンシャルと、19歳でラ・リーガに挑む若き大器への期待を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 近年のバレンシアは経営難に苦しみ、かつての絶対的な強さを欠いて中位に甘んじるシーズンが続いている。そんなクラブにおいて、現時点では今夏唯一移籍金を支払って獲得した選手が佐藤だ。その額は7億円を超えるとも報じられている。太田氏は、この金額こそがクラブの期待の大きさを物語っていると分析する。

「このレベルの移籍金は、いわゆる若手の育成枠やゲスト扱いではありません。最初から即戦力として期待されているからこその待遇です。プレシーズンから攻撃の中心になっていて、非常に頼もしい。かつての古豪を引き上げる存在になってほしいですね」

 スペインメディアは厳しい批評で知られるが、早くもこぞって絶賛の声を送っている。久保建英の活躍以降、若い日本人がラ・リーガで成功を収める難しさは誰もが知るところだが、佐藤はその壁をあっさりと乗り越えようとしている。

 欧州に挑戦する日本人アタッカーは、献身的でチャンスメイクはうまいが、ゴールやアシストといった数字がついてこないという課題に直面しがちであるが、太田氏は佐藤のフィニッシュ精度の高さに着目する。

「若い選手にありがちな『ドリブルは面白いけれど最後が雑』という部分が、彼にはない。ファジアーノ岡山やFC東京の時代から見ても、最後の局面で決めきる力はおぼつかないどころか、同世代と言わず日本人アタッカーの中でも抜けています」

 そんな順風満帆に見える佐藤だが、代表での悔しい思いも経験。W杯前最後のイングランド遠征では、出番が期待された初戦のスコットランド戦で体調不良もありメンバー外に。イングランド戦でも出番はなくアピールできずに、そのまま落選となった。

「過去の代表でも、大きな大会の落選や悔しさを経験した選手ほど這い上がってきたストーリーがあります。人間的にも非常に謙虚で素晴らしい性格をしている。彼は間違いなく、これからの日本代表を背負うエースになってもらわないといけない存在です」とその挫折こそが成長の大きな糧になると語る。

 もちろん、チームの戦術が定まらずロングボール主体になった際に消えてしまう懸念などの難しさはこれから直面するはずだ。それでも、欧州初挑戦の19歳が進んだ一歩は「期待を抱かせるに十分すぎる」と太田氏。挫折を糧に進化を続ける若き才能が、スペインの地でどこまで昇り詰めるのか注目だ。(FOOTBALL ZONE編集部)