先輩刑事役に「リアルに周辺に後輩も増えた。その経験も反映できれば」と話す黒木メイサ(カメラ・小泉 洋樹)

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 読売テレビ制作の日本テレビ系ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(日曜・後10時30分)が7月7日にスタートする。俳優・成田凌(30)が演じる主人公の先輩・五味刑事役で、黒木メイサ(36)が6年ぶりに女優復帰を果たす。地上波ドラマは7年ぶり。「プライベートでも人生経験を積んできて、今までとは違った視点から物事が見えるのでは。その意味も含めて前向きに作品づくりができたら」と柔らかな笑顔で語る。(筒井 政也)

 原作・井龍一(いのりゅう・はじめ)氏、漫画・伊藤翔太氏による同名コミックのドラマ版。13人もの子どもの白骨死体が見つかり、山梨県警刑事・冴木(成田)が事件解明に動く。黒木は後輩の冴木をバックアップする役どころだ。WOWOWドラマ「不発弾」(2018年)以来、6年ぶりの芝居。オファーを受けたタイミングを「私自身、演じることを再開させていただきたいと思っていたところ。本当にうれしかった。ワクワクと緊張が合わさった感じですね」と振り返る。

 演じる五味は、原作漫画では男性の設定。「迷ったのですが、読まないことにしました。ドラマの中の新たな役として息づきたい」と先入観を持たずに取り組んだ。「いい意味で気張っていなくて、ドシッと構えている、クールで頼れる先輩。たまに見せる熱い思いもしっかり演じ、冴木をサポートをしたい」と、初対面だった成田とのコンビネーションを何より意識した。

 捜査の進行を説明する役割も担うため、セリフ量は膨大。「不安ですよ。どうやって覚えるんだっけ?とか(笑い)」。黒ヒョウのような鋭い眼光を放ち、近寄りがたいクールビューティーさが20代までのパブリックイメージだったが、印象が覆るぐらい、いい意味での柔らかみを感じさせた。

 率直にその印象を伝えると、笑う周囲を「クスクスしないっ!」と軽く制しながら「実際、若い時は『頑張んなきゃ』と常に気が張っていたかも。本当に、ただひたすら前だけを見て突っ走ってきたので、あまり記憶がないし、思い出すこともない」と正直な胸中を明かした。

 11歳の長女、7歳の長男と米ハワイに在住。モデルの仕事などで日本と行き来している。「ハワイで、今まで張りつめていた糸が全部切れたというか。デトックスした感じですかね?」。沖縄出身とあって「空気も似てますね。人もみんな、柔らかくて温かい。沖縄の名字の方が多いんですよ。親近感が湧きますね。リラックスした時間が過ごせる。子どもがいるから仕事のオン・オフの切り替えもしやすくなった」。重い“よろい”を脱いで、自然体を取り戻したようだ。

 女優再開イヤーは、04年のデビューから丸20年の節目でもある。「ここからは、ゆっくり一つ一つの仕事を丁寧にやっていけたら」。一個人としては「やっぱり肩の力を抜いて過ごしたい。自分の中で“型を作る”という中で一生懸命にいたけど、そういうのを全部取っ払って、視野を広げていきたいですね」。豊富な経験を生かして、令和のエンターテインメント界に新たな刺激を与える。

 ◆黒木 メイサ(くろき・めいさ)1988年5月28日、沖縄県生まれ。36歳。04年、北区つかこうへい劇団公演「熱海殺人事件・平壌から来た女刑事」で女優デビュー。06年、「着信アリ Final」で映画初主演。09年には「SHOCK―運命―」で歌手デビューした。11年、テレビ朝日系「ジウ 警視庁特殊犯捜査係」で連続ドラマ初主演。12年に歌手の赤西仁と結婚して2児をもうけたが、昨年12月に離婚を公表した。

 ◆あらすじ 2017年、ある屋敷で少年少女監禁死体遺棄事件が起きた。白骨化した遺体が13体あり、被疑者は消息不明の家主・灰川(小日向文世)。彼は血縁関係のない子ども19人と暮らしていた。生き残った一人で、灰原を慕い、無罪を主張する花音(吉川愛)が刑事・冴木のもとを訪れる。そして現代。1人の少女が失踪し、7年前の事件との関連が浮上する。居場所をなくした若者が東京・歌舞伎町に集う「トー横キッズ」と呼ばれる問題も扱い、黒木は「気になる社会問題を伝えることに携われ、うれしい」と語る。

衣装:亘つぐみ@TW ピアス・ネックレス:talkative(トーカティブ)

リング:BAR Jewellery(バー ジュエリー)

衣装協力:Calvin Klein

ヘアメイク:SAKURA(makiura office)