テヘランの「パレスチナ広場」には、ヘブライ語で「また嵐がやってくる」と書かれた巨大看板が掲げられている(10月31日)=吉形祐司撮影

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 【エルサレム=福島利之、テヘラン=吉形祐司】米ニュースサイトのアクシオスは10月31日、イスラエルの治安筋の話として、イランが数日以内にイラク領内からの攻撃を準備していると報じた。

 ドローン(無人機)や弾道ミサイルで攻撃を仕掛けるとみられるという。

 イラクには親イランの民兵組織がある。イランがイラクから攻撃するのは、イラン本土の戦略拠点に対するイスラエルによる攻撃を避けるのが狙いとしている。

 一方、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」のホセイン・サラミ司令官は31日夜、南部ファルス州で演説し、イスラエルが「想像できないような答えを近く目にするだろう」と述べた。

 イラン軍はイスラエルによる10月26日の攻撃で、レーダーが被害を受けたと発表した。AP通信など外国メディアは、衛星画像の分析を基に、ミサイル製造施設も攻撃されたと報じている。

 在イラン軍事筋は本紙に「イスラエルの強力で精密な兵器を考えれば、イランは現在、丸裸状態のはずだ。すぐに報復できるとは思えない」との見方を示した。

 だが、国営テレビ傘下のプレスTVによると、イランのアジズ・ナシルザデ国防相は10月末、被害は軽微で修復作業も完了したとして、こうした指摘を重ねて否定した。約300のミサイルや無人機を使用した4月と同程度のイスラエルへの攻撃が可能だと主張した。イランでは主戦論が急速に強まっている。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は10月31日、軍士官学校の卒業式典で演説し、「我々は、イラン国内の必要とされるあらゆる場所に行くことができる」と述べた。「私がイスラエル軍と治安機関に設定した最大の目標は、イランが核兵器を持つことを阻止することだ。核開発を止めることは、我々の主要な関心事だ」とも語り、イランをけん制した。