スポニチ

写真拡大

 ◇関西学生アメフト1部リーグ 第5節 関学大45ー12京大(2024年10月13日 王子スタジアム)

 弾んだ足取りで、背番号「2」がフィールドへ駆けだした。10ー6とリードした後半最初のシリーズ。リーグ戦初出場のQB星野秀太(3年)が周囲に声を掛けながら、オフェンスの中央へ入った。

 MVPを獲得した昨年12月の甲子園ボウル以来となる公式戦。最初のプレーでWR塚本涼太(2年)へパスを通し、「あれで安心した」と平常心を取り戻した。小気味いいランでドライブを進め、第3Q2分19秒にRB伊丹翔栄(4年)がTDラン。第4Q1分35秒にも伊丹のTDへ導き、リーグ戦最終盤への「アイドリング」は終わった。

 「やっていて楽しかった。自分が思った以上に試合勘は失われてなくて、落ち着いてプレーできました」

 33点差で撃破したこの日の京大戦を含め、ここまでの5試合はすべて弟の星野太吾(1年)が先発でプレー。フレッシュマンとは思えない落ち着きで、5連勝の先頭に立っていた。

 「頑張っているな、と感じる一方で、神戸大戦とか近大戦のような苦しい状況の時にプレーして助けてやれなくて悔しかった」

 チームメイト、そして兄としての「本音」が言葉に潜んでいた。もちろん、万全な状態で戻った今、2人のハイレベルなポジション争いがチームに与える有形無形の影響は大きい。

 「お兄ちゃんは弟よりも、やっぱり落ち着いたプレーができてましたね。これからの相手が強いことを考えると、(中心になるのは)お兄ちゃんかな、と」

 大村和輝監督は慎重に言葉を選びつつ、秀太が持つ「経験値」に期待をかけた。次節(10月26日、花園ラグビー場)は昨年最終節で敗れた関大戦。星野秀にとっては、試合途中で負傷退場したリベンジの機会となる。甲子園ボウル7連覇へ。避けて通れない関門がやって来た。