前田敦子

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―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

ひとりで生きること、俳優として生きていくこと、そして、母として生きていくこと――。前田敦子が俳優仲間に語った、本音の言葉がある。 現在を見つめ、まだ見ぬ未来まで、あっちゃんが、今の気持ちをありのままの思いを語った。
◆ひとりで生きる、覚悟と本音

「こんなにも面白い人がいるのか──」

 俳優・(※1)小野寺ずるは、(※2)舞台『ポルノ』で共演した約2か月の稽古期間、ほぼ毎日、前田敦子と時間を共にした。気づけば、稽古場で彼女ばかりを目で追っていたという。

 世間は前田敦子を“スター”や“カリスマ”と呼ぶ。けれど、目の前にいたのは、そんな言葉では語り切れない女性だった。

「お金とか、安定した生活とか、私はそういうことで満足できる性格ではない。だから、こう生きているのかもしれない」

 稽古場でふと漏らした、その一言が忘れられない。共演をきっかけに人間性まで語り合うようになった小野寺が、“あっちゃん”の現在地に迫る。

──(※3)’21年に個人事務所を立ち上げてから、ずっと一人でマネジメントを続けています。ブランディングを含め、一人で全部の仕事をこなすのは、やっぱり大変じゃないですか?

前田:事務所にいた頃は、現場が終わったら私の仕事も終わり。でも今は、1〜100まで全部自分で見ている。負担は増えたよ。でも、自分で直接やり取りができるから話も早いし、「どうなっているのだろう」っていう葛藤もない。全体を把握できる安心感があるから精神は安定している。広告や演技など、信頼できる人と組めているし、仕事をしたい人とも自然につながれているから、素敵だなと思う事務所はあるけど、そこに所属する未来はあまり想像できないかな。

──なるほど。稽古場で聞いた、「だから、こう生きているのかもしれない」、という覚悟を、近くで見ていてすごく感じます。

前田:仕事が好きというより、一つひとつの工程を積み重ねていくほうが性に合っている。台本を覚えた、現場に行った、一つのシーンを撮り終えた、毎日タスクを終わらせていく、この感覚がすごく好きなの。

──今もペットボトルのラベルを剥がしながら、ちょっとニヤニヤしているもんね。

前田:変な意味じゃなく、ゴミが増えることすら快感なんだよね。ゴミ袋に入れて、いっぱいになったら捨てる。自分一人で、“すっきり”をコツコツ貯金するのに心地よさを感じているんだと思う。特別な理想があるわけじゃないし、望んでいるわけでもない。どちらかといえば、職人気質な性格かな。

──撮影現場にはすごく早めにスタンバイするらしいね。

前田:「あっちゃんが早すぎるから、時間通りに来ても遅れた気分になる」って言われたことがあるかな。それくらいせっかちかもね。

──稽古場で、あっちゃんがみんなに気を使わせないように明るくオープンに接してくれて助かったよ。

前田:昔は全然違ったよ。もともと、お母さんの後ろに隠れて顔も出せないくらい人見知りだったし、芸能界に入って周りと比べて自分を追い込み、不機嫌な人みたいな時期もあったし、物理的にやべえ女みたいな時期もあった。今は、「あの頃の自分はいったい何やっていたんだろう」って、反省もある。だから現場では壁をつくらずにフラットでいたい。

──瞳孔バキバキに開いたまま「おはよ〜!」って入ってくるけどね(笑)。

前田:役者さんは、人見知りが多いじゃない? お互いが遠慮し合って終わる、あの空気がもどかしくて、先輩がいる現場では様子を見るけど、そうじゃなかったら自分から話しかけるようにしている。誰かが最初に壁を壊したほうが楽だからね。