「起きてすぐスマホ」がやめられない人へ…充電コードを“短くするだけ”で朝が変わる意外な理由
朝、目が覚めた瞬間、無意識にスマホへ手を伸ばし、SNSやニュースをチェックしてしまう――。やめたほうがいいと思っていても、つい繰り返してしまうのは、決して珍しいことではない。では、どうすれば「起きてすぐスマホ」の習慣を変えられるのか。行動経済学者の竹林正樹氏がすすめるのは、意志の力で我慢することではなく、スマホの「充電コードを短くする」という驚くほど簡単な方法だ。朝起きられない、服選びに迷う、忘れ物をしてしまう――そんな日常の悩みを「脳のクセ」を利用して解決する方法を紹介する。「すぐやる人の脳のクセ!科学的に自分を動かす62のコツ」から一部を抜粋、編集してお届けする。
【画像】「すぐやる人の脳のクセ!科学的に自分を動かす62のコツ」
起きたら、まずカーテンの方向に手を伸ばす
朝、アラームが鳴っても、「まだ布団から出たくない……」と思うことは誰にでもあるものです。これはまさに現在バイアスの影響によって「今この瞬間の快適さ」を優先してしまい、「遅刻」という未来のリスクを後回しにする心理が働いている状態です。
そんなときに有効なのがスモールステップナッジです。たとえば、「片手を布団から出す」というアクションだけでも、脳が「そろそろ起きよう」という指令を出しやすくなります。ここで重要なのが、手を伸ばす方向です。
多くの人が無意識にスマホの方向へ手を伸ばしますが、これではせっかく朝スッキリしている脳がネガティブな情報にさらされることによってイライラしてしまいます。そこでオススメなのが、カーテンの方向に手を伸ばすことです。
カーテンに手を伸ばして、そのままカーテンを開け朝日を浴びることで、体内時計を調整するホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられます。すると、体が自然と起床モードに切り替わり、脳と体にとって「自然な朝のスイッチ」となります。
充電コードを「短いもの」に変えるだけでいい
「直感」はとても単純です。起きてすぐのぼんやりした時間に「なんだかいい朝だ」と感じられれば、その日1日をポジティブに過ごせるようになります。
とはいえ、現実はなかなかそうはいきません。目が覚めた瞬間、反射的にスマホを手に取り、SNSやニュースなどを見てしまう人が多いのです(現在バイアス)。大量の情報が目に入ると、寝ぼけたままの直感を混乱させ、一気に疲れが押し寄せます。
理想的なのは、寝室にスマホを持ち込まないことです。しかし、「緊急の連絡が来るかもしれない」「ワンルームだから寝る場所とスマホの距離が取れない」などの問題もあり、むずかしいものです。そこでオススメなのが、スマホの充電コードを短いものに変えること(逆アクセスナッジ)です。
コードが短くなることで、スマホはコンセントの近くにしか置けなくなります。結果として、ベッドの中でスマホを使うことがなくなり、「気がついたら手にはスマホ」という状態から解放されます。さらに、コードが短いと絡まりづらく、見た目もスッキリします。
自制心ではなく、「仕組み」でスマホとの上手な距離を保つ。それだけで、朝の質は変わります。
「鉄板の服」を一番上に置く
「着ていく服が決まらない」。かつての私は毎日、服選びに迷い、出かける直前に慌てる日々を過ごしていました。しかし、今は違います。毎朝着るのは、3着のスーツを順番に回すだけ。ワイシャツも、タンスの一番上にあるものをそのまま選びます。これは、服を選ばなくていい仕組み(簡素化ナッジ)です。
そう言うと、「同じような服を着回すだけなんて恥ずかしい」と思う方もいるかもしれません。しかし、私が自信をもってこのナッジをオススメできるのは、他人はあなたの服なんてほとんど見ていないからです。
アメリカで行われた実験を紹介します。大学生の被験者に有名歌手の顔が大きくプリントされた、いわゆる「恥ずかしいTシャツ」を着て、他の学生たち(観察者)数名が待つ実験室に入ってもらいました。
被験者に「何パーセントがTシャツのデザインを覚えていると思う?」と質問したところ、答えの平均は45パーセントでした。しかし、実際に覚えていた観察者は25パーセント以下でした。この実験から、「思っている以上に、人の服を見ていない」ということがわかったのです(自信過剰バイアス)。
自分がお気に入りの3着を決め、それを着回すのでも問題はないはずですよね。それだけで、朝の準備が劇的にラクになります。
忘れたくないものは、玄関のドアノブにかける
私は忙しくなるとすぐに忘れ物をしてしまいます。旅行先のホテルで薬を忘れ、深夜にタクシーで取りに戻り7万円の出費。学会においてメインで使う予定のポスターを忘れて学会発表をキャンセル。
そのときは、「もうこれ以上、忘れ物はしない」と誓ったものの、それでもまた忘れ物をしてしまうのです。
お土産を忘れないように、以前は玄関に置くようにしていましたが、それでも2回連続で忘れました。これは注意バイアス(目立つものでも見落としたことに気づかない心理)の可能性があります。これを機に、根本的な解決策の必要性を痛感しました。
そこでたどり着いたのが、玄関のドアノブに引っかけるという方法(顕著ナッジ)でした。ドアノブは、出かける際、必ず手にする場所であり、忘れようがない場所です。
それ以来、お土産物を忘れることはなくなりました。行動の直前に必ず視界に入る場所を活用すれば、忘れ物は激減します。
文/竹林正樹 写真/shutterstock
すぐやる人の脳のクセ!科学的に自分を動かす62のコツ
竹林 正樹

2026/4/24
1900円(税込)
308ページ
ISBN: 978-4868011354
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