【フジテレビに川崎汽船】9月末の配当権利取りを狙うため8月中から注視したい期待銘柄5選
例年お盆明けには4-6月期の四半期決算が一巡する。その後は株式市場の視線は9月末の配当権利取りへ向かうことが多い。日本の上場企業の多くは3月期を決算期としており、その中間にあたる9月末を基準日に中間配当を受け取る権利が確定する銘柄が多い。この基準日に株式を保有していれば、後日配当金を受け取れる仕組みだ。
権利確定まで2カ月弱の余裕を残した8月は、直前に買い急ぐ投資家に先駆けて有望な高配当銘柄を仕込む好機となることが多い。直前の4-6月期決算の実態を見極めることで、9月末に向けた配当狙いの投資判断もより具体的になってくる。9月末の権利確定を狙った買いも集まりやすくなるため、株価は上昇傾向を辿りやすくもなる。
逆に言えば、直前の9月後半は先行して買い仕込んだ投機マネーの売却先として消費されやすく、買うタイミングとしては旨味が薄くなりやすい。中東情勢や為替など不透明要因は残るものの、9月末の配当権利取りを狙うならば、構造改革や株主還元強化に取り組む企業を中心に四半期決算一巡後の8月中から注視していきたいところだ。
日精エー・エス・ビー機械<6284>
8月7日終値9260円 配当利回り(予)2.59%
PETボトルをはじめとする樹脂容器用ブロー成形機(加熱した樹脂に空気を吹き込んで容器の形に膨らませる専用機械)において独自の金型技術を保持している。特に中小型の「1-Step機」(射出成形からブロー成形までを一台で完結する装置)は世界シェア約6割を誇り、化粧品や生活用品向けなど小ロットで高品質が求められる非飲料容器の製造に強みを持つ。
2026年9月期第3四半期累計(2025年10月―2026年6月)決算では、営業利益が前年同期比20.2%増の101.69億円となり、通期目標の達成に向けた極めて順調な足取りが実証された。樹脂使用量を抑える独自製品の評価が業績拡大を後押ししており、受注高は過去最高を更新した。中東情勢の影響で出荷に一時的な遅れが生じているが、ナフサ価格の上昇やサプライチェーン分断リスクは世界的に意識されており、省資源・省エネに向く同社製品にとっては追い風となる可能性がある。
同社は9月期決算企業であり、9月末の一括配当を実施する方針だ。予想配当利回りは特段高い銘柄ではないが、権利確定までの期間利回りとしては魅力的と言えるだろう。株主還元は連結配当性向40%を目安に安定配当を続ける考えを示していることも心強い。
クレハ<4023>
8月7日終値4420円 配当利回り(予)4.89%
2027年3月期第1四半期(2026年4−6月)決算では、コア営業利益(一時的な要因を除いた本業の持続的な稼ぐ力を示す利益指標)が前年同期比209.0%増の59.5億円と急激な業績回復を達成した。収益の底打ちと拡大の実態が数字面から証明されたことで、9月末の中間配当権利取りに向けた期待が一気に高まっている。
リチウムイオン二次電池向けバインダー(電池内の極物質同士を強力に接着させる機能性高分子材料)や高機能樹脂分野において、世界屈指の高度な化学合成技術を誇っている。また、シェールオイル掘削時のフラックプラグ(坑井内で使う分解性樹脂部品)向けPGA樹脂も成長市場に直結する機能製品だ。米国のシェールガス掘削活発化を背景に販売が堅調で、前期の生産トラブル解消も損益改善に寄与する。
株主還元方針として配当指標にDOE(連結株主資本配当率、純資産に対してどれだけの配当を支払うかを示す指標)5%を目安とする基準を採用している。純資産を基準に配当額が決定されるため、短期的な単年度業績の変動に左右されにくい。5月に発表した新中期経営計画では、29年3月期にコア営業利益190億円、ROE(自己資本利益率)8%を目標に掲げており、引き続き収益力の急回復にも注目できる。
丸井グループ<8252>
8月7日終値2964.5円 配当利回り(予)4.52%
商業施設などの店舗運営とクレジットカード事業を融合させた独自の「小売×フィンテック」モデルを展開している。エポスカードを通じた決済やリボ払い・分割払いの手数料収入が収益基盤だ。2027年3月期第1四半期決算では、小売事業の営業利益が前年同期比38%増の34億円と大幅に伸びた。フィンテック事業も安定的な利益成長を維持しており、本業の稼ぐ力が健全であることが裏付けられた。
エポスカードのクレジット取扱高は26年3月期に約4兆9,640億円(前期比10%増)に達した。家賃や公共料金など定期払い関連の取扱高構成比は約29%を占め、加盟店手数料や家賃保証手数料とあわせてリカーリングレベニュー(継続的収入)として安定収益を支えている。小売事業でも取扱高の大きい体験型テナントの導入が進み、連動する変動賃料収入が伸びている点も注目できる。
同社はDOE10%を方針に掲げ、今期配当は前期比3円増の134円と15期連続の増配を計画している。さらには長期的な増配を目指す累積配当(減配を行わずに配当水準を維持または引き上げる方針)も基本方針に掲げており、株主還元に対して極めて積極的な姿勢を貫いている。自己株式の取得も株価の下値を固める強力な安全装置となるだろう。
フジ・メディアHD<4676>
8月7日終値4054円 配当利回り(予)4.93%
27年3月期第1四半期決算の注目ポイントは、営業損益が160.25億円の黒字(前年同期は127.79億円の赤字)に転換したことだ。地上波広告収入は各枠とも増収となり、有料配信サービス「FOD」の課金収入やアニメ事業の使用料収入もメディア・コンテンツ事業の黒字転換を後押しした。
最大の注目ポイントは、地上波広告収入の回復とあわせて、都市開発・観光事業という成長ドライバーが控えている点にある。サンケイビルを軸とした都市開発・観光事業も展開し、ホテル・リゾート事業も運営している。同社が保有する都心の好立地不動産に関する含み益(保有している資産の時価が取得時の価格を上回っている金額)は膨大であり、PBR(株価純資産倍率)の是正に向けた資本効率の改善が期待されている。安定したキャッシュフローは、高い配当水準を根底から支える構造ともなる。
ROE(自己資本利益率)は27年3月期に6%、34年3月期に8%とする目標を掲げ、政策保有株式も28年3月期までに合計1,000億円超の売却を目指す。改革アクションプランでは30年3月期までに2,500億円の自社株買いを実施するほか、27年3月期と28年3月期の配当を200円へ引き上げる方針だ。
川崎汽船<9107>
8月7日終値2855円 配当利回り(予)4.20%
2028年3月期からの次期中期経営計画期間では、自己資本比率(オフバランス傭船料込み)を26年3月期末の59-61%から、短期的に50%前後をめどに引き下げる方針だ。5月29日には上限1,300億円の自己株式取得を公表しており、6月30日までに687億円を取得済みだ。資本適正化を進めながらも継続的な株主還元姿勢を維持している点が注目ポイントとなる。
同社は自動車船やドライバルク船(鉄鉱石や石炭などの乾貨物を包装せずにそのまま積載する専用船)、LNG(液化天然ガス)運搬船の運航において高い世界競争力を誇る。2027年3月期第1四半期決算では、経常利益が前期比10.9%増の240.46億円と着実な増益を達成した。海運市況の変動を吸収する事業構成へのシフトが進んでおり、年間120円(中間60円)の配当予想の裏付けとなる業績実態が示された。
4-6月のコンテナ船運賃やドライバルク運賃の動向を踏まえると、足元の株価には短期的な業績好調は、ある程度織り込まれていると考えられる。一方、自己株取得は9月30日まで実施される予定であり、十分な余力を残していると推察される。9月末の配当権利取りにかけては取得の進捗とあわせて追加還元への期待が株価の下支え要因になるだろう。
2026年9月末の配当権利付き最終売買日は9月28日(月)に迎える。直前で高値を掴むリスクを避け、権利落ち後の急落を防ぐためには、有望銘柄の配当利回り妙味が高まるタイミングを時間的な余裕のある段階から注視することが重要となる。業績モメンタム(勢い)の高さや強固な還元方針が確認できれば、仮に権利落ちで株価が下落したとしても、その後の業績上方修正や増配期待が株価の下支え役として機能しやすいからだ。
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