──撮影現場にはすごく早めにスタンバイするらしいね。

前田:「あっちゃんが早すぎるから、時間通りに来ても遅れた気分になる」って言われたことがあるかな。それくらいせっかちかもね。

──稽古場で、あっちゃんがみんなに気を使わせないように明るくオープンに接してくれて助かったよ。

前田:昔は全然違ったよ。もともと、お母さんの後ろに隠れて顔も出せないくらい人見知りだったし、芸能界に入って周りと比べて自分を追い込み、不機嫌な人みたいな時期もあったし、物理的にやべえ女みたいな時期もあった。今は、「あの頃の自分はいったい何やっていたんだろう」って、反省もある。だから現場では壁をつくらずにフラットでいたい。

──瞳孔バキバキに開いたまま「おはよ~!」って入ってくるけどね(笑)。

前田:役者さんは、人見知りが多いじゃない? お互いが遠慮し合って終わる、あの空気がもどかしくて、先輩がいる現場では様子を見るけど、そうじゃなかったら自分から話しかけるようにしている。誰かが最初に壁を壊したほうが楽だからね。

◆与えられた役を演じることの意味

──バラエティもイベントもやるけど、芝居だけは絶対に手放さない。それは自分でどうしてだと思う?

前田:この仕事って、誰かに呼ばれて初めて成立するものだから、そこに自分の居場所があることが嬉しい。特に芝居は、本番になると何十時間もかけて覚えた台詞が全部飛ぶんじゃないかってくらい緊張する。でも、その普通じゃ味わえない緊張感があるから続けられるんだと思う。アドレナリンなのか、脳汁なのか(笑)。あの感覚に沼っているのかも。あとはいい作品をつくるために、たくさんの技術職の方たちが集まって、ただこの仕事が好き!って空間が好き。でもこれから何を支えに続けていくのかって聞かれたら、それはまだ模索中かな。

──『ポルノ』で初めて舞台共演して、本当に圧倒されました。感情が爆発しているのに、本人はどこか冷静で。その温度差が、すごく前田敦子だなって。

前田:いつも冷静な自分がいる。いつかはもう少し気持ちよくなりたい自分と、それを止める自分がずっと葛藤している。

──だから、たまに無機質というか、ドライに映るのかな。

前田:どうなんだろう(笑)。この仕事が好きだから理想像をつくらないようにしているんだけど……。私は引き出しが少ないから、「もっとこうなりたい」って我欲が出ちゃう。そうなると、肩に力が入って軸がブレて演技も崩れる。落ち込む。毎回、これ。