パリ五輪ベスト8敗退を受け、日本女子代表(なでしこジャパン)は暫定的な新体制で再出発を切った。26日には韓国女子代表と国立競技場で対戦。23日の練習を終えたMF浜野まいか(チェルシー)は「まずはしっかり勝って、観ている人が楽しめるようなプレーをできたら」と意気込んだ。

 パリ五輪までは3-4-2-1の布陣をベースに戦ってきた。だが佐々木則夫暫定監督の指揮のもと、23日の練習で行った11対11では両チームともに4-4-2の布陣。「今日は守備がテーマだった。昨日のミーティングであったように、攻守にアグレッシブなチームにということを今日はできた」(浜野)。狩野倫久コーチや内田篤人コーチの指示を受けながら、攻守の微調整を行った。

 積み上げてきたものを、さらに生かして成長する方針だ。浜野は五輪の戦いを「寄せれているけど、もう一歩足りないというので回されることが多かった」と振り返る。「今日はみんなトライしてしっかり寄せ切ることができた。守備から点につなげることもできた」。前線から迷いなくプレスを仕掛けることで、後方の連動が遅れずにより明確にマークできるようになったという。

 MF谷川萌々子(ローゼンゴード)も手応えを語る。4-4-2の2ボランチ、または4-1-4-1のアンカーに立った。「(4-4-2のときは)2トップがしっかりいるので、自分のレーンを越させないようにチャレンジ&カバーを細かくすることを意識した。(4-1-4-1のときは)前の選手に声をかけるところや、前の選手がスイッチをかけたら、それに合わせて自分もついていくことを意識した」。ファーストディフェンダーとなる前線からの連動性の向上を強調した。

 チーム全体での守備に主眼を置いているようだ。DF北川ひかる(ヘッケン)は「世界のレベルの高い相手に対して、チーム全体でどうやってボールを奪うかというところが重要視されている」と新たなチームの強みを語る。「低い位置でブロックだけではない。プレスをかけてボールを奪うところをもう一個レベルを上げて、しっかり高い位置で取れるようにイメージしている」と練習の意図を明かした。

 高い位置でボールを奪えれば、攻撃にすばやく切り替えられる。「(前に)行き切っているので、前にも選択肢がある」(浜野)。これまで磨いてきた走力とカウンターの切れ味をより鋭くするために、まずは攻撃のスイッチとなるチーム全体での守備を徹底するつもりだ。

(取材・文 石川祐介)