高市総理 戦没者追悼式で「反省」触れず 30年前には「反省求められるいわれない」「戦争の惨禍 繰り返さ『せ』ない」にどんな意図が?【news23】
安全保障環境が緊迫する中、日本の過去の戦争への向き合い方にも変化が見られます。終戦から81年。8月15日に行われた戦没者追悼式の式辞で、高市総理は、去年語られた「反省」という言葉を使いませんでした。
【写真で見る】「反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもない」高市早苗衆院議員(1995年当時)
「終戦の日」高市総理の式辞 消えた「反省」
「終戦の日」の15日、「全国戦没者追悼式」で式辞を述べた高市総理。
高市総理(15日)
「今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは決して忘れません」
約3分間の式辞で語られなかった「言葉」がありました。
村山富市総理(当時:1994年)
「アジアをはじめとする世界の多くの人々に、筆舌に尽くしがたい悲惨な犠牲をもたらした」
「深い反省と共に、謹んで哀悼の意を表したいと思います」
1994年に、当時の村山総理が口にした、先の大戦に対する「反省」という言葉です。
以降、歴代総理大臣も…
小泉純一郎総理(当時:2005年)
「過去の戦争への反省を示すとともに」
麻生太郎総理(当時:2009年)
「国民を代表して深い反省とともに」
毎年、この言葉を用いてきました。しかし、第2次安倍政権の2013年以降、「反省」という言葉が消えます。
安倍晋三総理(当時:2013年)
「私たちは歴史に対して謙虚に向き合い、学ぶべき教訓を深く胸に刻みつつ、希望に満ちた国の未来を切り開いてまいります」
菅義偉元総理(2021年)や岸田文雄元総理(2022〜2024年)も、これを踏襲しましたが…
石破茂総理(当時:2025年)
「あの戦争の反省と教訓を、いま改めて深く胸に刻まなければなりません」
2025年、石破前総理が復活させたばかりでした。
独自の表現「戦争の惨禍 繰り返さ『せ』ない」
時の総理大臣の歴史認識を反映する式辞。高市総理は約30年前、この「反省」をめぐって国会でこう述べていました。
新進党・高市早苗衆院議員(当時:1995年)
「少なくとも私自身は(戦争の)当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」
河野洋平外務大臣(当時:1995年)
「私は議員と全く見解を異にいたします」
先の大戦を「反省しない」と明言していたのです。
一方で、安倍元総理とも異なる“高市総理独自”の表現も…
安倍晋三総理(当時:2015年)
「戦争の惨禍を決して繰り返さない」
高市総理(15日)
「戦争の惨禍を二度と繰り返させない」
「繰り返さ『せ』ない」と一文字加え、“戦争をする主体”があいまいになる形の表現となりました。
そして、結びで強調したのは…
高市総理(15日)
「今を生きる世代も、未来を生きる世代も、希望を持てる日本を、安全で安心して暮らせる社会を創り上げてまいります」
なぜ「反省」使わず? 背景には高市総理の“歴史認識”
小川彩佳キャスター:
過去に小泉元総理なども使用してきた「反省」という言葉を今回、高市総理は使わなかったわけですが、これはどんな意図があるんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
大きく2つ理由があると思います。
1つは自民党の中の事情があり、高市さんは旧安倍派を中心とする自民党の保守系の人たちに推されています。この方々はどちらかというと「反省」という文言を入れることに対して消極的という意向を踏まえたということが1つあります。
もう1つは高市さん自身の持論です。
高市さんは正確に言うと、反省はしていないんだと。我々は反省をするいわれもないんだということを30年前ですが言っており、その後も持論は変わっていないという見方もあります。
今回「反省」を取り入れなかったのはそのような点があると思います。
小川キャスター:
意思を持ってこの「反省」という言葉を使わなかったと見られると。
ここにも繋がってきますが、これまでの総理が「戦争の惨禍を繰り返さない」としていたところを、今回の式辞で高市総理は「繰り返させない」ということで「せ」の1文字を加えました。
これはこれまでの総理が使ってこなかった表現で、強い意志を感じるようでもあります。
星浩さん:
これは1文字ですが、重要な意味を持つと思います。
「繰り返さない」ということは“自主的に”繰り返しませんよという意味です。
「繰り返させない」というのは、その時の国際情勢や日本以外の事情もあって日本は戦争をしたのであって、必ずしも日本だけが悪いのではないという意味が込められていると思います。
高市さんはこの間、一貫してどのような事情がありどのような判断でこのような発言をしているのかという説明をしていません。
30年前の発言とは言っても、総理大臣は自分の発言には責任を持たなくてはいけませんが、その背景、事情について一切語っていません。
これはむしろ近隣諸国からすれば不信感に繋がっていきます。
小川キャスター:
かなり読み解く余地を与えてしまっているような状態です。
星浩さん:
反省をしてないと言っても、被害を受けた国からすればやはり反省を求めるという意識が強いです。それにどう答えるかというのは、国の最高責任者としてきちんと表明してもらいたいと思います。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身
