有村架純が雑誌記者…!視聴率低迷もテレビマンの試行錯誤がうかがえる「見るべき春ドラマ」大公開!

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配信オリジナルドラマの普及で全話″イッキ見する″習慣がついた視聴者にとって、リアルタイム視聴に価値が見出せないことも地上波連ドラには逆風だったが、「キャストは地味ではありますが、実力派揃い。隠れた良作品が多くて、むしろ今クールは豊作だと感じています」(ドラマウォッチャーの川田美尋氏)という声も実は少なくない。

困惑する永作に「共感」

第4話の配信の再生回数が前回から10万回増と『時すでにおスシ!?』(TBS系)は猛烈な″後伸び″を見せている。

「子育てを終えた母親が鮨アカデミーに入って寿司職人を目指す、という物語ですが、登場人物のキャラが立っていて、会話のテンポも良く、楽しく見られます。中高年の再チャレンジという社会的なテーマにも合致している。50歳という設定の主人公に実年齢が55歳の永作博美をキャスティングしたのも上手い。

永作を鮨アカデミーに誘う有働由美子も57歳のバブル世代です。脚本の兵藤るり氏は『カルテット』(TBS系)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジ系)などを手掛けた坂元裕二氏の弟子で、デビューからたった5年で向田邦子賞を獲得した才人。今後どのような作品を作り上げていくのか注目しています」(大山氏)

幅広い年代のキャストがいることで、「老若男女それぞれに共感できるキャラが揃っている」と川田氏も太鼓判を押す。

「永作が演じる主人公は子育てを終えて、何をしたらいいのか困惑している母親。ドラマ視聴者のボリュームゾーンに刺さるポイントが多いほか、コメディ色もあってクセになる魅力があります。

高校教師と生徒が宇宙食開発に挑む『サバ缶、宇宙へ行く』(フジ系)もおススメです。月9の定番だった恋愛ドラマから離れた、″登場人物の若い『下町ロケット』あるいは『陸王』″ともいうべきテイストの作品。月曜日から日曜劇場の雰囲気が味わえますよ」

『リボーン』のメインロケ先と『銀河の一票』のオープニングのロケ地が「ジョイフル三の輪商店街」(荒川区)なのに対し、同作が福井ロケを敢行していることを制作会社ディレクターは評価する。

「たしかに商店街ロケの定番スポットですし、予算がキツいのもわかるのですが、大事なシーンで被っているのはいかがなものか。絵が新鮮なのも『サバ缶』のいいところです」

一方、苦戦していると言われている『GIFT』(TBS系)も車いすラグビーという世間的に馴染みの薄い題材ゆえか、「序盤は丁寧かつスローでしたが、徐々に日曜劇場らしい熱い展開になってきました。イメージ的には『ノーサイド・ゲーム』や『下剋上球児』、有馬記念の売り上げを26年ぶりに700億円の大台に乗せた立て役者と言われている『ザ・ロイヤルファミリー』に近い。このあたりにハマった人には推したいですね」(川田氏)

堤真一61)、山田裕貴35)、安田顕52)に吉瀬美智子51)と実力派を揃えた『GIFT』は世帯視聴率、コア視聴率ともに首位と好スタート。『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレ朝系)も世帯が初回2位と、新シリーズの第3シーズンが手堅く数字を取っている。

動画の再生回数

キャストのインパクトの弱さが指摘されるなか、『夫婦別姓刑事』(フジ系)は佐藤二朗57)と橋本愛30)という異色夫婦役が話題を集めている。

「透明感があって繊細、というイメージだった橋本が、今回はボーイッシュでちょっと不器用だけど芯のある刑事役を好演しています。クセの強い芝居になりがちな佐藤のペースに巻き込まれず、クールかつテンポ良く返すことで異色夫婦が成立しているのも素晴らしい」(愛田氏)

脚本は劇団「東京マハロ」を主宰する矢島弘一氏。「劇団の座付き作家はキャストに合った脚本、いわゆるアテ書きが上手い人が多く、本格コメディの経験が浅く、刑事役が初めての橋本もノビノビと楽しそうに演じられている」(川田氏)。

TVerお気に入り登録数および再生回数では『月夜(げつや)行路-答えは名作の中に-』(日本テレビ系)が圧倒的首位。「日テレは配信を見据えた作品作りをしており、ドラマ戦略は視聴率だけでは測れない曲がり角に来ている」とキー局プロデューサーは言う。

「TBSは視聴率、配信の再生回数に加えて一人あたりの視聴滞在時間(再生時間)を重視しつつあります。顧客を深く囲い込んで、グッズやリアルイベントへの誘導を狙う戦略です。フジは″量の攻勢″。作品数を増やし、トータルの再生回数を稼ぐ戦略です。ただ、制作体制が追いついているとは言えない。『LOVED ONE』は脚本家が監督と反りが合わず降板。その影響で5月になっても最終話の脚本が上がらないなど、終始ドタバタだったそうです」

『しあわせな結婚』や『ちょっとだけエスパー』など、「話題作を投入してトレンドを作る」戦略に舵を切ったテレ朝では、「TVer、Netflix、U−NEXTなど動画配信での収益も重要視されている」と民放編成担当が明かす。

「ドラマ班が書かされる″この先1年の自己評価シート″では、配信ビジネスと二次利用の利益でいかに会社に貢献したかが大きな評価ポイントとなっているといいます。SNSやネットでいかに盛り上がる作品を投入するかが大事なのです」

いち早くコア視聴率を「作品作りの羅針盤」として取り入れた日テレは、若者狙い路線を加速。そのメインエンジンとなっているのが、「考察要素の強い作品の投入です」(キー局プロデューサー)。

前クール最大のヒット作で、放送終了後も″おかわり視聴″で再生回数を稼いだ『リブート』には近年のヒットドラマと共通する要素を兼ね備えていた。ひとつは「オリジナル脚本であること」だ。

「人気原作ものは作品ファンの初動が見込める一方、結末や展開がすでに知られているというマイナス点がある。その点、オリジナル脚本は先が読めないため、考察やSNSでの話題作りに向いている。

もうひとつは″語りたくなる謎″ ″見返したくなる伏線″ ″次回までに誰かと話したくなる引き″があること。視聴者を能動的に参加させる--これが視聴者の熱を長続きさせる秘訣です」(愛田氏)

「ヒットとは何なのか?」

ドラマ視聴を取り巻く環境が劇的に変化するなか、テレビマンたちが試行錯誤の末に生み出した労作を、今クールは味わいたいものだ。

『FRIDAY』2026年6月5・12日合併号より