『民王R』子役・吉本凪沙の芝居に驚きを隠せない あのが英語のセリフで存在感を放つ
アメリカ大統領選挙の投票が各州で順次開始されたその頃、日本では『民王R』(テレビ朝日系)の放送がスタートしていた。
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『民王R』は、総理大臣の武藤泰山(遠藤憲一)が全国民を対象にした入れ替わりを通して、日本の社会問題を映し出していくドラマ。11月5日放送の第3話の入れ替わり相手は、5歳の保育園児・早瀬信太(吉本凪沙)だ。そんな中、(劇中の)大統領選で再選を果たしたアメリカのバーガー大統領(見た目はドナルド・トランプ)が緊急来日する。第1話の衆議院議員総選挙を前にしての放送開始、第2話の闇バイトをテーマにしたタイムリーな話題と、ここまであまりにも神がかりすぎた放送スケジュールである。
中身は5歳児の泰山が首脳会談に出席することになり、童心に帰り「プシュー!」と戦闘機に反応、国として購入することになるトラブルに発展という現実であれば大事な展開だ。5歳児になってしまった泰山の子守りを書生の田中丸一郎太(大橋和也)が担当したりと慌ただしい首相官邸の一方で、保育園では中身は泰山が入った信太の脱出計画が進行していく。常に眉間に皺を寄せ、ドスをきかせた喋り方の吉本凪沙(7歳!)の芝居には驚くばかりだが、保育園というシチュエーションも相まってか『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)を想起するところもあった。
今回、入れ替わることとなった泰山と信太のほかに、存在感を放っていたのは秘書の冴島優佳(あの)。第1話での入れ替わりの対象であり、あのの演技力の高さが大きな反響を呼んだが、今回はセリフ量の多さに加え、バーガー大統領との通訳として英語のセリフも何ヶ所か含まれている。内閣官房長官の狩屋(金田明夫)など、まったく英語ができない面々が揃ってしまっている中で、全幅の信頼を寄せられているのが冴島だ。あのは毎週、自身のYouTubeチャンネルにて『民王R』の振り返り動画を公開しているので、英語のセリフについてはそこで語られることだろう。
入れ替わりの謎は公安の猫田(山時聡真)でも突き止められぬまま、再び泰山の入れ替わりが発動してしまう。入れ替わりが終わるタイミングが絶妙だと田中丸が気づき、「なんか、常に見られてるみたいで」と怯える傍らで、黙っているだけの冴島。そのまま場面はバーガー大統領とある人物のビデオ通話の様子が映し出され、バーガー大統領は「君の計画が成功することを祈ってるよ、ナリタ」と話している。画面には明らかに入れ替わりを操作しているようなシステム。冴島の人物設定には「一握りの天才たちを特別に教育する『成田育英財団』出身の才女」とあり、今のところ黒幕の有力候補は冴島、もしくはその奥にいる成田であることは間違いないだろう。
(文=渡辺彰浩)