横浜の織田翔希(C)日刊ゲンダイ

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 賛辞が止まらない。

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 昨春センバツ王者の横浜(神奈川)の最速157キロ右腕・織田翔希(3年)の「怪物超え」への挑戦が始まった。

 去る10日の1回戦で昨夏王者の沖縄尚学(沖縄)と激突。夏の甲子園の最速155キロに迫る154キロをマークし、8回3分の2を6安打2失点、12奪三振と好投。今秋ドラフト上位候補の沖縄尚学の左腕、末吉良丞(3年)に投げ勝った。「平成の怪物」こと松坂大輔氏を擁した1998年以来、28年ぶりとなる夏の全国制覇へ好発進である。

 沖縄尚学戦のネット裏には日米のスカウト陣が集結。NPB全12球団に加え、ヤンキース、ドジャースレンジャーズ、メッツなどのMLB球団がその投球にクギ付けとなった。

 スポーツメディアによれば、NPB球団のスカウトが「1位じゃないと取れない」「真っすぐが速い上に変化球もいい。高校生の打者では打つのは難しいでしょう」などと絶賛すれば、メジャーのスカウトも、「身体能力の高さは米国の同世代の選手たちにも引けを取らない」と褒めちぎったという。

 横浜の村田浩明監督はそんな織田について、「怪物を超えて大怪物になってほしい」と言っている。「怪物」とはもちろん松坂氏のこと。松坂氏の恩師である元監督の渡辺元智氏も、「高校時代の松坂と比べると、織田の方がいいんじゃないか。やっぱりストレートが松坂以上に速い。この時点では松坂よりはるかに上。私が見て保証します」とまで言った。

 ただ、横浜の元野球部長で松坂氏をイチから仕込んだ「生みの親」である小倉清一郎氏の見方は違う。小倉氏は、「あくまで現段階の比較だが……」と前置きしたうえで、こう続ける。

メジャー勢も獲得に虎視眈々

「織田は直球のリリース時に、人さし指と中指でうまくスピンをかけられていない。軸足である右足の使い方を見ても、膝の沈み込みが足りず、うまく使えていないから、ボールが伸びない。MAX157キロという球速の割に、あまり空振りが取れないのはそのためでしょう。松坂は98年春と夏の甲子園で、当時の高校生としては驚異的だった151キロをマークして大きな話題をさらった。松坂の直球の特徴は球速ではない。強烈なスピンがかかり、ベース板の上でホップしていた。だから、面白いように空振りが取れた。織田の方が球は速いにせよ、『質』という点では松坂の方が上でしょう」

 さらに小倉氏が続ける。

「変化球を見ても、松坂にはスライダー、織田にはフォーク、チェンジアップという決め球があるが、そのキレや精度、さらにはフィールディングや牽制といった投球以外のプレーの質を比べても、全て松坂の方が完成度が高かった。特に大きく違うのは体の強さです。松坂は高校時代、故障らしい故障をしたことがなかったが、織田はケガが多いのがプロに入ってから心配です。一方で織田は身長186センチで182センチの松坂より体格が良く、ボールに角度がある。未完成の投手であり、高3時の松坂より伸びしろがあるという見方もできる。持っている“モノ”(能力)という点では、織田の方が松坂より上かもしれません」

 織田を巡っては、NPB球団に限らず、メジャー勢も獲得に虎視眈々。すでに織田サイドに破格の条件提示を済ませた球団があるといわれている。

 前出の小倉氏は、「契約金の上限が1億円プラス出来高5000万円のプロ野球と比べ、契約金に制限がないメジャーには、やっぱり夢がある。昔のマイナーは劣悪な環境といわれたが、今は食事や移動面もだいぶ改善されたと聞く。伸びしろが大きい織田は、自由な米国でこそ伸びるんじゃないか。いきなりメジャーで活躍する姿を見てみたい」と背中を押すのだが、直球の質や完成度に劣る織田が仮に松坂超えを果たすとすれば、それなりの時間と鍛錬が必要か。