70代の父は、今も週5日働き続けています。夫婦で年金を月「20万円」受け取っていても、年金だけで暮らすのは難しいのでしょうか?
働き続ける高齢者は少なくない
厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給を受給する高齢者世帯のうち、それらが総所得の100%を占める世帯は41.3%でした。反対に見ると、約6割の世帯には給与や事業収入、財産所得など、年金以外の所得があることになります。
同調査では、生活が「大変苦しい」または「やや苦しい」と答えた高齢者世帯が52.1%に達しました。年金を受け取っていても、半数を超える世帯が家計の厳しさを感じています。
実際、高齢者が働くことは珍しくなくなっています。内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、労働力人口に占める65歳以上の割合は13.7%で、長期的には上昇傾向です。
令和7年の労働力人口比率は、65~69歳で56.1%、70~74歳で36.7%、75歳以上でも12.7%でした。いずれの年代も上昇傾向にあり、70代で働き続けることは特別な例とはいえません。
年金月20万円では平均的な支出を賄えない可能性がある
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月の実収入が25万4395円、税金や社会保険料を差し引いた可処分所得が22万1544円でした。
これに対し、消費支出は26万3979円です。可処分所得から消費支出を引くと、毎月4万2434円不足する計算になります。
夫婦の年金が月20万円の場合、税金や社会保険料を差し引いた後に使える金額は、原則として20万円より少なくなります。仮に消費支出が調査の平均と同じ26万3979円なら、年金だけでは毎月6万円を超える不足が生じる可能性があります。
ただし、家計調査はあくまで平均です。持ち家で住居費が少ない世帯と、家賃や住宅ローンを負担している世帯では必要額が違います。自動車の有無、通院の頻度、趣味や交際費によっても支出は変わるため、年金月20万円で暮らせるかは各家庭の状況によります。
70代で働く理由は生活費を補うためだけではないケースも
毎月の赤字を埋めるには、貯蓄を取り崩すか、仕事などで収入を増やす必要があります。
例えば月5万円不足すると、年間では60万円です。10年間続けば単純計算で600万円となるため、働けるうちに収入を確保したいと考えるのは自然でしょう。
また、住宅の修繕、家電の買い替え、入院や介護など、毎月の生活費とは別にまとまった支出が発生することもあります。父親が週5日働いているのは、現在の生活費だけでなく、こうした将来の支出に備えて貯蓄を維持するためかもしれません。
一方、仕事には収入以外の役割もあります。生活のリズムを保ち、人と交流する機会や生きがいを得るために働く人もいます。ただし、週5日勤務が体力的な負担になっている場合は、勤務日数や時間を減らすことも選択肢です。
年金月20万円で暮らせるかは実際の家計を確認して判断しよう
夫婦で年金を月20万円受け取っていても、平均的な高齢夫婦の支出と比べると、年金だけでは不足する可能性があります。そのため、70代になっても働き続けることは、特別なこととはいえないでしょう。
まずは年金の手取り額と、食費、住居費、医療費などの月額を確認しましょう。働かなくても収支が合うのか、貯蓄を毎月いくら取り崩すのかが分かれば、週5日勤務が本当に必要かを考えやすくなります。
家計と健康の両方を確認し、無理のない働き方を家族で話し合うことが大切です。
出典
厚生労働省 2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 4 所得の種類別の状況(11ページ)、7 生活意識の状況(16ページ)
内閣府 令和8年版高齢社会白書 令和7年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況 第2節 高齢期の暮らしの動向 1 就業・所得(16~17ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

