犯行現場(藤倉善郎氏提供)

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 また僧侶による性加害だ。本門仏立宗の妙恩寺(千葉県東金市)の住職で元自衛官の深澤堅洋被告(59)が、同寺の尼僧にキスをしたり着衣をまくり上げるなどして乳房や陰部に触った疑いで、逮捕、起訴された。9月3日に千葉地裁八日市場支部で初公判が行われ、深澤被告は全面的に起訴事実を認めた。

天台宗住職レイプ疑惑 行為の最中に真言や「南無観世音」も尼僧に強要していた

 これを受けて、被害者の尼僧Aさん(40代)が今月11日、千葉市内で代理人弁護士とともに記者会見を行った。

 代々同宗信徒だった家に育ったAさんは、2022年に深澤被告の勧めで出家。「返事はYESのみ。NOはない」「師の教えは絶対」と教え込まれたという。その上の犯行だ。昨年11月にAさんが警察に相談、今年5月に逮捕となった。

「刑事事件になった件以外にも言葉でのパワハラやセクハラは日常茶飯事で、数えきれないほど。被告人の妻からのパワハラもあり、頬をつねった後に抱きしめるといった形での暴力もありました」(Aさん)

■示談金を吊り上げ

 Aさんは警察への相談の前に、同宗の別の住職に相談し、教団内で被害を訴えた。すると、妙恩寺で永代供養を受けていたはずの祖母の遺骨が返却されてきたり、深澤被告が自宅に押しかけたり。逮捕後は、弁護人を通じて示談金を100万円から500万、800万と吊り上げてきたという。札束で頬を張るかのような仕打ちだ。

「報復や宗派内での家族の立場が心配で、記者会見をするかどうか悩みました。しかし同じような被害にあっている方々に〈あなたは悪くない〉と伝えたかった」(Aさん)

 今年1月、天台宗の僧侶から10年以上にわたり性的関係を強いられたとして、尼僧の叡敦さん(50代)が天台宗に僧侶2人の除籍を申し立てた。Aさんは、この報道を見て勇気づけられたという。昨年11月には、カトリック神言修道会(名古屋市)の神父から性交を強いられたとして、信者女性が民事提訴している。

 閉鎖的な環境でやりたい放題だった宗教界にも、「MeToo」の波が押し寄せている。

(藤倉善郎/ジャーナリスト)