アラフォー世代の女性にとって、更年期は「もう少し先の未来に訪れるもの」と考えがち。しかし、思っているより早く生理が止まってしまう場合もあると言われています。43歳で生理が止まり、「平均より早く閉経する」と医師からの診断を受けた由香さん(仮名)のインタビューと、更年期外来の診療を行っている「井上メディカルクリニック」の井上憲先生監修のもと、「少し早い更年期・閉経」に対する心構えと婦人科でできる対処法についてご説明します。

43歳で生理が止まり婦人科で治療

現在46歳の由佳さん(仮名)は、夫と8歳の長女と3人で暮らしているフリーランスの編集ライター。43歳になったとき、それまで比較的順調だった生理が3か月来ていないことに気がついたそうです。

「40代に入ってから28日周期が25日や24日など短くなりましたが、母親や姉の更年期が50歳より後だったので、10年近く先のことだと思い込んでいました」(由佳さん、以下全て)

コロナ禍で、転職や子どもの小学校入学が重なり忙しい日々が続いていた春を越えた猛暑のある日、「そういえば生理が3か月止まっている」ことが気になりました。

「若い頃も、ダイエットをしすぎて2か月空いたことがありますし、ホルモンバランスの乱れだろうと軽く考えていました。それでも、ちょうど子宮頸がん検診の時期で婦人科に行く予定があったので、ついでに血液検査をしてもらいました」

検査の結果、女性ホルモンの数値から、更年期の真っ最中であることが判明したという由佳さん。

「言われてみれば、子ども達と鬼ごっこをしているときに、ホットヨガをしている最中のように大量の汗が吹き出したり、今までにない動悸がしたことがありました。でも、猛暑による夏バテだと思い込んでいました」

早い閉経の兆しを放置すると「困ること」

その時点で、由佳さんの更年期の症状と言われている子宮内膜が厚くなっており、医師の診断は「薬で生理を起こしたほうがよい」というものでした。

「子宮内膜が厚くなりすぎているのに、生理を起こす力がなくなると、いざ生理が来たときに重くなって辛い思いをすることもあるそうです。また、平均より早く閉経すると、骨粗しょう症や動脈硬化などの病気が進行する場合もあるので、定期的に検査や治療を受けることも勧められました」

血液検査をしたところ、由佳さんは主治医に「平均より少し早く閉経するかもね」と言われたそうです。

「平均より早めに閉経するかも、と聞いて、勝手に『親族の閉経が遅いからまだだろう』と思い込んでいたので驚きました。そのときは、生理を起こすため筋肉注射をしたところ、再び生理が始まりましたが、半年ほどしてまたストップしました」

その後も生理不順が続き、45歳までは子宮内膜が厚くなりがちだったので、筋肉注射で生理を起こしていたそうです。

「現在は46歳になったので、半年に一度、血液検査をしたり、子宮内膜の超音波検査を受けるなど婦人科検診を受けています。現在、半年ほど生理が止まっている状態なので、このまま閉経する可能性もありそうです。今は45歳を超えたので、定期的に婦人科で血液検査をして漢方を処方されているのみで、生理を起こす治療はしていません」。

受診と漢方で落ち着けるように

処方されている漢方の桂皮茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や、市販のエクオール、命の母などのサプリメントを飲んでおり、ホットヨガにも通っているそうです。

「もちろん、若い頃と比べると不調はたくさんあります。肩こりや眠気、疲れやすさ。でも、43歳で起こったホットフラッシュは、今はありません。また、生理不順に気がつきつつも治療していなかった43歳の頃には、コンビニでの会計時に袋詰めや画面タップなど『やることの多さ』に混乱してコインを落とすなどの不注意も頻発していました。婦人科を受診して状況を理解できただけでも、大分落ち着いたと思います」

「早期閉経」について医師が詳しく解説

平均より早い更年期・閉経について「井上メディカルクリニック」の井上憲先生に教えていただきました。

生理がこなくなったら婦人科を受診したほうがいい年齢は何歳くらいまでですか?

「日本人の平均系近年齢は50.5歳とされており、また、日本人女性の5%が40〜45歳で閉経を迎えると言われています。閉経の原因にもよりますが、45歳までに3か月以上生理がこなかった場合は、由香さんのような内膜が厚くなる内膜増殖症などのリスクもあるためなるべく早く婦人科受診をお勧めします。

●早く生理が止まるとどんな不都合がありますか?

内膜増殖症、骨粗しょう症や動脈硬化、更年期症候群などが考えられます。最悪の場合は、子宮体部に発生するがんで女性ホルモンが深く関わりのある子宮体がんのリスクもあります。

そのため、「産婦人科・婦人科などを受診して」子宮頸がん検診に加えて子宮体がん検診や経膣超音波(経膣エコー)検査をしっかり受けることが重要です。

更年期症候群だった場合は、HRT(ホルモン補充療法)や漢方療法、サプリメントなどで対処することも可能です。