まだまだ諦めん!−。7回、メッセージボードを掲げて応援するファンの下でグラウンドを見つめる岡田監督(撮影・田中太一)

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 「JERA CSセ・ファーストS・第1戦、阪神1−3DeNA」(12日、甲子園球場)

 「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」(3試合制)が12日、甲子園で開幕した。レギュラーシーズン2位の阪神は、3位のDeNAと対戦し1−3で敗れた。今季限りでの退任が決まっている岡田彰布監督(66)は、敗戦すれば終戦となる13日の第2戦へ向けて“岡田節”で選手の奮起を促した。

 「1年間の総決算」と位置付けた戦いで、今季の負の側面を顕在化させるような光景が繰り広げられた。試合後の会見が行われた一室。椅子に腰を下ろした岡田監督はあきれ顔でため息をついた。

 「今年を象徴したゲームみたいなもんやな、はっきり言うて」

 1点ビハインドの七回だった。六回から登板していた桐敷が回またぎで続投。1死から牧に初球を左越え二塁打とされた。「おんなじやんか。1年間おんなじ打たれ方したよな」。今季、口酸っぱく言い続けてきた初球の入りで痛打を浴びた。

 続く佐野に三塁線を破られ、1死一、三塁となったところで石井を投入。だが、オースティンに右中間へ2点適時二塁打を許し、勝敗が事実上決した。レギュラーシーズンで7本塁打、18打点を献上していた相手主砲に大一番でも手痛い一打を打たれ、岡田監督は吐き捨てるように言った。

 「1年間、一緒のやつに打たれただけやんか。それだけのこと。1年間、全然対策もできんかったっていうことよ、結局はな。そのままや」

 打線は九回に木浪の適時打で一矢を報いたが、七回まで三塁を踏めなかった。近本、中野の1、2番コンビが封じられるなど、采配を振る場面はほとんど訪れず。「なんにもできないもんな、だからな」とお手上げと言わんばかりだった。

 厳しい言葉を並べたが、それも“岡田節”のゲキか。体調不良から復帰したものの完調とはほど遠い状態。それでも試合になると気力をみなぎらせた。今季限りでチームを去るが、最後に虎の意地を呼び覚まそうとした。

 負ければ終戦の崖っぷちに立たされ、奇跡に挑む戦いとなる。阪神は過去6度、CSファーストS初戦に敗れているが、ファイナルSに進出した例はない。突破率0%を覆すためにも、まずは第2戦の勝利で流れを変えるしかない。何度も逆境をはね返してきた岡田阪神を象徴する一戦とする。

 ◆初戦●からファイナルS進出0% 阪神に限ればCSファーストS初戦に敗れてファイナル進出を果たした例はない。阪神のファースS初戦敗戦は07、08、10、13、15、21年で全て突破ならず。阪神のCSファーストS突破は14、19、22年の3度でいずれも初戦勝利だった。なお、17年は初戦勝利からの敗退。阪神に限らなければ07年から開催されたセ・リーグCSで第1SならびにファーストSの初戦敗戦球団がファイナルSへ進出した例は全16回開催のうちの09年・中日、17年・DeNAの2例のみで12.5%。