【藤 和彦】不動産バブル崩壊の末路かそれとも…中国の都市部では今、ボロボロで狭い中古マンションが爆売れしている

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前編記事『習近平も右往左往する事態に…異常気象、そして火事に自然災害、景気低迷の中国を襲っている災難の数々』で見てきたように、景気低迷の続く中国では追い打ちをかけるように工場火災や自然災害が起こっており、指導部も対策を講じざるを得ない事態になっている。そして不況の元凶である不動産市場はさらに冷え込んでいる感が強い状況になっていた。

「タワマン」ではなく、「老破小」

ブルームバーグは7月10日、「1970〜80年代に旧ソ連を手本にした住宅ブームの時期に建設された集合住宅が、中国の大都市で買われている」と報じた。こうした住宅は「老破小」と呼ばれ、その名の通り、老朽化し、狭い物件だ。

断熱性能が低く、配管設備も旧式であることが多いが、人気エリアに立地しているため、一部都市では小型住宅の価格が上昇する状況となっている。

実際に2026年に入ってからは、売却された中古住宅のうち半数が「老破小」だったというデータもある。

だが、この現象は中国人が不動産投資に臆病になっていることの証左であり、中国経済の内需不足がさらに深刻化するのではないだろうか。

かつての日本の例にならえば、不動産バブル崩壊の次に来るのは銀行危機だ。

金融監督管理総局と湖北省は3日、「同省の民営銀行である武漢衆邦銀行の経営権を接収し、公的管理下に置く」と発表した。民営銀行(2010年以降に認可された民間資本が主な株主である銀行)が金融監督当局の管理下に置かれるのは初めてのことだ。「同銀行が地域的な金融危機を誘発する」との危惧が高まっていたことを受けての措置だろう。

中国政府が不動産対策に本腰を入れなければ、金融システム全体が動揺する状況に陥ってしまうのは時間の問題だ。

シニア優遇はいいけれど…

新政策の導入で若年層の雇用難がさらに深刻化する可能性も出ている。

中国政府は1日、高齢労働者の基本権益保障に関する規定を施行した。同規定は定年(男性は60歳、女性の一般従業員は50歳)を迎えた高齢の労働者の権利を初めて明文化したもので、「働くシニア」にとっては朗報に違いない。年金生活に不安を抱える高齢者にとって、最低賃金でも働けるのなら御の字だ。

中国の60歳以上の人口は昨年、3億2122万人となり、全体に占める比率は約23%となった。これに対し、生産年齢人口(15〜64歳の人口)は約9億6848万人と、最も多かった2013年と比べて4%減少した。

減少する生産年齢人口を補うことが中国政府の狙いだが、「高齢者の労働参加が大学の新卒者など若い世代の仕事を奪うのではないか」との懸念が広まっている。

修士課程を出てもデリバリー

16〜24歳の5月の失業率は15.6%と全体の3倍に上っており、若者の失業難は悲惨だと言っても過言ではない。

中国では昨年、修士課程を修了した学生が初めて100万人を突破した。その多くがデリバリー配達員で糊口をしのいでいるが、ヒト型ロボットの社会進出でその職まで奪われるリスクが生じている有様だ。

日本と同様、中国の政治家も若者よりも高齢者の生活を優先しているように思えてならない。中国共産党の党員の年齢別分布をみてみると、61歳以上が30%と増加する一方、35歳以下は22%と低下している。

党員の高齢化が進む状況下で「若者の雇用環境を改善せよ」との声が強まることを期待するのは無理かもしれないが、若者の不満は高まる一方だ。

日本にとって厄介な存在になった中国だが、足元が揺らいでいるのも事実だ。プロパガンダに踊らされることなく、等身大の中国を冷静に見極めるべきだろう。

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