日米財務相は強力(片山さつき財務相とベッセン米財務長官=財務省提供)

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「日米通貨同盟の完成形」──三村財務官はこう強調したが、そんな生易しい話じゃない。

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 片山財務相が3日明らかにした日米両政府による円買いの為替介入のことだ。一時、1ドル=164円に迫るほどに円安が進んでいたが、日本政府が7月30日夜に為替介入し、一気に5円以上の円高に。米東部時間の7月31日には、日米の協調介入が実施された。円が155円台になったのは、5月上旬以来、3カ月ぶりだ。

 ベッセント米財務長官が30日に米メディアで「円は過小評価されている」と発言していた。協調介入を“予告”していたわけだが、その際、「高市首相は高い支持を集め、強力な政策を打ち出している」とも言っていた。これは一種の褒め殺しだろう。

 米国はGWの日本政府の為替介入で米国債が売られたため、日本の追加介入には厳しい視線を向けていた。それが一転、協調介入である。トランプ大統領は「介入は友情の証しだ」と言いつつも「利益を得られる」とホンネ。自国第一主義の米国が、日本をタダで助けるわけがない。

「日米で取引があったと見ています。協調介入に当たっては米国から条件が出された」

 こう話すのは日米の事情に詳しい金融関係者だ。米国側の条件は3つあったという。

米国債は売らない     

 米国は、為替介入について、米国債売却ではなく、米国債を担保に一時的な米ドル資金の提供を受けられる米連邦準備制度の「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」を使うなら許可する。つまり、米国債は売れなくなった。

「高市首相は『円安ホクホク』で含み益が出ている外為特会を使って為替介入し、積極財政政策のための税外収入をつくろうとしていた。しかし、米ドルを借りれば、逆に利払い費が発生する。思惑が外れた」(前出の金融関係者)

∧胴颪悗投資促進     

 日米両政府が昨年合意した5500億ドル(約90兆円)の対米投資計画について、日本側は「円安だから難しい」と早期の投資に抵抗していた。今回の協調介入は、米側の「だったら円安を修正すれば、投資するんだな」ということ。

F銀の利上げ要求     

 7月の日銀金融政策決定会合は政策金利を据え置いた。6月会合で1%に引き上げたばかりだったこともあるが、米側は「円安是正のために、2会合連続の利上げでも構わない」との意向だったらしい。今回の協調介入で、日本は次回の利上げを確約させられたもよう。

「9月の利上げは確定的で、日銀は準備に入ったようです。さらに12月。年内あと2回の利上げです」(前出の金融関係者)

深刻さを理解できないから高市首相は外された

 片山大臣は今の円安を「無秩序な投機」と言っているが、実態は、高市政権の財政拡張路線へのマーケットの懸念が理由だ。どんなに介入しても根本原因を取り除かない限り、円安は止まらない。

 エコノミストの田代秀敏氏(テラ・ネクサスCEO)はこう言う。

「日米で協調介入したのは2011年の東日本大震災の後と1998年の日本の金融危機の時でした。つまり米国は、高市首相の『責任ある積極財政』が、それらに匹敵する危機を招くと思っている。米国の金融市場では、円が暴落して窮地に陥ったら日本は米国債を売却するのではないかという警戒感から米国債の売り逃げが始まりかねない状況で、米国は先手を打って、米国債の暴落を回避しようとしたわけです。ベッセント氏は何度か高市首相と接触したが、そうした複雑な状況を理解する相手ではないと冷静に判断したのでしょう」

 片山大臣も財務省も、当然米側の意図を理解しているだろう。深刻さを分かっていないのは、高市首相だけということだ。

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 党内基盤が弱い高市首相にとってトランプ大統領は強い後ろ盾だったはずだが……。関連記事【もっと読む】『トランプ大統領もそっぽ 表面化した日米包囲網「反高市」うねり急拡大…2大後ろ盾が剥落』で詳しく報じている。