埼玉県の温泉施設でウニやサバが育つ コロナ禍に起死回生の養殖とは
海と隣接していない埼玉県の温泉施設でウニやサバの養殖が始まっています。その仕組みや理由について取材しました。
伊藤遼アナウンサーが訪れたのは、埼玉県久喜市にある日帰り温泉施設。緑に囲まれた露天風呂が売りですが、お湯にはある特徴がありました。
伊藤 遼アナウンサー
「温泉から少し塩っぽい感じがしたんですが」
森のせせらぎ なごみ 五十嵐 和生さん
「地下1500メートルから湧き出すナトリウム塩化物温泉で海水由来の温泉です」
海水由来の温泉施設ではお湯を使って養殖を行っていました。
伊藤 遼アナウンサー
「あれちょっと待って?ウニ?」
水槽の中にはトゲに覆われたウニが…
森のせせらぎ なごみ 五十嵐 和生さん
「天然温泉で陸上養殖を始めてます」
1500匹ほどのウニを養殖しているといいますが、きっかけは3年前の新型コロナウイルスの感染拡大でした。
森のせせらぎ なごみ 五十嵐 和生さん
「お客さんが激減したんですよね。温泉で何か取り組むことができないかと考えた結果、養殖にいきついたんです」
コロナ禍で減ったお客さんの数を回復させるため、ウニを養殖。神奈川県逗子市の近海などで海藻を食い荒らし、漁業関係者を困らせているといういわば“やっかいもの”のウニを引き取り育てているのです。
温泉のお湯を海水と同じ成分にすることから始まり、成長にあわせてエサの種類を変えるなど試行錯誤を重ね、ついに今年6月、お客さんに提供できるようになりました。初日には提供から2時間ほどで売り切れになったといいます。
埼玉県神川町の温泉施設でも、コロナ禍をきっかけに海の幸の養殖が行われています。
3年前に温泉施設の敷地に作られた養殖場ではサバ300匹が育ち、温泉の循環やろ過技術を用いています。11月からは施設の食事メニューに加えられるといいます。
株式会社さかなと 代表取締役社長 鎌田 奈津実さん
「まずは、生産量を増やすというところが直近の課題でありますが、今後は一般のお客様を養殖場へ招き入れる形でつりの体験であったりサバのこと、陸上養殖のことを知っていただけるようなエンターテイメントの施設をつくれるようになれたらいいなと思っています」