今週の日経225先物は、中東情勢を巡る地政学リスクの高まりを警戒しつつも、4万円の大台回復を想定したロングの動きが強まりそうだ。週末の米国市場では主要な株価指数が上昇し、NYダウは4日ぶりに最高値を更新。注目された9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比25万4000人増加となり、市場予想(15万人増程度)を大きく上回った。また、7月、8月分が上方修正され、横ばいを見込んでいた失業率は4.1%と前月(4.2%)から予想外に低下している。これにより次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ期待が後退する一方で、米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が高まった。

 中東情勢についてイランのミサイル攻撃への報復として、イスラエルによる石油施設や核関連施設への攻撃が警戒されていたが、この日はバイデン米大統領が「これらの施設への攻撃を控えるよう求める」との見解を示した。事態悪化が避けられるとの見方も、買い戻しを誘う形となった。さらに、米東海岸などの港湾ストライキが終結したことも、買い安心感につながったとみられる。

 米雇用統計の結果を受けて、米長期金利が8月上旬以来の水準に上昇したほか、為替市場では円相場が1ドル=148円台後半と円安基調を強めた。これらを受けた日経225先物はナイトセッションで日中比1000円高の3万9560円で終えており、週明けは裁定買いやショートカバーが強まる形でギャップアップから始まることになろう。

 先週の日経225先物は、3万8000円近辺で推移する75日移動平均線が支持線として意識された半面、ボリンジャーバンドの+1σ水準で上値を抑えられる状況が目立った。ナイトセッションでは3万8700円辺りに位置する+1σを突破し、+2σ(3万9920円)に接近している。+2σや9月27日に付けた直近の戻り高値3万9900円が射程に入るなか、この水準をクリアしてくるようだと、一段とショートカバーが強まりやすい。

 また、8月の急落局面でヘッジファンドはポジションを一気に解消したとみられている。その後のリバウンド局面において投資スタンスを一気に変更しづらいところであり、それほどロングは積み上がっていないと考えられる。また、米国で予想を上回る経済指標の発表が相次ぎ、次回のFOMCで通常の2倍となる0.5%の利下げ期待は後退している。今週は9日にFOMC議事要旨が公表されるほか、10日には9月の米消費者物価指数(CPI)、11日には米生産者物価指数(PPI)の発表が予定されている。予想を上回る結果となれば、大幅利下げ期待は一段と後退することになろう。

 一方で、国内では石破首相の発言によって追加利上げ観測は後退している。日米金利差を狙った海外投資家の動きを巡る思惑から、ロングに傾きやすい需給状況が見込まれる。そのため、+1σと+2σによるレンジ推移として、目先的にはオプション権利行使価格の3万8750円から3万9875円のゾーンを想定する。+2σを明確に上放れてくる局面では、3万9750円から4万0250円辺りを意識しておきたい。

 もっとも、中東情勢を巡る報道に振られやすい面があるため、積極的にはポジションを傾けづらいところでもある。ヘッジ対応が一巡した後は、次第に膠着感が強まりやすい。特にこのところはナイトセッションで大きく変動をみせる半面、日中取引ではリバランスにとどまっている状況に映る。ナイトセッションの影響もあって変動幅こそ大きいが、日中ではスキャルピング中心となりやすい。中東情勢を巡る報道によってアルゴリズムのトレードが発動する可能性もあり、注意が必要だ。なお、トランプ前米大統領は、イランの核施設を攻撃すべきだとの認識を示唆したと報じられている。