すべてのコーナーでスムーズにドリフトしながら、アクセル、アクセルオフ、ブレーキ、ステアリング、目線など、それら一連の操作を丁寧に解説してくれる。アルトゥーラは、マクラーレンのエントリーモデルといっても最高出力700PS、最大トルク720Nmを発揮するミドシップの後輪駆動である。最初はおそるおそる走り出してみたが、このイベントのために用意されたというスパイクタイヤは想像以上にグリップする。そしてハイブリッドの効果は大きく、ペダル操作に対して瞬時にモーターが駆動し、ラグタイムがほとんどなくトルクが立ち上がるためとても運転しやすい。

スライドに体が慣れてくると3速を使う高速コースでもドリフトできるようになる。そして、調子にのっているとたまにコースアウトしてしまうのだが、コースにはいわゆる側壁がなく、コース外に車両を停止させる(スタックさせる)、けれども衝突してダメージを与えないちょうどいい量の雪が積まれている。またフロントスポイラーはあらかじめ養生されており、よほどのことがない限り車両を壊すことはない。万が一コース外に飛び出してスタックしても無線でレスキューチームを呼べばあっという間にかけつけ、見事な手際でコース復帰させてくれる。気兼ねなくアクセル全開にできるというわけだ。午前10時からランチをはさんで午後3時まで時間を忘れてひたすら走り続け、最終的には定常円旋回のコースで途切れることなく1周の円が描けるようになっていた。コーチのアドバイスが素晴らしかったことはいうまでもない。

氷上ドライビングレッスンを終えると次に向かったのは一面真っ白なカート場、その名もFrozen Ring。マイナス20度の極寒のなかスパイクタイヤ付きのカートでレースをするというのだから、どうなることやらと思いきやドライビングコーチも交えての本気のレースに参加者はみなヒートアップしとても楽しかった。

さらに翌日は、ハスキー犬による本格的な犬ぞり体験が用意されていた。体重移動やブレーキなど一連の操作方法について10分ほどレクチャーをうけたのち、2人一組で、ひとりが操縦を、もうひとりは座って荷重移動を行う。コースは森の中を走るもので素晴らしい景色と犬たちの献身的な働きにこれまでにない感動を覚えた。

今回あいにくオーロラ鑑賞はできなかったが、北極圏だからこそ得られる体験がつまった素晴らしいイベントだった。この「Pure McLaren Arctic Experience」は、日本からも、そしてマクラーレンオーナーでなくても参加は可能。今年の受付は終了しているが、来年のエントリーがはじまっているようなのでご興味のある方はぜひ。

Pure McLaren Arctic Experience


https://cars.mclaren.com/uk_en/experiences/pure-mclaren/arctic

文:藤野太一 写真:マクラーレン
Words: Taich FUJINO Photography: McLaren