米司法省の庁舎

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 【ワシントン=淵上隆悠】米ABCニュースは6日、複数の関係者の話として、大統領選で勝利した共和党のトランプ前大統領を巡る2件の連邦法違反事件について、司法省が起訴を取り下げる検討に入ったと報じた。

 現職大統領を刑事訴追しない同省の方針に基づく判断だという。

 検討対象の2件は、トランプ氏が起訴された4件のうち、2020年大統領選の敗北を覆そうとして連邦議会占拠につながった事件と機密文書を自宅で違法に保管していたとされる事件。同省幹部と捜査を主導してきたジャック・スミス特別検察官が取り下げを協議しているという。機密文書を巡る事件は、フロリダ州連邦地裁の判事がスミス氏の任命手続きに問題があったとして棄却し、スミス氏側が上訴した。

 2件を巡っては、トランプ氏が大統領に就任すれば、スミス氏の解任や自身への恩赦で終結できると指摘されていた。

 取り下げが実現した場合、今後の焦点はトランプ氏が大統領に就任しても恩赦権限は及ばない残る2件の州法違反事件に移る。このうち不倫の口止め料を不正に処理したとされるニューヨーク州の事件では、トランプ氏は5月に有罪評決を受け、今月26日に量刑の言い渡しが設定されている。