「主役になりたくなくても結婚式はしたい」カップルが選んだ「宴内人前式」でできること

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「やりたいことのない」結婚式

今どきの若者カップルは「結婚式で主役になりたくない」らしい。

無料で結婚式相談から式場選びを手伝ってくれる「トキハナ」が行った、「結婚式・結婚に関する不満を教えてください!アンケート」によると、20-30代の既婚者の約6割近くが「結婚式で自分たちが主役になるのは嫌だ」と回答したという。

過半数もの新郎新婦が、「注目を浴びたくない」「主役をやりたくない」というのは、なぜだろう。

カウンセラー全員が業界を熟知した元ウエディングプランナーという「トキハナ」のウエディングカウンセラーの神田裕子さんが、後悔のない結婚式にするためのヒントをお伝えする連載の後編。

これまで5000組以上のウエディング相談実績を持つ大ベテランの神田さんのところに相談に来たのも、そんなカップルの一組。

見た目は華やかで、頭の回転は速く、意思の疎通もスムーズ。打ち合わせも滞りなく進むと思いきや、ふたりの希望は「結婚式はやっても、主役になりたくない」。

そのうえ、「結婚式でやりたいことは特にはないんです。でも、やりたくないことはたくさんあって……」などと言う。

前編「『主役になりたくない』カップル急増!『やりたいことはない』結婚式でも挙げたい理由」では、「式よりも、新婚旅行や新居にお金をかけたい」で一致していたふたりが、なぜ結婚式を挙げようと思ったのかを、「主役をやりたくない」理由とともにお伝えした。

そんなふたりにベテランプランナー神田さんが提案したのは、「宴内人前式」。あまり聞かないそのスタイルで、ふたりの難問は解決するのだろうか。

後編も神田さんの寄稿でお届けする。

家族のために「結婚式を挙げたい」

「結婚式はしたいけれど、派手な演出や注目を浴びるのはちょっと……」という方は、アンケートだけでなく、実際の相談の現場でも増えているように感じます。

今回のご相談者、29歳のWEBマーケターの蒼さんとIT企業で広報を担当する28歳のゆかりさんも、そんなカップルの一組でした。

ぱっと見、几帳面に見える蒼さんは、合理的で冷静ですが、話すとフランクな性格であることがわかります。容姿端麗という言葉がぴったりのゆかりさんは人見知りなく、広報のお仕事がぴったりのようです。

半年ほど前から同棲を始め、結婚式についても、「式よりも、新婚旅行や新居にお金をかけたい」で一致していたそうですが、家族の思いや親族の後悔などを聞いて、結婚式は挙げた方がいいという結論に達したと言います。

ですが、ふたりとも式では、目立ちたくない、主役になりたくない。さらに、式では「やりたいことはないけど、やりたくないことはいろいろある」とのことで、おふたりの「大事にされていること」「結婚式に感じる違和感」などを、時間をかけて聞き取りました。

そのうえで、私が提案したのが、「宴内人前式」です。

「おふたりは宴内人前式って聞いたことはありますか?」

こう尋ねると、蒼さんとゆかりさんは互いに顔を見合わせ「ない……よね?」。

業界関係者でなければあまり聞きなれない言葉でしょうから、そのリアクションも当然です。宴内人前式とは、披露宴会場内で人前式を行うスタイルのこと。

形式ばらない挙式スタイルのひとつです。

「宴内人前式」のメリット・デメリット

大きなメリットとして、挙式と披露宴の会場が同じなので、移動の手間がないことがあげられます。特に、ご高齢者や小さなお子様連れのゲストには喜ばれます。

また、披露宴会場はリラックスしたアットホームな雰囲気なので、かしこまらず、自然体でいたいというご希望にはぴったりです。会場はひとつなので、コストをおさえながらも、披露宴会場の設備や空間を活かした自由な演出が可能。

一方のデメリットとしては、披露宴会場は賑やかな雰囲気なので、教会や神社のような厳粛な雰囲気を求める場合は不向きであること、披露宴会場の広さやレイアウトによっては、演出が制限されることもあります。

「空間」として貸し出すところもあるので、場所によっては、披露宴会場を挙式仕様に飾り付けたり、雰囲気を変える必要があります。

けれども、蒼さんとゆかりさんには、大げさな入場・退場がなくても自然で、よりゲストとの距離感も近い宴内人前式がぴったりだと思いました。

「おふたりにはこのスタイルが合うんじゃないかと思ったのですが、印象はいかがですか?」間髪入れずにおふたりは大きく頷いてくれました。

「まさにそういう結婚式がやりたいです!」

良かった。これで目線が揃ったーー。あとは実現できる会場を見つけられれば、きっとおふたりが望む結婚式を挙げられる。私のボルテージも一段上がった気がしました。

そのとき脳裏に浮かんだのは、表参道にある結婚式場。少人数制の結婚式に特化し、宴内人前式を前提につくられた会場です。

おばあちゃんにもリラックスしてもらえそう

そこのパーティ会場はまるで別荘のリビングのように寛げる空間で、オーディオデッキや100インチサイズの大型テレビが設置されています。

好きな音楽を流したり、DVDやブルーレイを鑑賞したりと自由に過ごせるうえに、なんと靴を脱いでスリッパで過ごせてしまう、まさに寛ぎの空間。派手な演出や余興はなくとも、アットホームで自然体の結婚式が実現できる会場です。

おふたりは、私の提案に強い興味を示し、早速会場見学に出かけました。会場の雰囲気は、まさにお好みドンピシャ。

「おばあちゃんにもリラックスして過ごしてもらえそう」

「ホームパーティみたいな感覚で、私たちも窮屈な思いをしなくて済みそう」

スタッフの対応も丁寧で、安心して結婚式を任せられそうだと報告をもらいました。そして何より、おふたりの想いをしっかりと理解し、寄り添ってくれる姿勢に、大きな信頼感を抱いたそうです。

「この会場なら、私たちらしい結婚式ができる気がします」

不安の雲間から、期待の光が差し込んだ瞬間でした。

数件の会場をまわった後、最初に訪れた会場に決めたと言います。

「何より、私たちの気持ちをわかってくれたのが嬉しかった」

おふたりとも、運命の会場との出会いをとても喜んでいました。

結婚式は大切な人と過ごすための時間

こうして、蒼さんとゆかりさんは、自分たちらしい、あたたかな結婚式に向け歩み始めることに。式を半年後に控え、現在はドレス選びの真っ只中です。

蒼さんとゆかりさんのように、「主役になりたくない」と願うカップルは、きっとこれからも増えていくでしょう。

結婚式は、おふたりにとって、そしておふたりの大切な人たちにとっても、かけがえのない時間です。だからこそ、形式にとらわれず、本当に大切なものを見つめ、自分たちらしい結婚式を創り上げてほしい。この話が、結婚式の在り方について考えるきっかけになれば幸いです。

【契約時の見積もり額:18名237万円】

*トキハナへの相談料は無料です。

「主役になりたくない」カップル急増!「やりたいことはない」結婚式でも挙げたい理由