2026年現在、コストパフォーマンスの良さから中古一戸建ての需要が高まっています。物件を探す際、「木造と鉄骨造、結局どちらが長持ちするの?」という疑問を持つ方は多いはず。漠然と「鉄骨の方が頑丈で長持ち」と思われがちですが、実はそこには築年数に隠された盲点があります。
今回は、建築士・ホームインスペクターである、さくら事務所取締役の友田雄俊さんが、昨年(2025年)実施された約1,000件の住宅診断データから見えた、構造別のリアルな劣化傾向と物件選びのポイントを分かりやすく解説します。

■ 1. 雨漏りリスクの分岐点は「築20年」。それを超えると構造は大差なし
さくら事務所が2025年に行った中古一戸建てのホームインスペクションデータによると、雨漏りを疑うシミ跡が見られた割合には、築年数ごとに興味深い傾向が出ました。
・築20年以内:鉄骨造が圧倒的に有利 築10年までの雨漏り指摘率は木造4.3%に対し、鉄骨造は0%。築11~20年でも木造15.2%に対し、鉄骨造は6.5%と低い数値に留まります。鉄骨造は大手ハウスメーカーが多く、初期の設計仕様や品質が高いためと考えられます。
・築21年以上:木造も鉄骨造もリスクはほぼ同じ しかし築21~30年になると、木造35.6%・鉄骨造36.2%とほぼ同等になり、それ以降の築年数でも発生率に大きな差は見られなくなります。
つまり、どんなに優れた仕様の鉄骨造であっても、築20年を超えると「適切なメンテナンスを定期的に行ってきたか」が雨漏りリスクを分ける最大の要因になります。

■ 2. 建物の「傾き」は築20年超から鉄骨造が優位に
一方で、建物の著しい傾きや、地盤沈下(不同沈下)の形跡が見られる割合については、雨漏りとは逆の傾向が確認されました。
・築20年まではどちらも数%程度 木造・鉄骨造ともに指摘率は3~4%前後と、築年数が浅いうちは大きな違いはありません。
・築21年以降に大きな開きが発生 築21~30年では木造20%に対し鉄骨造12.1%。築31~40年では木造46%に対し鉄骨造20%と、築古になるほど木造の方が傾きや歪みのリスクが高くなるデータが出ています。
この差が生まれる背景には、以下の2つの理由が挙げられます。
1.骨組(木材)の経年変化:木材は鉄骨に比べ、乾燥による反りや歪みが出やすい性質があります。特に築古物件は、変形しにくい「集成材」が普及する前のものが多く、骨組の動きが出やすいためです。
2.地盤調査の取り組み時期の差:住宅の地盤調査が実質義務化されたのは2000年ですが、大手ハウスメーカーは、長期保証の観点から義務化される以前(20年以上前)から世の中の動きに先駆けて厳密な地盤調査や補強を行っていた傾向があります。

■ まとめ:構造のイメージに惑わされず、「個別の維持管理状態」を見極める
・雨漏りは築20年以降、構造に関係なくメンテ次第:鉄骨だから雨漏りしにくいというのは築20年まで。それ以降はどちらの構造であっても、過去の外壁塗装や屋根の修繕履歴がリスクを左右します。
・築古の傾きリスクは木造の方が高め:木材の経年による反りや、2000年以前の地盤対策の基準の違いから、築20年を超える物件では木造の方が歪みや傾きを抱えている確率が高くなります。
・「鉄骨=絶対安心」という盲信は捨てる:構造ごとの平均的なデータはあるものの、最終的には「その物件がどう扱われてきたか」という個別性がすべてです。
中古住宅を選ぶ際は、「鉄骨だから長持ちするはず」「木造だから不安」といった大まかなイメージだけで判断するのは禁物です。特にリスクの分かれ目となる築20年超の物件を検討する際は、表面的な綺麗さや構造の名称だけで安心せず、株式会社さくら事務所のようなホームインスペクションで客観的にチェックしてもらい、建物の歪みや雨漏りの有無、これまでのメンテナンス履歴をしっかりと洗い出すこと。それぞれの構造が持つ経年変化の特徴を正しく理解し、目に見えないコンディションまで納得した上で、これからの暮らしを長く支えてくれる価値ある一棟を選びましょう。

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