日刊ゲンダイ直撃後、逃げてしまった岡野純子候補(C)日刊ゲンダイ

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 27日投開票の衆院選を巡って、朝日新聞が21日、独自に行った情勢調査(19、20日実施)の結果を報じた。自公が過半数割れする可能性を指摘し、永田町は激震。一方、公示前の7から20議席前後に大幅増と予想されているのが国民民主党で、早くも連立入りの噂が流れる。玉木雄一郎代表は得意の絶頂かもしれないが、ちょっと待て。日刊ゲンダイの調べで国民民主に「政治とカネ」の疑惑を抱えた候補がいることが分かった。

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 問題の候補は千葉5区から出馬した新人の岡野純子氏(46)だ。2011年の千葉・浦安市議選で初当選。15年に再選後、17年の同市長選に挑戦し落選。同年秋、希望の党から千葉5区で出馬するも落選。19年に市議に返り咲くが、23年の千葉5区補選でも落選している。

 なかなかの苦労人だが、政治資金は極めて怪しい。岡野候補は自らが代表の「岡野純子後援会」を10年末に設立。現在も代表を務めている。17年衆院選出馬に際しては、希望の党の政党支部を設立(既に解散)した。

 不可解なのは中身だ。後援会の収支報告書(10〜22年分)をチェックすると、11、13、16年に、岡野候補が当時所属していた民主党の千葉支部からそれぞれ10万円を受領。計30万円を22年まで繰り越している他は、収支について一切の記載がない。支部は、設立した17年から18年の解散まで、全く収支が書かれていない。政治活動の形跡が何もないということだ。

 ところが、過去の岡野候補のブログを見ると、政治活動としか思えない記載がチラホラ。例えば、落選中の19年3月7日付のブログには〈ポスターを作ってます〉と投稿。同26日には、自らの写真がプリントされたビラを駅で配る様子を記している。これらは同年4月の市議選に向けた政治活動で、本来、ポスターやビラの制作費は収支報告書に記載すべきではないのか。

 日刊ゲンダイは衆院選公示前の今月11日、国民民主党本部と岡野事務所に質問状を送付。ところが、いつまでたっても回答はナシ。21日、改めて連絡すると、党本部は文書でおおむね以下のように回答した。

〈(市議としての)調査研究に必要な費用は、政務活動費(政活費)に関する収支報告書として法に則り適正に処理〉〈その他の普段の政治活動については岡野個人として自己資金により支出してきた〉

 政活費は地方議会の会派や議員に交付される資金で、原則、議会活動に関する支出しか許されない。ブログの投稿があった時期、岡野候補は落選中のため、政活費は交付されていない。やはりポスターやビラの原資は政治資金と考えるのが自然だ。回答の通りだとしたら、岡野候補は全ての政治活動にかかる費用を自己資金で賄ったということか。

直撃取材に“逃走”

 改めて本人に確認するため、日刊ゲンダイは昨夜、東京メトロ行徳駅前で演説する岡野候補を直撃。

 すると、「選挙活動をさせてください!」と言って説明拒否。記者が「終わるまで待ちます」と伝えると「はい」と了承した。ところが、活動を終える直前に人混みに紛れていつの間にか“逃走”してしまった。

 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。

「自己資金で支出したから記載しなかったというのなら、なぜ政治団体を設立したのか。収支報告できない資金があったから、記載しなかったのではないか。そもそも、事務所家賃に関わる記載がないのは明らかに不自然。後援会の事務所を岡野氏の自宅に置いているなら、事務所の『無償提供』を寄付として記載する義務がある。政治資金規正法違反の不記載の可能性があり、説明を果たすべきです」

 説明もできない人物を公認する国民民主は自民の裏金議員を攻められるのか。玉木代表、大丈夫か?

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