広島テレビ放送

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 西日本豪雨から、まもなく8年を迎えます。家族3人を失った男性のもとに今年、亡き息子から手紙が届きました。それは、タイムカプセルにして未来の自分に宛てた手紙でした。

 安芸郡熊野町。上西美智春(かみにし みちはる)さん、61歳。ここで家族と暮らしていました。

■上西 美智春 さん
「災害がなかったら、まだずっとここにおったかなと思うんですけど。こっちが駐車場2台車とめよって、こっちがリビングと台所。」
 
 妻と息子2人、そして犬の5人家族。にぎやかな暮らしがありました。

[2015年に撮影した動画]
■長男・優太くん(当時10)、二男・健太くん(当時8)
「母さん、元気になって早く帰って来てね。待ってるよバイバイ。頑張ってね。」

 2018年7月6日、西日本で発生した豪雨災害。広島県内では、153人が犠牲となり、今も5人の行方が分かっていません。

■広島テレビ 小野宏樹アナウンサー リポート(2018年7月7日)
「山の麓にある川角地区に、大量の土砂が流れ込みました。」

 上西さんの自宅。あの日は、家族みんなで家にいました。

■上西 美智春 さん
「(避難の)準備はしとったんですよ。嫁さんがちゃんと準備して。いつでも逃げられるようにして、車の中に僕が持ってったんじゃけど、もう出たときがすごかったんで。これで出たら多分戻ってこれんなと思ったんで。」

 上西さんだけが、外の様子を見に行ったときでした。

■上西 美智春 さん
「流れてきた家が、僕の家のほうにあたって家が崩れたんですよ。(玄関の)ドア開けようと思ったら開かんで、そのときにドンときたんで。」

 妻と息子2人を失いました。足を挟まれた上西さんも、右足を切断する大ケガをしました。
 家族が亡くなったことは、病室で知らされました。

■上西 美智春 さん
「『逃げよう逃げようと、あんだけ言ったじゃん』とか、嫁さんとか言いよるんじゃないんかな。『なんで、はよ逃げんかったん』って言うかもわからんですね、もしかしたら。『早よ逃げときゃ大丈夫だったんじゃないん』とか、もうちょっと勇気出しとけば良かったんかなと思ったり。そしたら、みんなでしんどいかもしれんけど生きとれる、一緒におれるんかなと思って。そこは謝らにゃいけん、謝っても済まないですけどね。」

 上西さんは、前の家から一キロ下った場所で、愛犬の“福”と暮らしています。
 あの日、福は家族3人と一緒にいました。家が土砂に呑み込まれて3日。瓦礫(がれき)の下にいた福と家族。福は一生懸命ほえました。

■広島テレビ 澤村優輝アナウンサー リポート(2018年7月7日)
「家のがれきの下から犬が救出されました。」

 「3人がここにいる」そう伝えたかったのです。特別な日には、ケーキを出すのが決まり事です。

■上西 美智春 さん
「あ~、もうないよ福ちゃん。食べんさいね。あとで、ここらについたやつを、ここで必ず拭く。いつもやります。ケーキの時は特に。かぶりつくんで、福ちゃん。」

 熊野東中学校のサッカー部。中学生で亡くなった長男・優太くんはここで練習していました。2年生からレギュラーで、県大会予選が始まる直前、災害に遭いました。
 サッカー部の仲間たち。思いは、優太くんとともに・・・。
 亡き友と一緒に、最後まで戦いました。試合の時は、いつも応援に駆け付けていた上西さん。

■サッカー部の仲間たち
「ずっと3年間一緒に戦ってきて、僕たちもカミ(優太)も一緒に次に進められるように、これからもみんな頑張っていきたいと思います。」

■上西 美智春 さん
「ありがとうございます。一緒に戦わせてもらって、優太も喜んどると思うんで、本当にありがとうございます。」

■サッカー部の仲間たち
「ありがとうございました。」

 西日本豪雨から、まもなく8年。熊野町には土砂を食い止める砂防ダムが整備されました。復興の歩みを進めています。

 2026年、上西さんのもとに突然、一通の手紙が届きました。宛名は、上西優太。中に入っていたのは、2枚の便箋と写真。

■上西 美智春 さん
「郵便屋さんが直接インターホンを鳴らして持ってきてくれちゃって。『20才の自分へ』って書いてあるけえ、『もしかしたらタイムカプセルじゃないかな』って、『間違いないですか』って言っちゃったけえ、『これは優太の字じゃけ間違いないです。』」

 優太くんが小学6年生のとき、「二十歳の自分」に宛てて手紙を書きました。保管されていたものを、当時の先生が送ってくれました。

【優太くんが「二十歳の自分」宛てに書いた手紙】
「20才の自分へ。今あなたは、どんな仕事についていますか?ぼくは将来サッカー選手になりたいと思っていますが、どうですか。ぼくは今、犬を飼っています。今でも福ちゃんは元気ですか。今、ぼくは小学6年生です。卒業式がもう少しです。今の担任は、今本先生という先生です。とっても今の生活は楽しいです。あなたはどうですか。楽しい生活を送れていると良いと思います。ぼくは好きな芸能人が土屋太鳳さんですが、あなたは好きな芸能人はいますか?ちゃんと高校などで勉強をしましたか。これからも楽しく生活を送っていってください。六年 上西優太」

■上西 美智春 さん
「将来サッカー選手になりたいいうのは、ちょっと当時は聞いたことがなくて、サッカーはしてたんですけど、将来サッカー選手になりたいというのは、なんか初めて知って。この手紙を読んで初めて知ったので、優太の思っていること が分かりました。」

 知らなかった息子の一面に触れた気がしました。
 6月、上西さんが向かったところ。命日の前には、必ず家族に会いに行っています。

■上西 美智春 さん
「優太とか、健ちゃんが好きだったじゃがりことか、よく飲みよった飲み物を持ってきました。」

 3人に伝えたこと・・・。

■上西 美智春 さん
「『あっという間に8年経ったね』って言って、『僕も福ちゃんも元気でおるけえね』って言いました。ここに来ると、なんか来たよって感じ。会いにきたよって感じ。」

 20才の自分へ。優太くんが描いた未来。
『今でも福ちゃんは元気ですか』
 お父さんの支えになっています。

■上西 美智春 さん
「福ちゃんと2人で元気に過ごすことが一番の目標で、これからもずっと、そうできるようにしていきたいと思います。」

『とっても今の生活は楽しいです。 あなたはどうですか。』

【2026年7月3日 放送】