7月31日(金)放送の『沸騰ワード10』は、“自衛隊に取り憑かれた”カズレーザーが海上自衛隊の舞鶴基地へ。海上自衛隊の掃海艇「はつしま」にテレビ初潜入。さらに、海中に仕掛け船を爆破する”海の地雷“機雷を命がけで処理する掃海部隊の訓練の全貌を紹介した。

最新鋭の掃海艇「はつしま」とは?

京都府にある海上自衛隊の舞鶴基地は、日本海に面する国防の重要拠点。まず目に入ったのは護衛艦の数々。日本を弾道弾から守る8隻のイージス艦の1つ「みょうこう」や、最大11機のヘリコプターが離着陸できる全長197mの洋上の基地「ひゅうが」が並ぶ。

その先に、最新鋭掃海艇「はつしま」を発見。全長60mで、約45人が乗艇。部隊のロゴマークとして描かれているのは戦乙女・ヴァルキリー。機雷を処分する勇敢な戦士たちを、ヴァルキリーに導いてもらおうという意味が込められているそう。





掃海艇の第一の任務は、航路や港に機雷がまかれ封鎖された場合にそれらを処分し、普通の船が安全に通れるようにすること。世界を見ても実際の機雷を処分した国は非常に限られており、掃海部隊は戦後の日本の海を守ってきた。

海中に隠された機雷の性能とは

機雷は、発見・処理されないよう種類や性能が進化し続けている。この係維機雷の模擬爆弾は全長約2m。係維機雷は、一発で船底に穴を開け航行不能にする威力を持つ。



水中に入れると、下の架台部分と機雷本体が分離。海底の重りとワイヤーでつながれ、水中に浮いた状態で設置されるという。肉眼では発見が困難な海中に隠され、タンカーには水深20m、潜水艦には水深100mなど、深さを変えてあらゆる船舶を狙う。

そんな海中に隠れた機雷を探すため、「はつしま」の前側には機雷探知機を装備。探知機から音を出し、そのはね返りを確認して機雷を探す。機雷は大体が金属でできているため、はね返りによって機雷が仕掛けられている場所や大きさ、水深まで把握できるという。

発見した機雷を安全に除去するために使うのが、フロートと呼ばれる浮き具。



ワイヤーを海に浮かぶフロートに取り付けて投入し、機雷があると思われるポイントまで伸ばす。さらに先端にカッターを取り付け、機雷と海底の重りを結ぶ鎖に引っ掛けて切断する。

鎖を切ることで機雷を海面に浮かび上がらせ、数100m離れた場所から20mm機関砲で処分する。



20mm機関砲は1分間に約600発を発射。艦橋にある高性能カメラとリンクしており、標的を自動で追尾するという。

世界の海を脅かす最新機雷「マンタ」

世界の海を恐怖に陥れているというのが機雷「マンタ」。



ヨーロッパで開発され世界中で使用されている海底設置型の機雷で、海底に設置したまま、近くを船が通ると音や磁気、水圧などに反応して爆発する。

「マンタ」には高性能センサーが内蔵されており、船のエンジン音やスクリュー音、水圧、磁気などを感知できる。いずれかに反応すると大爆発を起こし、船を航行不能にしてしまう。

さらに、船が1回通過した時ではなく、2回目や5回目、8回目など、任意の回数で作動するよう設定できるほか、スイッチを入れてもすぐには起動せず、何年後に作動するかまで設定できるという。

比較的安価なものでは数十万円で製造できる一方、何十億円もする護衛艦や貨物船を真っ二つにしてしまう威力を持つ。

磁気を発生させない「はつしま」の秘密

進化する機雷に安全に近づくため、「はつしま」には驚きの工夫が。その船体は磁気を避けるためFRP(ガラス繊維などで補強した繊維強化プラスチック)製。磁気発生率はゼロで、機雷に安全に近づける世界トップクラスの掃海艇となっている。



金属を使う部分には、磁力を帯びないアルミやステンレスを採用。船内の居住スペースも磁気を発するものはほとんどなく、ロッカーはすべて木造。



ノブにはステンレスを使用し、鉄製ハンガーや磁気を帯びたネックレスの持ち込みも禁止されている。指輪も検査の対象となり、持ち込む際には許可が必要だそう。

エンジンにも、掃海艇専用の高性能国産ステンレスエンジンを採用している。

最新鋭の機雷除去システムと機雷掃討戦訓練

「はつしま」の中枢である「CIC(シーアイシー)」戦闘指揮所で行われる訓練の様子も紹介。

対機雷戦では、戦闘指揮官が「CIC」ですべての操作を実施。戦闘中はカポック(救命胴衣)を着用し、万が一に備えて非常用の脱出口も設けられている。艦橋にも安全対策が施されており、椅子にはシートベルトを装備。



探知機で海底に隠された機雷を発見すると、切り札として投入されるのが、国産水中無人機「S-10」。



アルミとステンレス製のボディは磁気機雷に反応せず、流線型の形状によって移動中に無駄な水圧が発生しにくい設計になっている。さらに、電動スクリューは電気自動車のように静かで、機雷に音もなく近づくことができる。

内部には爆雷が設置され、機体の下部にはカメラを搭載。ケーブル給電方式を採用し半永久的に稼働できるほか、遠隔操作で安全に投下できる。

「S-10」が目標を確認すると爆雷を投下。その後安全な距離まで浮上し、遠隔信号で爆雷を起爆して機雷を爆破する。

「S-10」以外にも、機雷の種類に応じたさまざまな特殊装備が。磁気に反応する磁気機雷には、船から離れた場所で電流を流し、人工的に磁気を発生させる磁気掃海ケーブルを使用。



音に反応する音響機雷に対しては水中発音体を投入し、さまざまな船のエンジン音やスクリュー音を再現して機雷を作動させる。



人の手で機雷を処分する「EOD」水中処分員

実は日本では多い年で年間1000発以上の不発弾が見つかっており、掃海艇は戦後80年がたった今も爆破処理を続けているそう。

しかしどれだけ技術が進歩しても、掃海艇だけでは撤去できないケースがある。岩陰や入り組んだ浅瀬など、船が入れない海域に機雷が仕掛けられた場合だ。そこで活躍するのが、「EOD」水中処分員。掃海艇が行けない浅い海域や岩場に潜り、人の手で機雷に爆薬を設置して爆破処理を行う。



「EOD」になるには、まず潜水員を育成するスクーバ課程を修了。その中から選抜されたダイバーだけが次のステップへ進み、さらに厳しい試練を乗り越えた者だけが「EOD」になれるという。

「EOD」になるためには過酷な訓練が待っている。たとえば、重りを背負って走ったあと、船舶型教材と呼ばれる船の上から飛び降り1kmの遠泳でタイムを競ったり、波や風を人工的に発生させる装置の中で泳ぎ続けたり、などといったもの。

強靱な肉体を維持するためのトレーニングも徹底。金属製の器具を使用できない「EOD」隊員は、「壁」と呼ばれるトレーニングで腕力だけを使って壁を登るほか、任務で使用する重りを使って合計70kgをリフトアップ。揺れる船上で体幹と筋力を同時に鍛えている。



隊員たちを支える食事は?

食事は、金曜日はカレーが伝統とのこと。調理室では前日に大量の豚バラ肉を炒め、一晩煮込んだ「はつしまカレー」を提供。毎回味付けを変え、乗員が飽きないよう工夫しているという。試食したカズレーザーもその味を絶賛。



「EOD」の機雷爆破訓練

そして、「EOD」水中処分員による機雷爆破訓練に密着。機雷に潜って近づき除去するという、一歩間違えれば命に関わる危険な任務。

カズレーザーは「EOD」隊とともにゴムボートに乗り込み、洋上を進むこと約10分。GPSで示された機雷があると思われるポイントへ到着すると、機雷の近くで、エンジン音による反応を避けるためエンジンを停止し、手漕ぎで接近。

機雷まで数10mの地点で、隊員はフィンと15kgの錘ベルト、重さ30kgの特殊な半閉式潜水器を装着。



潜水器は、通常の酸素ボンベのように泡が出ない構造となっており、これは泡に反応する可能性がある機雷への対策とのこと。内部には二酸化炭素を吸収する薬剤を備え、空気を循環させることで、外へ空気が漏れない仕組みになっているという。

水圧に反応する機雷も想定し、ゆっくりと入水。さらに、機雷に反応すると音が変わるハンドソナー(音響探知機)を頼りに、視界が2〜3mほどしかない海中で慎重に捜索。万が一爆発が起きた際の犠牲を最小限に抑えるため、作業は常に1人で実施するそう。

機雷の捜索から撤去まで10数時間に及ぶこともある中、ついに危険な沈底機雷「マンタ」を発見。識別後は、長時間にわたる集中力を維持するため、爆破担当へ交代。爆破担当の隊員は、実際の爆薬を自ら背負い潜水。

機雷の下側へ爆薬を設置するが、上側に設置すると衝撃エネルギーが水中へ逃げてしまうため、下に設置するそう。泥が舞う中慎重に機雷の下を掘り、爆薬を設置。その作業時間はわずか1分。



ボートへ戻ると、爆薬につながる導爆線に雷管(電気を送ると発火する装置)を装着。



機雷に仕掛けた爆薬へつながる電線を安全な距離まで伸ばし、発破器から電気信号を送って起爆。



こうして爆破訓練は成功し、機雷の除去が完了。訓練を見届けたカズレーザーは、「目の前で作動するかもしれない機雷を処理するというのは想像を絶する恐怖だと思いますが、日本の海の平和は、こういうところで人知れず守られているなというのを改めて実感しました」と語り、「皆様もお体に気をつけてください。本日はありがとうございました」と隊員たちへ感謝を伝えた。