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次世代を感じさせる表現

ポルシェのSUVである『カイエン』と『マカン』がEVへと進化しました。どちらも従来の丸みのあるポルシェらしさを残しながら、四角くなったランプ類などのディテール、ややドライな面質など、次世代を感じさせる表現になっています。

【画像】いずれもEVへと進化したポルシェSUV!『カイエン』と『マカン』 全22枚

それでもひと目でポルシェと分かるのは、やはり 『911』という絶対的なデザインアイコンがあるから。今回はカイエンとマカンの変化から、EV時代のポルシェ・デザインを見ていきます。


今回は、EVに進化したポルシェのSUV、『カイエン』(上)と『マカン』(下)を取り上げます。    ポルシェ

よりSUVらしい強さが増したカイエンのシルエット

新型『カイエン』のサイドビューを見ると、従来までのクーペライクなシルエットからよりSUV的な強いデザインに進化したことがわかります。特にリアまわりは、太いDピラーや立ち気味のリアゲート、高いリアコンビランプ位置など、どれもこれまでのカイエンになかった要素です。

丸く下がったルーフラインはポルシェらしく、『カイエン・クーペ』とのキャラクター差が、以前よりはっきりしました。


短いフロントオーバーハングと太いDピラー、高い位置にあるリアコンビランプなどでサイドシルエットはSUVらしい強いバランスです。一方でルーフラインは割と丸く、ポルシェらしさを出しています。    ポルシェ

フロントまわりは、車高が上がった911のような従来のデザインから、EVによるショートオーバーハングを実現したためか縦方向へ強い立体になり、こちらもよりSUV的な印象に。これらの要素で新世代のポルシェであると感じられます。

もちろん、ヘッドライト部が盛り上がったボンネットまわりや、シンプルかつ抑揚のある前後フェンダーデザインなど、どれも911から受け継いだ『ポルシェの流儀』はちゃんと継承され、ひと目でそれと分かりますよね。

空力とデザイン性の両立のための新たな解

新型カイエンもうひとつのデザイン的トピックは、『アクティブエアロブレード』と呼ばれるカイエン・ターボに搭載された、リアバンパー両端の可動式空力パーツです。

この手のデバイスは初めて見ましたが、空力とデザイン性の両立のための新たな解だと思います。


これが『アクティブエアロブレード』と呼ばれる、リアバンパー両端の可動式空力パーツです。    ポルシェ

リアコーナーまわりは空気の『剥離』を促進させるため、ある程度の長さで角張らせることが重要なのですが、ポルシェらしい造形を表現するにはコーナーを削って丸くしたいところ。この両方を成立させる狙いのものだと感じます。

リアゲートガラスとリアコンビランプが繋がったデザインもポルシェ初ではないでしょうか。なるべく高いところにリアコンビを置くのは視覚的高さを出したいSUVのデザインでは良くあります。

ですので、他のクルマではこの様な処理は珍しいことではないのですが(最近ではトヨタRAV4など)、伝統的デザインを崩さなかったポルシェが選択したことは興味深いですね。

クーペ的ルーフラインのマカン

EV版『マカン』、最大の特徴はルーフラインです。

従来、ルーフ後端はスポイラーにつながっていました。このルーフスポイラーはデザイン的にも重要で、後ろに抜けたデザインになりシルエット全体に勢いがつくんですね。


ポルシェ・マカンのリアビュー。ルーフスポイラーがなく、クーペライクなシルエットに進化しました。フェンダーの張り出しと大径タイヤで、スタンスの良さはまさにポルシェです。    ポルシェ

クルマのキャラクターはルーフラインで決まると言えますが、ルーフスポイラーがあると特にスポーティな表現がしやすいんです。このようにデザイナーとって重要なものである一方、空力を考えるとリアゲートの角度次第でスポイラーなしの方が性能が高くなります。

中にはトヨタbZ4Xなど、デザインと空力の折衷案なのか真ん中が繋がっていないスポイラーのクルマもあります。今回マカンではスポイラーをなくし、クーペライクなシルエットを選択しました。これは日産リーフと同じで、空力を最大限考えたシルエットなのだと思います。

ずっとスポイラーが付いているマカンを見慣れていたので、初見はなんとなく違和感があったのですが、911のフォルムに近づいたと思えば納得できます。後席の居住性も確保されたシルエットなので、難易度が高かったことでしょう。

一方、ポルシェらしいスタンスの良さは健在で、従来よりさらに踏ん張り感を強調しているようにも思います。

911を起点に考えた結果としてグリルレスを選択

顔まわりも興味深いポイントです。カイエン同様、EVらしく開口部の少ないグリルレスのフロントバンパーとなり、全体的にやや優しい表情になりました。

EV時代のフロントデザインは、各メーカーで考え方が分かれています。BMWのようにグリルを小さくしながら残すメーカーもあれば、メルセデスのように逆に強く主張するメーカーもあります。


マカンはEVらしく開口部の少ないグリルレスのフロントバンパーとなり、全体的にやや優しい表情に。    ポルシェ

そんな中でポルシェは、911を起点に考えた結果としてグリルレスを選んだのでしょう。高級車こそ優しい顔の方が上品だと感じますが、迫力を求める人には少し物足りなく映るかもしれません。

ポルシェのデザインするのは難しい

前述のとおり、ポルシェのデザインといえばカーデザイン界最大のアイコンである『911』のイメージが、全てのラインナップに踏襲されています。

丸目ヘッドライトから始まるフロントまわりの造形、なだらかに落ちるリアシルエットなど、全体的に丸みを帯びていた1960年代から通ずるクラシックなデザインを現代でも全ラインナップ一貫して採用。こんなメーカー他にないですよね。


ポルシェ・カイエンのフロントビュー。割と直線的なディテールですが、全体的に丸みのあるシルエット、ヘッドライトから始まるフロント立体構成などが、ポルシェそのものです。    ポルシェ

全ての車種で911を表現しないといけないのは難しいもので、ポルシェ初めてのSUVである初代カイエンでは少し異質なデザインに見えました。

まず、四角いもの(パッケージ)を丸く見せる(911風)のは大変なんです。しかし、代を重ねるごとに洗練され今ではポルシェを代表する車種になったことは、デザインの力だと言えるでしょう。