Appleが従業員に仕事用と個人用のiCloudアカウントを混在させることを推奨した結果、元従業員は退職後も機密性の高い社内ファイルにアクセスできていることが明らかに

Appleは従業員に対して、個人用Appleアカウントで仕事用のiCloudアカウントを利用することを推奨しています。この方針により、一部の元従業員がAppleを退職した後も長期にわたって機密性の高いデータにアクセスできる状態にあることが明らかになりました。
How an Apple iCloud Policy Fueled Employee Leaks Ahead of OpenAI Suit - The Information
Apple’s secrecy efforts partly undermined by lax work iCloud policy - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2026/08/03/report-apples-secrecy-efforts-partly-undermined-by-lax-work-icloud-policy/

2026年7月、Appleは企業秘密侵害でOpenAIを提訴しました。Appleの主張によると、OpenAIは独自端末の開発に向けてAppleの従業員の引き抜きを行い、引き抜いたAppleの元従業員に対して製品情報やコンポーネント、図面、その他の資料を共有するよう呼びかけていたと主張しています。
AppleがOpenAIを企業秘密侵害で提訴 - GIGAZINE

この訴訟の中で、Appleは機密情報や企業秘密を保護するために講じているいくつかの対策を概説。対策には契約上・技術上・物理的・手続き上の安全対策が含まれており、具体的には「定期的な機密保持研修」「複数の契約書の締結」「退職する従業員に会社のデバイスを返却させ、機密情報へのアクセス権限を保持していないことを確認するための面談」などが行なわれているそうです。
なお、企業秘密侵害訴訟の判決は、企業が問題の情報を機密に保つため合理的な措置を講じることができていたかを証明できるかどうかに大きく左右されます。そのため、今回の訴訟において「Appleが機密情報や企業秘密を保護するために講じている対策」は、両社の主張における中心的な役割を果たす可能性が高いです。
テクノロジーメディアのThe Informationは、「過去10年間で他社に転職したAppleの元従業員は、退職後も機密情報へのアクセスを継続していた」という複数の事例を報告しています。
Appleに新入社員が入社すると、多くの場合、iPhoneとMacが支給され、大容量のオンラインストレージを備えたiCloudアカウントも支給され、iCloudの料金は会社負担となります。なお、AppleはこのiCloudアカウントを用いて社内文書やその他のファイルを新入社員と共有するそうです。入社手続きの際、Appleは新入社員に対して個人用Appleアカウントと、配布されるiCloudアカウントを連携させることを推奨しています。

The Informationによると、iPhoneユーザーには「一度にすべてのiCloud機能を利用できるメインのAppleアカウントにしかログインできない」という制約があります。そのため、個人用と仕事用の2種類のデバイスを持ち歩くことを避けるため、ほとんどのApple社員は「個人のAppleアカウントを使ってiCloudアカウントにアクセスしている」そうです。2010年代の後半以降、Appleの従業員はiCloud内の会社管理フォルダにアクセスでき、退職時にはそのフォルダが自動的に削除されるようになっている模様。
しかし、この会社管理フォルダにデータを自動で保存することはできないため、このフォルダ以外の場所で共有されたファイルは、従業員の個人データと混ざったまま保管されることとなり、「退職後もアクセス可能なままになっている」とThe Informationは報じました。
被告側は「Appleが事実上業務の一部として使用を義務付けているAppleのシステム(iCloudやiMessageなど)を使用するだけで、意図せず機密情報を『保持してしまう』よう仕向けている」と主張していますが、Appleは今回の訴訟のケースでは状況が大きく異なると言及。
AppleはThe Informationに対して「本件は、OpenAIの従業員が、未公開の技術、プロセス、製品に関するAppleの機密情報を不正に持ち出したことに関するものです。提出書類には、iCloudで共有または保存されている文書に関する内容は一切含まれていません」と述べました。
また、Appleは「Appleの文書を誤って個人のiCloudアカウントに保存してしまった元従業員に対して、法的措置を取ることはない」とも付け加えています。
