マルク・ククレジャ(写真右)のハンド疑惑シーンに注目【写真:ロイター】

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スペインがドイツに2-1で勝利

 スペイン代表は現地時間7月5日、欧州選手権(EURO)でドイツ代表と対戦し、延長戦の末に2-1で敗れた。

 どちらに勝利が転がってもおかしくない一進一退の白熱した激戦となったが、1-1で迎えた延長後半1分の場面で、ドイツMFジャマル・ムシアラのシュートがペナルティーエリア内にいたスペインDFマルク・ククレジャの左手に接触したため、ドイツ側は激しくPKを主張したが、主審はハンド判定を下さず。海外メディアは、「なぜククレジャの場面はハンドではなかったのか?」と見出しを打ち、VARの専門家の意見を取り上げている。

 事実上の決勝戦と呼び声の高いドイツとスペインの対戦が、ベスト16という舞台で実現したなか、試合は後半6分にFWラミン・ヤマルのラストパスをFWダニ・オルモがダイレクトで押し込んで、スペインが先制。一方、終了間際の後半44分にMFフロリアン・ビルツがダイレクトボレーで起死回生の同点弾を決めて、試合は延長戦に突入。そして延長後半1分、この試合の行方を左右する運命の局面を迎えた。

 勢いに乗ったドイツが迫力ある攻撃で立て続けにスペインのゴールを脅かしていたなか、ムシアラのミドルシュートがペナルティーエリア内で構えていたククレジャの左手に接触。触れなければ枠内に飛んでいたシュートに映っただけに、得点機会の損失をドイツの選手たちは強く訴え、PKを主張したものの、主審はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の担当とコミュニケーションを取った結果、最終的にハンドはなかったとしてプレー続行となった。

 ムシアラのシュートが明確にククレジャの左手に接触していただけに、この判定が世界で物議を醸しているなか、米スポーツ放送局「ESPN」は「なぜククレジャの場面はハンドではなかったのか?」と見出しを打ち、VAR専門家の意見を配信。記事では、まずグループリーグのデンマーク戦(2-0)でドイツに与えられた後半8分のハンドによるPKの場面を紹介しており、「腕が上がり(または水平になって)ボールの軌道を妨げる障壁となった場合、主審とVARはPKであると勧告するべきとしている」と説明した。

 一方、流されたスペイン戦のハンド疑惑の場面については「腕の位置が垂直にあった場合、また、腕が体のラインよりも後ろにあった場合は、PKを与えられるべきではない」と指摘し、誤審ではなかったとしつつも、「問題なのは、デンマーク戦では決定機ではない局面でほんの少しだけ腕に当たっただけの場面は、ゴールに向かうシュートを手でブロックしたククレジャの場面よりも妥当なPKとは受け入れにくいということだ」と、現状のハンド基準のルールに懐疑的な見解を述べていた。(FOOTBALL ZONE編集部)