ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第71回は「カメラでつむいだ6月の記録」についてです。

犬に背中を押されて購入した「カメラ」

前回のinubot回覧板でも書いた、購入していたカメラを受け取りました。OLYMPUSのTG-7というポケットサイズのデジタルカメラ。今回はTG-7で撮った写真を通して、犬が6月をどんなふうに過ごしていたかをみなさんに共有します。

梅雨入りする前に夏がやってきたかのような暑い日、犬と川へ涼みにやってきた。この先、今以上の猛暑になるなら真夏は出かけられないかもしれないので、前倒しして夏の遊びを堪能しておきたい。

川遊びといっても、ここ最近はあまり泳がなくなった。泳げなくなったのではないが、自ら足がつかない深瀬にまで行かなくなった。じゃあ川遊び自体がイヤになったのかと言われたら、そうではない。

ちゃぴ、ちゃぴ…と水面に波紋を描きながらゆっくり入水していくと、手足がつかったところで立ち止まる。しばらくなにをするでもなくじ〜っといる。自由に出てもいいのにいるのだ。私の願望かもしれんが、その表情は笑っているように見えた。

TG-7は水中撮影ができる防水カメラだ。私は防水カメラを持ったのも、水中で撮影するのも初めてである。おそるおそるカメラを水の中に入れて、シャッターをきってみた。

美しい! なんて澄んでいるのだろう。もちろんきれいな川だから来ていたが、あらためて写真を通して濁りのない清流を目の当たりにして感嘆した。水中から見た犬の手足は空高く伸びていく樹木のようやった。

しかしカメラのような精密機械を水にひたして大丈夫なのか、故障待ったなしではと思ったが、余裕で使えた。防水のメカとは不思議や。つくってくれた賢いひとほんまありがとう。

水中撮影のほかには、顕微鏡モードという機能もある。カメラだけでなく携帯でもそうだが、レンズと被写体が近すぎたらピントが合わずシャッターがきれないという経験はありませんか。

しかしこの顕微鏡モードを使うと、近距離でもピントを合わせてくれて、その名のごとく、レンズと被写体を近づけると、精細に捉えられる。

犬の毛並みを顕微鏡モードで撮影してみた。

換毛期の真っ只中だったので、冬毛と夏毛の混じっていた。

「写真」で感じる、犬と過ごした年月の流れ

ノーマルモードでも接写に強いので、カメラを構えているときに犬が寄ってきてもピントを合わせてくれる。カメラが小さいので、犬からしたらにじり寄られても圧迫感が少ないのでは。

しかし新陳代謝の変化なのか換毛が完成するのに以前より時間がかかるようになった。最近は輪郭も少し変わってきて、泳がなくなったのも含め、年月の流れを感じる。

TG-7はオフの状態から起動までが早いのも助かる。眠っている犬が白目をむいているところも逃さずに撮れた。

眠っているときの白目はレアリティ★★★、寝ながら開いた口の隙間から歯が見えている寝顔は★★★★である。★★★★★は秘密。

ズボンのポケットにも難なく入るので、散歩に行くときも気軽に持っていける。やはり片手はリードを強く握っているので、軽量だとこんなにラクなんだな。

6月は家の離れの一室に工事が入っていた。みんな疲れていたが、犬もなかなか穏やかではなかったので、できるだけ犬を連れて出かけていた。

下旬に祖母が亡くなった翌朝にも工事が入っていて、軽自動車の助手席に犬を乗せて家を出た。着いたのは無法地帯みたいな川で、たまにおっちゃんが釣りをしているが、この朝は私たちしかいなくてラッキーだった。

携帯をスピーカーにして、音楽をランダム再生した。YUKIの「うれしくって抱きあうよ」が流れたので、犬と歩きながら、耳をかたむけて心を歌に委ねていた。“僕と君はひとつさ ”と歌うYUKIの甘やかな声と強い詞から、ドラマ「アンメット」の第10話のある台詞を思い出した。

脳には内側前頭前野という場所があって、そこで自分と他者を区別するらしい。だが大切な人のことは区別しなくなるという報告があるそうだ。つまり大切なひとを自分自身のように感じてしまうのだと、ドラマの中で三瓶先生が成増先生にそう話していた。“僕と君はひとつさ”という歌詞も、それほど君が大切な存在ということです。

それで言えば、私の内側前頭前野は犬を他者だとは到底区別してへんやろな。あの子のストレスは私のストレスで、あの子が安らかであれば私も安らかだ。