今ある素材を自由に組み合わせて、料理を考えるアルモンデ料理。組み合わせも調理もシンプルだけど、実は細かいところにさまざまなテクニックを使っています。

新米と一緒に食べたいキノコのおかず。出汁要らずで味が完成する優れものですが、もっとおいしく食べるために、一手間、一工夫。

さっと茹でるのか、じっくり煮るのか。味付けは?

アルモンデ料理家・大塚佑子さんにプロの技を教えてもらいます。

大根の間引き菜と舞茸のナムル

ポイント●茹でるのではなく、さっと湯通し

菜とキノコをかんずりで和えただけのシンプルなナムル。

どんなキノコでもよいですが、おすすめは味が濃厚で歯応えのある舞茸。下ごしらえのポイントは、野菜とよく絡むよう舞茸を細目に割くこと。そしてしっかり茹でるのではなく、ほんの数秒湯通しすることです。

間引き菜は、畑で生育が良い株に栄養がいくよう抜き取った若葉のこと。幼いため葉が柔らかく、育ち始めた小さい根も食べられます。しっかり育った大根の葉や小松菜、カブの葉でも美味しくできます。

どんな葉ものを使う際も茹で過ぎないのがポイントです。茹で上がったら水で洗わず、ザルに上げて水気を切りましょう。

<材料>

大根の間引き菜/舞茸/ごま油/かんずり/塩

<作り方>

【1】大根の間引き菜は小さな身の部分を縦半分にするようにカットする。葉の根元をよく洗っておく。舞茸は縦に細く割いておく。

【2】鍋に湯を沸かし、間引き菜を入れて一息ついたらすぐに取りだしざるにあげる。舞茸もほんの数秒湯にくぐらせて、ざるにあげ粗熱をとっておく。ボウルにごま油、かんずりをいれてよく混ぜておく。これがナムルのタレになる。

【3】粗熱がとれたら間引き菜は5cmくらいの食べやすい長さにカットして軽く絞り、舞茸と一緒にタレに絡めて味見をする。しっとりさが足りないようであれば油を、塩味が足りなければ、塩を少し加え、辛味はかんずりで調整する。お好みの味になったらできあがり。

▼アルモンデ、ここが大切

※かんずりがなければコチュジャンやラー油でも。ラー油を使う場合はごま油の量を少なめにしてください。

※かんずりやコチュジャンはそれ自体に塩気があります。調整の塩は、味見をしてから入れてください。

油麩と長ネギと椎茸の煮物

ポイント●最初からみりんを入れて煮る

油麩は、その名の通り油で揚げたお麩です。揚げることで旨味が増しており、油麩と野菜を組み合わせるだけで、こっくりとした煮物ができます。常温で3ヶ月ほど保存できるのも魅力的。

大切なのは全体が柔らかくなるまでしっかり戻すことです。芯が残っている状態で熱い汁の中に入れると、硬いままで煮えません。

出汁は使わず、油麩ときのこのうまみだけで煮込みます。隙間なく具材が入るくらいの鍋で作るのがコツ。最低限の水分で煮込むことで、それぞれの素材の味をしっかり引き出し、染み込ませることができます。

<材料>

油麩/長ネギ/椎茸/みりん/しろたまり

<作り方>

【1】油麩は水かぬるま湯につけて戻す。長ネギは大きく斜めにカットし、椎茸は十字に4等分する(小さい場合は半分にカットする)。

【2】油麩が柔らかくなったら両手で挟んでしっかり水気を絞り、1〜1.5cmくらいの幅にカットする。鍋に全ての具材を並べて入れ、鍋底から1cmくらいみりんをいれ、さらに具材の1/3が隠れるくらいの水を加えて中火で煮込む。途中で少し具材を浸しながら全体に甘味が染み込むまで煮る。

【3】甘みがしっかり染み込んだら、しろたまりを少しずつ加えて味見をしながら、好みの味にしていく。汁がほとんどなくなったら出来上がり。

▼アルモンデ、ここが大切

※しろたまりではなく普通の醤油でももちろん美味しいです。

※長ネギの代わりに玉ねぎでもOK。椎茸は舞茸でもしめじでもえのきでも。出汁がでるキノコを使うのがおすすめです。干椎茸を使う場合はもどし汁を大さじ1ほど入れて、一緒に煮込んでください。

※水分を入れすぎていつまでも減らない!という場合は片栗粉でとろみをつければ大丈夫。それもとっても美味しいです。

手前なめたけ

ポイント●調味料を入れたらしばらく置く

好みの味つけにできるのがうれしい、自家製なめ茸。ぜひ作ってみてください。材料を加えたらすぐに火にかけず、まずはなめ茸から水分を引き出すのが上手に作るコツです。味付けには酢を忘れずに。これだけでぐっと味が引き締まります。

<材料>

えのき/醤油/味醂/酒/酢

<作り方>

【1】えのきは石づきを切り落とし、2〜3cm幅にカットして鍋に入れる。1束に対して醤油大さじ2、味醂大さじ2、酒大さじ2、米酢小さじ1を加えて10〜15分ほど置いておく。

【2】水分がしっかり出たら中火で煮込む。沸騰したらアクをとり弱火にし、蓋をして20分ほど煮込む。味見をし、味が薄いようであれば醤油や味醂を加えて、好みの甘辛味に仕上げる。味が染み込んだら蓋をあけ、汁気を飛ばして出来上がり。

▼アルモンデ、ここが大切

※作ってすぐよりも、瓶などに入れて冷蔵庫で1日寝かせた方が美味しいです。

※えのきは1束170〜200gを想定しています。それ以上ある場合は調味料を少しずつ増やしてください。

※しめじやマイタケを細く割いたものを混ぜても。なめたけならではのとろみを出すのはえのきなので、全体の7割以上はえのきにするのがおすすめです。

2回目は、キノコのうまみを引き出す炒め方のテクニックをお伝えします。

2時間で12品が完成! 料理が苦手な人ほどハマる、アルモンデ料理の魅力