アリババのQwenチームが270億パラメーターのAIモデル「Qwen3.8-27B」を公開しました。モデルのウェイトはApache License 2.0で公開されており、条件を守れば商用利用も可能。手元のPCに導入できるオープンウェイトモデルながら、一部の性能テストではAnthropicの高性能モデル「Claude Opus 4.6 Max」を上回る結果も報告されています。





Qwen3.8シリーズは2026年7月に登場が予告され、当初は2兆4000億パラメーターの「Qwen3.8-Max-Preview」が先行して利用可能になりました。その後アリババは8月に正式版の「Qwen3.8-Max」を発表。Qwen3.8-Maxはソフトウェア開発や長期間にわたる自律作業を重視したモデルで、研究論文の再現や改良に125時間以上取り組んだり、人間の介入なしに16日間ソフトウェア開発を続けたりする能力がアピールされていました。

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さらにアリババはQwen3.8-Maxの基になった「Qwen3.8-2.4T-A95B」のモデルデータも無償公開しました。Qwen3.8-2.4T-A95Bは2兆4000億という膨大なパラメーターを備えていますが、処理する内容に応じて一部だけを動かす「Mixture-of-Experts(MoE)」方式を採用しており、推論時に使用するパラメーターは950億です。それでも実行にはデータセンター級の計算環境が必要とされています。

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高性能なオープンモデルを公開しても、必要な計算資源が巨大であれば個人や小規模な開発環境で動かすのは困難です。そこでQwenチームがQwen3.8-Maxの発表時に公開を予告していたのが、パラメーター数を270億まで抑えたQwen3.8-27Bです。

Qwen3.8-27Bは必要な部分だけを動かすMoEモデルではなく、推論時にモデル全体を利用するDenseモデルで、Qwenチームは「コンパクトで展開しやすいモデル」と位置付けています。モデルデータはApache License 2.0で公開されており、Hugging Face Transformersのほか、AIモデルを高速に動作させるvLLMやSGLang、Docker Model Runnerなどから利用可能。容量や計算負荷を抑えるためのFP8量子化版も公式に公開されています。

Qwen/Qwen3.8-27B · Hugging Face

https://huggingface.co/Qwen/Qwen3.8-27B



Qwen3.8-27Bは同じ270億パラメーターのQwen3.6-27Bと比べて性能も向上しています。Qwenチームが公開した主なベンチマーク結果を抜粋すると以下の通り。掲載した3モデルのうち最高スコアを太字で示しています。Qwen3.8-27Bはソフトウェア開発能力を測るSWE-bench Proや長時間の業務遂行を測るCoWorkBenchなどでClaude Opus 4.6 Maxを上回りました。一方でTerminal Bench 2.1や科学分野の推論能力を測るGPQA DiamondではClaude Opus 4.6 Maxが上回っています。

 Qwen3.8-27BQwen3.6-27BClaude Opus 4.6 Maxターミナルでのコーディング
Terminal Bench 2.173.063.478.2ソフトウェア開発
SWE-bench Pro61.753.553.4長時間の業務遂行
CoWorkBench70.761.068.2指示への追従
IFBench79.569.162.5科学分野の推論
GPQA Diamond89.287.891.3

Qwen3.8-27Bは文章だけでなく画像や動画も扱えるマルチモーダルモデルです。画像や動画を標準で扱えるVision-Languageモデルとして設計されており、画面を見ながらPCやスマートフォンを操作したり、文書や科学分野の図表を読み取ったりできます。

長時間の動画を理解することも可能で、数時間規模の動画まで扱えるとのこと。コンテキスト長は標準で26万2144トークンで、拡張技術を利用すれば最大100万トークンまで対応可能です。

主なマルチモーダル関連ベンチマークを抜粋すると以下の通り。

 Qwen3.8-27BQwen3.6-27BClaude Opus 4.6 MaxPC操作
OSWorld-Verified84.363.972.7スマートフォン操作
AndroidWorld81.970.362.0画像を含むソフトウェア開発
SWE-MM38.625.727.1科学分野の図表理解
CharXiv(RQ、Without CI)83.778.466.0文書理解
OmniDocBench 1.591.189.486.6

ローカル実行環境も公開直後から対応が進んでいます。LM Studioは最小の量子化版について少なくとも17GBのRAMが必要と案内しているほか、OllamaでもQwen3.8-27Bを利用できます。





また、AMDはRyzen AI Max+搭載PCやVRAM 32GBのRadeon AI PRO R9700で動作可能と報告しています。





SGLangによるテストではGeForce RTX 5090を使用し、NVFP4などの最適化を適用したQwen3.8-27Bでデコード速度が毎秒206.1トークンに達したとのこと。





Qwen3.8-27Bは回答前に推論するThinking Modeにも対応しており、推論量を「xhigh」「medium」「low」の3段階で調整できます。Qwenチームは今後、100万トークンのコンテキスト長や公式の組み込みツールを標準で利用できるQwen3.8-27Bのホスト版をQwen Cloudで提供予定としています。