(左から)加藤浩次、和久田アナ

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新MCは名前の挙がっていない人

 MC・宮根誠司氏(62)の降板によって9月末で終わる日本テレビ系情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」(平日午後1時55分)の後続番組が、引き続き読売テレビ(大阪)の制作になる。新MCは現職、元職のアナウンサーを中心に選考されている。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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【写真】「ヌーディーなドレス」を身にまとった和久田アナ

ミヤネ屋」の後続番組の新MCの候補としてNHKの和久田麻由子アナ(37)の名前が一部で報じられた。

 和久田氏は3月までにNHKを退社し、4月からは日テレの新報道番組(土曜午後10時)のMCに就くことが内定済み。だが、一部報道によると、日テレが和久田氏の担当する番組を後続番組に差し替えるという。しかし日テレ関係者に聞くと、渋い顔。「最初からあり得ません」と言下に否定した。日テレ関係者はその理由をこう語った。

(左から)加藤浩次、和久田アナ

「民放の仕組みを考えれば分かることです。新情報番組のスポンサーは和久田さんがMCということを前提に集まってくれます。和久田さんが最初から消えてしまったり、わずか半年で降板したりすれば、スポンサーに対する重大な背信行為になってしまいます」

 そもそも退社後の和久田は日テレと専属契約を結ぶわけではない。だから日テレ、あるいは読テレの都合で担当番組を替えるわけにはいかない。和久田氏はNHKの先輩である神田愛花アナ(45)の所属するキャスター事務所「セント・フォース」に入るか業務提携を結ぶ見通し。仕事は本人と事務所が選ぶ。

 タレントの加藤浩次(56)の名前も挙がっている。加藤は同局の午前帯の情報番組「スッキリ」のMCを約3年前の2023年まで務めた。MCには慣れている。だが、これも日テレ関係者は「ありません」と否定した。

「スッキリ」は同番組内で起きた差別発言問題などが理由になって終了した。関係者が処分されたのはもちろんのこと、社内の幹部人事にも大きな影響を与えた。加藤に責任はなかったものの、日テレとしては後続番組のMC起用に前向きにはなれないだろう。事情は制作局である読テレにも分かるはずだ。

 そのうえ今の加藤にはTBS「人生最高レストラン」(土曜午後11時30分)など4本のレギュラー番組がある。同局「この歌詞が刺さった!グッとフレーズ」など不定期に放送される特番も複数。これだけ仕事があると、平日のほぼ全ての時間が費やされる後続番組のMCは難しい。宮根氏が降りる大きな理由も「ほかの仕事もしたい」からである。

 俳優の小泉孝太郎(47)が新MCという説もある。これにも日テレ関係者は「ありません」。最大の理由は時事性の強い情報番組の経験がないこと。バラエティの司会や生活情報番組のMCは巧みにこなすが、事件や政治、経済を扱う番組はやったことがない。不安材料である。

アナ中心に人選

 宮根氏は朝日放送(大阪)の局アナだった。ニュース番組の経験が豊富だったから「ミヤネ屋」でも事件や政治、経済の話題を難なくこなせた。

 ライバル番組であるTBS系「ゴゴスマ −GO GO!Smile!」(平日午後1時55分)の石井亮次氏(48)も元CBCの局アナ。やはりニュースのキャリアを長く積んだ。2月25日から2時間化したフジテレビ系の同「旬感LIVE とれたてっ!」(制作・関西テレビ、平日午後1時50分)のMC・青木源太氏(42)も元日テレアナ。やはりニュースの経験が豊富だ。

 ニュースの経験がないと、帯の情報番組のMCはハードルが高い。日テレ「DayDay.」のMC・山里亮太(48)は未経験だったが、同格のMCとしてNHKの元看板アナ・武田真一氏(58)が付いている。どの情報番組のMC探しも元職、現職のアナから始めるのが自然なのである。

「今は人気アナが見当たらない」という声も上がりそうだが、帯の情報番組のMCに起用されることによって人気を得る人も多い。典型例はテレビ東京の元アナ・小倉智昭さんである。ナレーションや関東ローカルの番組ばかり担当していたものの、50歳を過ぎていた1999年からのフジ「情報プレゼンター とくダネ!」(平日午前8時)のMCに。一躍売れっ子になった。

ミヤネ屋」の後続番組のMCとして有力視されるのもアナである。日テレは梅澤廉アナ(32)。早くから実力を認められ、まだ20代だった2022年から放送終了の25年まで「ズームイン!!サタデー」(土曜午前5時30分)のMCを任された。福澤朗アナ(62)、羽鳥慎一アナ(54)も辿った同局の若手の花形コースである。

 現在は「news every.サタデー」(土曜・午後5時)のMC。慶應大時代には準硬式野球部に所属していた。爽やかな2枚目で、スター性は十分。職場は読テレとなるが、各局とも社員の系列局への出向は珍しくない。

 読テレにも有力候補がいる。同局の顔の1人、野村明大アナ(53)である。関西の人気番組「そこまで言って委員会NP」(関東未放送、日曜午後1時30分)で秘書室長という名の男性司会者を務めている。「ミヤネ屋」にもコメンテーターで出演することがあるから、勝手も分かっている。

 野村氏は東大卒。報道記者を兼務した時期もあり、大阪府市政担当キャップだった2010年には大阪維新の会による大阪都構想をスクープ。新聞各社や他局をあっと言わせた。理論派であり、論客で当時同府知事だった橋下徹氏(56)も「理屈では勝てない」と舌を巻いた。

 それでいて硬派一辺倒ではなく、昨年終了した朝の名物情報番組「す・またん!」(関西ローカル、平日5時50分)のMCとして芸能やスポーツにも強いところを見せつけた。野村氏が後続番組のMCに就いたら、関西の視聴者は快哉を叫ぶだろう。日テレと読テレのアナなら高額のギャラも発生せず、軌道修正もしやすい。

読テレが制作する必然

 読テレが引き続き制作を担当するのは既定路線。「ミヤネ屋」は一昨年から2年連続で視聴率で「ゴゴスマ」に敗れたが、競り合ってきた。それ以前も視聴率は良かった。宮根氏の希望で番組は終わるが、それだけの理由で日テレは放送枠を奪えない。

 日テレ系列はどの局が全国ネット部分の放送枠を持つかを協議して決める。他系列もそう。各局の利益に直結するから、慎重に話し合う。

 中京テレビが制作する「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」(火曜午後7時)が2021年に始まった際もそうだった。繰り返し話し合いが行われた。

 系列局は日テレの子会社ではない。独立した会社である。だから日テレが放送枠を自由にすることは出来ない。まして視聴率が悪いわけではない放送枠。それでも日テレがこの放送枠が欲しい場合、読テレに同等の利益が見込める放送枠を用意しなくてはならない。

 たとえば日テレが制作する情報番組「シューイチ」(日曜午前7時30分)は昨年4月から土曜にも放送されるようになった(午前5時55分)。読テレが制作していた同「ウェークアップ」(土曜午前8時)は放送枠を取られた形だ。もっとも、代わりに同時期、読テレの制作の同「サタデーLIVE ニュース ジグザグ」(同11時55分)が始まった。日テレは代わりの放送枠をつくった。「ミヤネ屋」は帯だから代わりの放送枠を見つけるのが難しい。

「もともと平日の午後2時台は日テレが制作していた」という声があるようだが、正しいとは言いがたい。「ミヤネ屋」の放送枠で1993年から2007年まで流れていた情報番組「ザ・ワイド」(平日午後1時55分)は日テレと読テレの共同制作だった。読テレの社員が複数、日テレ内に常駐していた。

 それ以前の1992年まで放送されていた「2時のワイドショー」(平日午後2時)、半年間で終わった1993年の「Beアップル2時!」(同)も読テレの制作だった。午後2時台は読テレの既得権のようなものなのである。

 日テレは最初からこの放送枠を欲しくはないだろう。まず人的な問題がある。後続番組をつくるためには各曜日に10人ずつ、計50人前後は必要だ。大所帯の日テレでもそんな人数は急には集められない。非正規スタッフの割合を高めても同じこと。

 読テレも後続番組を日テレに取られてしまったら、困ってしまう。「ミヤネ屋」を担当している社員、非正規スタッフの処遇を考えなくてはならない。

ミヤネ屋」は20年も続いた。終了させるのも新しい番組をつくるのも簡単ではない。それもあって、9月末まで7カ月以上もある2月12日に降板が明かされたのだろう。通常なら発表は3カ月前程度である。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部