ドライブスルーの客に商品を手渡すトランプ前大統領=ペンシルベニア州フィースタービルトレボース/Brian Snyder/Reuters via CNN Newsource

ニューヨーク(CNN)ファストフード大手の米マクドナルドが2024年大統領選の舞台に躍り出た。特に注目を集めているのは先週末、共和党候補のトランプ前大統領がペンシルベニア州フィースタービルトレボースの店舗でフライドポテトを提供した件だ。ただ、マクドナルドはトランプ氏の訪問に全く関与していない。

マクドナルドはフランチャイズモデルで運営されており、店舗の大多数は独自に所有、運営されている。フランチャイズのオーナーは親会社との契約にある特定のガイドラインを順守する必要があるが、マクドナルドの同意なしに大統領選の候補者を招待して、フライドチキンを提供してもらうことは自由にできる。

マクドナルドは20日、CNNが入手した従業員宛ての社内メモで、トランプ氏を招待したわけではなく、大統領選で注目を集めることも望んでいなかったと明らかにした。ただ、今回の件が脚光を浴びたことについて、マクドナルドが大勢の米国民にとって日常生活の不可欠な一部であり続けている証左だとしている。

マクドナルドは社内メモで、「当社のブランドは今回の選挙戦で話題の的になっている。我々が注目を集めようとしたわけではないが、マクドナルドがいかに多くの米国民の心に響いているかを示す証しだ」と指摘。そのうえで「マクドナルドは選挙で候補者を支持することはしておらず、それは次期大統領の座を争う今回の選挙戦についても当てはまる。我々は赤(共和党)でも青(民主党)でもなく、ゴールデンだ」と説明した。

メモにはジョー・アーリンガー社長を含む米国法人の経営陣全員の署名がある。

演出された今回のイベントで、トランプ氏はエプロンを身に着けて揚げ物係を務め、店舗で人々に食事を振る舞った。トランプ陣営の訪問に当たり、店舗は閉鎖されていた。

マクドナルドは、トランプ氏がマクドナルド愛を頻繁に公言していること、民主党候補のハリス副大統領が愛着を込めてマクドナルドでの勤務経験を振り返っていることを誇りに思うと表明した。ハリス氏は選挙戦でたびたびマクドナルドでの勤務経験に言及しているが、トランプ氏は証拠を示さずこれを否定している。ハリス氏はハワード大学の学生だった1983年夏、マクドナルドで短期間働いた経験があるという。

ただ、マクドナルドの一部の顧客や従業員はトランプ氏の訪問後、同社に矛先を向け、店舗を共和党大統領候補の選挙戦に利用することを許したとして批判した。

マクドナルドは社内メモで、フランチャイズのオーナー兼経営者の男性が地元法執行当局からトランプ氏の訪問の意向について打診され、受け入れたと説明している。

ランチャイズはマクドナルドの事業の根幹で、全店舗の約95%はフランチャイズの経営者によって運営されている。経営者はマクドナルドのブランドやノウハウを使用するため一定の使用料を払う。店舗改装費のような他の費用についても支払いを一部負担する。