年金生活の母が「税金を払っていないから医療費控除は意味がない」と領収書を捨てています。「所得税」が0円でも、申告すれば「住民税」が安くなるケースはあるのでしょうか?

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1年間で支払った医療費が一定額以上になると医療費控除の対象になり、所得税や住民税の負担を軽減できる場合があります。   しかし、年金の受給額が非課税枠の場合は所得税がかからないため「医療費控除を申告しても意味がないのでは?」と考える人もいるでしょう。   本記事では、所得税が0円の場合の住民税において、医療費控除による負担軽減や領収書がない場合の申告方法について解説します。

所得税が0円でも「住民税」は課税されている?

所得税が非課税になるのは、1年間の所得が所得控除額を下回る場合や、税額控除により所得税額が0円になった場合です。所得税が非課税の場合、住民税がかからないと考える人は少なくありません。
しかし、住民税は非課税となる基準が所得税とは異なるため、所得税が0円でも住民税がかかるケースはあります。
まず、住民税は一定以上の所得がある人が同じ額を負担する「均等割」と、個人の所得に応じて負担する「所得割」の2種類の方法で計算します。均等割の標準税額は4000円で、所得税が非課税の人でも負担しなければならない場合があります。また、令和6年度からは森林環境税1000円も個人住民税均等割と併せて徴収されるため注意が必要です。
今回は「年金生活の母親」のため、年金収入のみの場合の所得税と住民税の非課税基準を表1にまとめました。例えば武蔵野市の年金収入のみの人の目安は以下の通りです。
表1

所得税 住民税 年金収入のみ(65歳以上) 205万円 155万円 年金収入のみ(64歳以下) 155万円 105万円

出典:武蔵野市「税額 よくある質問」を基に筆者作成
所得税だけでなく、住民税も非課税の基準内かどうかを確認したうえで、医療費控除の必要性を検討するとよいでしょう。

医療費控除で住民税の負担を減らせる

医療費控除の申告をすると、1年の間に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引いたうえで、10万円を超える部分の所得控除を受けられます。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超える部分が控除対象となります。
医療費控除により負担を減らせるのは、所得税だけではありません。翌年の住民税も対象です。
住民税の所得割の税率は、課税対象となる所得に対して10%です。そのため、所得割が課税されている場合は、医療費控除額の10%相当分だけ住民税が安くなります。
所得税が非課税の基準内であっても住民税が課税されている場合は、申告によって負担を軽減できる可能性があるでしょう。

領収書がなくても申告できる?

医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。
国税庁のホームページから「確定申告書」と「医療費控除の明細書」をダウンロードし、医療費の領収書を基に明細書に必要事項を記入しましょう。確定申告書の「医療費控除」の欄には、計算した金額を記載して提出します。
領収書を添付する必要はありませんが、領収書の内容を基に医療費控除の明細書を記入するため、申告時には手元にあると安心です。
今回は「領収書を捨てている」ということですが、領収書がなくても、マイナポータル連携を利用するとマイナポータル経由で医療費通知情報を取得でき、申告は可能です。確定申告書への入力も自動で行われるため、活用するとよいでしょう。

所得税が0円でも住民税は課税されている場合、医療費控除を申告することで安くなるケースもある

非課税になる基準は所得税と住民税で異なり、所得税が0円でも住民税は課税されている場合があります。
医療費控除を申告することで所得税だけでなく翌年の住民税も安くなるケースがあるため、所得税が非課税の基準内であっても、住民税の所得割が課税されている場合は申告を検討するとよいでしょう。
領収書がない場合は、マイナポータル連携を利用することで医療費通知情報を取得でき、申告が可能です。
 

出典

武蔵野市 税額 よくある質問 所得税は非課税でしたが住民税は課税になりました 非課税となる基準が異なりますか
国税庁 令和7年分確定申告特集 医療費控除を受ける方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー